フォロワー数4,550万人を誇る米電気自動車大手テスラCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏の存在が、現在暗号資産(仮想通貨)業界に大きな影響を与えている。

先月29日、自身のTwitterにおける自己紹介欄に「#bitcoin」と書いたことでビットコインが急上昇。約1時間で5000ドル(約52万円)もの上昇を見せた。

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(画像=月刊暗号資産)

過去にはドージコイン(DOGE)にも言及し、価格変動の発端となったこともある。

Musk氏の動向により暗号資産市場に大きな変動が起こることから、一連の価格上昇を「イーロン・マスク砲」と呼ぶ声も少なくない。

そんな同氏のツイートが、暗号資産市場にどのような影響を与えているのかをまとめたレポートが3日、Blockchain Research Labによって発表された。

このレポートは「How Elon Musk’s Twitter activity moves cryptocurrency markets(イーロン・マスクのTwitterが暗号資産市場をどう動かすのか)」と題したもので、Musk氏の6つのツイートによる暗号資産の取引量と価格の影響を分析。

このうちの4つは、「過去に起きた市場での出来事に対する反応に過ぎない可能性が高く、ほとんど関連性がない」とし、他の2つのツイートに関しては、「取引量が大幅に増加する結果をもたらした」と結論付けた。

取引の大幅増に貢献したものとしてツイートの1つとしては、Twitterの自己紹介欄に「#bitcoin」を追加した際、1時間で18.99%の上昇を記録したものが1つ。そしてもう1つは、昨年12月にツイートした「One word. Doge(一言、ドージ)」というドージコインに関するツイートで、一時、前日比で60%高まで急騰したものを挙げた。

レポートではMusk氏のSNSでの動向が暗号資産市場において上昇起因をもたらすことが示された形だ。一方で、SNSでの活動内容によってはマイナスの影響を生み出すことも指摘されている。

同レポートでは、「今回の結果によって特定の暗号資産についてどのような条件でツイートするかという疑問を生み出した」とし、影響力のある人物がやみくもに投稿することに対し問題提起を行った。

また、「(影響力のある人物の)1つのツイートにより、潜在的にビットコインの時価総額が1110億ドル(約11兆7,000億円)増加する可能性もあるが、反対に別のツイートによって同等の価値が一掃される可能性がある」とし、「その課題に対する単純かつ迅速な『解決策』は各々が見出すもので、予測可能なものではない」と締めくくった。

「イーロン・マスク砲」は4日にも放たれ、ドージコインが10分ほどで前日比10%上昇するなど、その影響力の高さを再確認させるものであった。

しかし、ドージコインに関する投稿が非常に頻繁に行われていることでアカウントの乗っ取り被害に遭った可能性が浮上している。

Musk氏の普段のツイートがiPhoneから行われているのに対し、4日のドージコインに関するツイートは「Twitter Web App」からと、異なる端末から行われていた。

過去にMusk氏はアカウントの乗っ取り被害に遭ったことがある。現時点で乗っ取り被害が確定している訳ではないが、この件に関して何らかの言及があった際には暗号資産市場にも影響が及ぶ可能性が考えられるため、警戒したいところだ。(提供:月刊暗号資産