本記事は、野村絵理奈氏の著書『オンラインで伝える力』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
オンラインでは「長所は普通に」「短所はより悪く」映る
では、オンライン上でコミュニケーションを取る時に、好印象を与えるために気をつけておくべきポイントとは何でしょうか?
それを知るためにはまず、オンラインの場合は、印象の伝わり方に大きな違いがあることを理解しておかねばなりません。
人の印象というのはさまざまな要素から形づくられるものです。
対面の場合なら、顔や表情、体型、服装といった視覚的要素や、声の質、声量、話すスピードなどの聴覚的要素だけでなく、その人から漂う香りや手の温もりといった、嗅覚や触覚を刺激するものもその要素になり得ます。そのような嗅覚、触覚的要素は、雰囲気とかオーラといった言葉で表現されます。会った瞬間、目の前の相手に良い印象を与えられる人というのは、人を魅了するこれらすべての要素が与える影響を、うまく利用しているのです。
しかし、オンラインコミュニケーションの場合は、相手の匂いは感じないし、体にふれることもできません。そのせいで、雰囲気やオーラといった類のものも伝わりにくくなるのが普通です。
つまり、オンラインコミュニケーションの場合、頼れるのは視覚的印象と聴覚的印象だけです。普段なら、雰囲気やオーラを武器にできる人も通用しなくなる部分が多くなり、対面ほどのインパクトを与えることが難しくなります。さらには、唯一頼れる視覚的あるいは聴覚的な情報さえも、対面よりも制限されてしまいます。
その結果、具体的には以下のようなことが起こります。
●視覚的なこと 自分は普段通りのつもりでも画面越しでは無表情に映る 顔映りは、基本的に実物より悪くなる 影がある部分は通常よりも暗く映る 髪の毛の乱れ、服についたホコリなどが意外に目立って映ることがある 姿勢の乱れや無駄なクセは大きく目立って映る
●聴覚的なこと 普通の話し方では聞き取りにくく聞こえる 喉声で話すと、キンキンとうるさく聞こえる 紙の音、息がもれる音などのノイズが異常に大きく聞こえる 普通のテンションで話すと、不機嫌そうに聞こえる
つまり、視覚的にも、聴覚的にも、「長所は普通に、短所はより悪く」伝わってしまうのがオンラインです。これらのことは、私もアナウンサー時代に嫌というほど痛感しました。オンラインコミュニケーションのスキルを向上させるためには、このようなオンラインがもつ特性に十分意識を向けることが必要なのです。
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