Angela Merkel(メルケル)首相率いるドイツ政府は16日、より広範なブロックチェーン戦略の一環として、電子証券を導入するための新法案を可決した。16日、ロイターが報道した。

ロイターの報道によると、ドイツの法律はこれまで証券の発行者や保有者が「紙の証明書」で取引を文書化することを余儀なくされていたが、今回の法案ではそのルールを緩和するものであるという。

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(画像=月刊暗号資産)

ドイツのOlaf Scholz財務大臣は「紙の証明書は、ノスタルジックな理由のためにこれまでも少しは続くかもしれないが、将来はその電子版に属することになるだろう」「電子証券は、コストと管理上の負担を削減する」と述べた。

ドイツの電子証券化で使われるブロックチェーンには、取引に関する全てのデータが暗号化された形で保存されているデジタル台帳となる予定だ。すべてのユーザーに開かれており、高度な透明性を提供している。

この技術は偽造防止技術であり、ユーザーがデータベースのコピーを管理しているため、改ざんは理論的に不可能である。

ドイツのITビジネス協会・Bitkomの責任者であるAchim Berg氏は、「ブロックチェーン技術は、現在の手続きを完全にひっくり返し、ビジネス部門全体の働き方を根本的に変える可能性を秘めている」とロイターの取材に語った。

ドイツでは暗号資産(仮想通貨)についても規制の明確化を進めている。

今年1月には「新マネーロンダリング防止法」が施行され、株式などの金融商品と同様に、銀行が暗号資産のカストディサービスを提供することが可能になった。

3月にはドイツ連邦監督庁(BaFin)が、暗号資産を金融商品としてみなすガイドラインを発表。8月にはBaFinのガイドラインに沿ってドイツ財務省がトークン化されたブロックチェーン証券に関する草案を起草している。

そして12月、ドイツの老舗銀行であるHauck&Aufhäuserが、21年1月に子会社の「Hauck&Aufhäuser Innovative Capital(HAIC)」を立ち上げ、機関投資家向けに暗号資産を対象としたファンドを提供することを発表した。

新たに立ち上げるHAICは、ベルリンを拠点とするフィンテック企業「Kapilendo」と資本提携して事業化する。

HAICはポートフォリオ管理や営業等を行い、Kapilendoが暗号資産の保管先として、カストディ業務を担当する。

Hauck&AufhäuserのHolger Sepp取締役は「暗号資産を扱う投資製品の需要が高まることが予測される」として需要に応えるサービスであると語った。

一方で11月に行われた欧州銀行会議のパネルディスカッションで、ドイツのScholz財務相は暗号資産について「ヨーロッパの銀行システムのデジタル変革を後押しすることは不可欠だが、民間の暗号資産はこの対象としない」という意見を表明している。(提供:月刊暗号資産