本記事は、野村絵理奈氏の著書『オンラインで伝える力』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています

微笑みレベルでは無表情に近くなるオンラインの落とし穴

表情
(画像=PIXTA)

私たちは口の周りの筋肉(口輪筋)、目の周りの筋肉(眼輪筋)や瞳、額(前頭筋)や眉(皺眉筋)など、顔にある多くの筋肉を動かして表情を作っています。しかし、オンラインでは、そういった筋肉の細かい動きが、対面ほど伝わりません。そのため、笑顔を作ったつもりでも相手には無表情に見えたり、きちんと傾聴姿勢をとっているつもりでも、ぼーっと聞いているように見えてしまうことがあります。

下のイラストは対面コミュニケーションにおける、好ましい笑顔の度合いを 示したものです。

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(画像=『オンラインで伝える力』より)

対面コミュニケーションの場合は、話を始める前などは20%、話を聴いているときは40%くらいの〈微笑み〉がちょうど良いのですが、これがこのままオンラインに当てはまるわけではありません。20%はオンラインでは無表情に近く、40%でも笑みを浮かべているとは認識してもらえない可能性もあります。

オンライン上で気持ちを伝えるためには、対面よりも少し大きめに口の周りの筋肉を動かし、表情を大きめに作ることをおすすめします。笑顔であるという印象を与えたい場合は、30〜40%くらいの笑顔を心がけるのが、ちょうど良いと思います。笑っていることを明確に伝えたい場合は、60%くらいの笑顔を意識する必要があります。口角を上げ少し歯を見せれば、経験則として、相手が笑っていると気づきやすいからです。オンラインで表情を作る時は、少し大げさかなというくらいでちょうど良いでしょう。

またオンラインでは、対面と違い、頭やあごを軽く動かすだけのうなずきでは、「うなずいている」と相手に認識してもらえない場合があります。相手の話をちゃんと聞いていること、理解していることを伝えるためには、頭を動かし、対面時より深くゆっくりうなずく意識をもつことが必要です。

ただしあいづちは、対面よりも少なくすることがポイントです。オンラインであいづちを打つと、音声にギャップが生じるため相手の言葉と被ったりして、ストレスを生みます。あいづちを頻繁に打つことは避け、打つ場合は、短く、音声のギャップを考慮して一拍おいてから打つようにすると良いでしょう。

また、質問で割り込む場合も、音声が被りやすいのでタイミングをとるようにしましょう。相手が話し終えたと思っても、一拍おいて相手がもう話さないことを確認してから、「質問しても良いですか?」と断るくせをつけておくと、会話が被って気まずい思いをすることを避けられます。

オンラインで伝える力
野村絵理奈(のむら・えりな)
株式会社KEE’S代表取締役社長。兵庫県出身、同志社大学法学部卒。NHKキャスター、気象予報士を経て、2005年に株式会社KEE’S設立。

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