米財務省は18日、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産の取引について、財務省により登録された取引所および機関と個人ウォレット間での取引に関して、取締りを強化する規制案を発表した。

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(画像=月刊暗号資産)

この規制案はマネーロンダリング(AML)防止対策の一環として発表されたもの。

財務省所轄のFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)によると、個人ホスト型のウォレットに3000ドル(約31万円)を超える取引があった際、送受金を行った双方の身元確認を暗号資産サービスプロバイダーが行う必要が生じる。また、1万ドル(約103万円)を超える取引が確認された場合は、FinCENへの報告が義務付けられる。

これら確認義務の抜け道を防ぐ方法もFinCENは探っていくようだ。

この規制案は提案段階のもので、財務省は現在パブリックコメントを募集している。

財務省のMnuchin長官は、「この規制はCVC(価値交換が可能なデジタル資産)市場における国家安全保障上の懸念に対処するもので、悪意のあるユーザーが記録管理や報告システムなどを悪用しようとしていることを防ぐことが目的」と説明した。

今回発表された規制案には取引確認を行ったユーザーの名前および住所の確認、また取引された暗号資産の種類や取引時間および取引レートの報告などといった項目が盛り込まれていることから、国際的規制機関のFATF(金融活動作業部会)が策定した国際基準ルール「トラベル・ルール」に準拠したものと言えるだろう。

一部では暗号資産取引における匿名性を損なうだけでなく、暗号資産事業者の業務負担が増すだけの規制との声も挙がっているが、業界の健全化に向けた動きとしては必要なものだ。

特に、暗号資産業界において多大な影響を及ぼす米国において厳格な規制がなされることは非常に大きな意義がある。

しかし今回の規制案に関しては、大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏の就任直前に駆け足で発表されたという背景もある。

さらにパブリックコメントの募集期間が短期間であることも踏まえると、十分な議論が行われているのか、またはこれから行われていくのかといった点で疑問が残る。(提供:月刊暗号資産