米国株式市場に投資するなら、自分が取引しやすい証券会社を選びたい。米国株投資のための証券会社選びにおいて、選択基準となる取扱銘柄数や注文受付時間、取引チャネルなど、チェックすべきポイントを順に解説する。証券口座の選び方やおすすめ口座を紹介していこう。

1,米国株取引の4つの特徴 1株単位の取引可能、高配当利回り、値幅制限なしetc.

米国株特徴
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

まず、日本株投資と米国株投資は何が異なるのかを整理しておこう。米国株は米国の証券取引所ルールにのっとって取引されるため、日本株取引とは異なる点がある。

特徴1,取引単位は売買しやすい1株単位

米国株の取引単位は全銘柄1株以上、1株単位である。国内株式の取引単位は基本的に単元株(100株)なので、国内株式に比べると少額投資がしやすい。米国株の一種である米国ETFの売買も1口単位になっている。

ただし、1注文の上限数量や上限金額は取り扱いネット証券や取次先によって異なる。

特徴2,高配当利回り銘柄が多い

米国企業は株主還元意識が高い。その上、日本企業のように株主優待制度を設けておらず、株主還元策が配当金の分配だけで実施されていることから、日本株に比べて配当利回りが高い傾向にある。

配当金の分配についても、日本企業の配当金分配が年1回もしくは年2回であるのに対し、多くの米国企業では年4回と頻度が高いのも特徴だ。

プロクター・アンド・ギャンブルやエマソン・エレクトリック〈EMR〉、スリーエム など、50年以上連続増配を続けている企業もある。その他にも配当利回り10%超のワンオーク、エクソン・モービル、6%超のルーメン・テクノロジーズ、アルトリア・グループのように高配当利回り銘柄も多く見られる(2020年10月19日現在)。

高配当利回り狙いで米国株に投資するのも一つの投資スタイルといえよう。

特徴3,1日の値幅制限がない

日本の株式市場には1日の値幅制限が設定されており、ストップ高とストップ安のルールがある。しかし、米国株にはこうした1日の値幅制限がない。相場によっては株価が暴騰・暴落する可能性がある。

特徴4,取引時間は日本時間の夜間

米国市場の立会時間にあわせて、米国株の取引時間は日本時間の23:30~翌6:00(サマータイム期間は22:30~翌5:00)である。日中が多忙なビジネスパーソンでも、夜間なら落ち着いて取引できる。

以上の4点が、日本株取引との大きな違いだ。米国株式市場は世界的に知名度の高い企業が多く上場しているだけでなく、人口増加や技術革新、効率経営など、企業が成長する要素が豊富にある魅力的な市場だ。そのため、長期投資にも適しているといえるだろう。

2.米国株投資のための証券会社を選ぶ3つのポイント

米国株投資の証券会社選び3ポイント
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

国内株と異なるのは上記のような特徴だけでない。米国株の取扱条件は証券会社によって千差万別。次からは証券会社選びのときに、まずはどういった点に着目すればよいかを紹介しよう。

米国株投資に使う証券会社を選ぶには、少なくとも

・取扱銘柄数が豊富か
・取引手数料が安いか
・注文方法は何種類あるか

という3点はチェックしよう。これらの条件を満たしていれば、実際に米国株投資をする際に、使いやすいと感じるはずだ。

ポイント1,取扱銘柄数が豊富かどうか?

アップルやアマゾン・ドット・コムのような世界的に有名な米国企業の株式であれば、米国株を取り扱う証券会社ならどこでも購入できる。

しかし米国株に慣れてくると、高配当利回り銘柄、連続増配銘柄、バリュー株など、いろいろな条件で米国株を選んで、投資したいと考えるようになる。調査の結果、投資したい株が見つかったとしても、口座を開設している証券会社で取扱がないのでは、購入できない。取扱銘柄数が豊富な証券会社なら、そうした機会損失が発生する可能性が低い。

ポイント2,コストが安いかどうか?

米国株投資では、円と米ドルとの為替取引の際に、為替手数料(為替スプレッド)が加味される。ときには為替差損が発生することもある。また米国株の取引手数料は、国内株式の取引手数料より高めに設定されていることが多い。

このように米国株は取引手数料や為替スプレッドといったコストがかさみやすい。もちろんコストの安さだけが証券会社選びの必要条件ではない。しかし米国株投資を始めたいと思った場合、国内株以上にコストに注意して、利益率アップにつながるような低コストの証券会社の口座を選択したい。

ポイント3,注文方法は何種類あるか?

米国株投資をする際に、値上がり益を狙った取引をするならば、国内株と同様にリスク管理の意識を忘れてはならない。そのようなときに役立つのが、逆指値やトレールストップなどの条件付き注文である。

国内株取引ではさまざまな注文方法が設定されているが、米国株の注文方法は成行注文と指値注文の2種類が基本だ。自分の米国株投資の目的が値上がり益目的の投資である場合は、条件付き注文を選べる証券会社を選んだ方がよいだろう。

3,米国株投資のおすすめの証券会社9社を比較

ここからは先ほど紹介した選び方の3つのポイントを国内で米国株投資ができる証券会社9社で比較した。各社が取り扱う米国株取引サービスのスペックを確認してみてほしい。

このうち野村證券、SMBC日興証券、大和証券では、米国株取引の取引方法として、それぞれ海外委託取引以外の方法も提供されている。最も一般的な「海外委託取引」に限定して米国株取引サービスを比較した。

証券会社名 銘柄数 手数料※1 注文方法※2
SBI証券 個別:3,295銘柄
ETF:298銘柄
ADR:163銘柄
約定代金×0.495%
(最低0米ドル、
上限22米ドル)
・指値
・成行
・逆指値
楽天証券 個別:3,003銘柄
ETF:312銘柄
ADR:229銘柄
約定代金×0.495%
(最低0米ドル、
上限22米ドル)
・指値
・成行
マネックス
証券
個別:3,509銘柄
ETF:306銘柄
ADR:188銘柄
約定代金×0.495%
(最低0米ドル、
上限22米ドル)
・成行
・指値
・逆指値
・ツイン指値
・連続
・OCO
・トレールストップ
・トレールストップ(%)
DMM.com
証券 株
個別:891銘柄
ETF:84銘柄
ADR:119銘柄
0円 ・成行
・指値
・IFDONE
PayPay証券
個別:112銘柄
ETF:22銘柄
ADR:0
BDC:2銘柄 ※3
・23:30~翌6:30
(夏時間23:30~
翌5:30)
→基準価格×0.5%
・上記以外の時間帯
→基準価格×0.7%
提示価格のみ
野村證券※4 個別:583銘柄
ETF:156銘柄
ADR:0
<オンライン・電話注文>
【現地取引手数料】
必要(料率非公表)、
売買代金により料率が異なる
【国内売買手数料】
・売買代金20万円以下→2,986円
・買付→指値のみ
・売却→指値、成行
SMBC
日興証券
※5
個別:109銘柄
ETF:60銘柄
ADR:0
【現地手数料】
売買代金×0.2%
【国内取次手数料】
売買代金×1.265%
(最低3万470円、上限)
・指値
・成行
大和証券
※6
取扱銘柄数は
コンタクト
センターに確認
【現地手数料】
変動するため非公表
【国内取次手数料】
・約定代金100万円以下
の料率
→0.99000%
【外国証券取引口座管理料】
米国株保有で年間3,300円(税込)
・指値
・成行
サクソバンク
証券
個別:4,449銘柄
ETF:1,436銘柄
ADR:29銘柄
取引金額×0.20%
(最低5.0米ドル、
上限15.0米ドル) 
・成行
・指値
・逆指値
・逆指値(指値)
・逆指値
(トレイリング)
※1,売却時のみ、国内取引手数料以外にも、現地でSEC Feeが約定代金1米ドルにつき0.0000221米ドルかかる
※2, 表中の注文受付時間は日本時間で表示。なお、米国株式市場の取引時間は、日本時間の夜11時30分~翌6時(夏時間は夜10時30分~翌5時)
※3,BDC(Business Development Companies)は、未上場の中堅企業や新興企業への資金供給を目的に設立された法人。利益の90%を投資家に配分することで法人所得税が免除されるため、高配当を期待できる
※4,オンラインサービス/オンライン・電話注文、店舗/店舗・電話注文
※5,ダイレクトコース/電話注文のみ、総合コース/店頭・電話注文。ダイレクトコース/電話注文と総合コース共通
※6,ダイワ・ダイレクト/電話注文のみ、ダイワ・コンサルティング/店頭注文のみ。ダイレクト/電話注文とコンサルティング/店頭注文共通 ※各社のホームページを元に筆者作成

4,米国株投資におすすめの証券会社9社の特徴は?

次に米国株取引ができる証券会社9社の口座の特徴やメリット、デメリット、どういった人におすすめなのかを基本情報も含め紹介していこう。なお基本情報表の注文受付時間は冬時間を日本時間で表示。かっこ内は夏時間を日本時間で表示している。

SBI証券――住信SBIネット銀行の利用で米ドル/円為替手数料が断然お得

・SBI証券の米国株取引の特徴・メリット
SBI証券は米国株の取扱銘柄数を急速に増やしており、2020年11月15日現在の米国個別銘柄の取扱銘柄数は3,295銘柄。今回対象となった証券会社のうちで2番目の多さになっている。

住信SBIネット銀行との充実した口座連携サービスも魅力の一つだ。米ドル/円の為替手数料が片道4銭、さらにSBI証券と住信SBIネット証券間の外貨入出金手数料も無料になる。

米国株を取り扱うネット証券の米ドル/円為替手数料は、一般的には片道25銭である。外貨送金にも数千円もの手数料がかかる。

これに比べると、SBI証券×住信SBIネット銀行の為替手数料と入出金手数料無料は破格の安さといえる。加えて、こうした外貨入出金処理がネット上で簡単に完結できるのもSBI証券の強みであり、米国株投資にSBI証券を利用する最大のメリットになっている。

・SBI証券の米国株取引のデメリット
デメリットは、2020年11月15日現在では、米国株取引ができるのはWebサイトだけであることだ。SBI証券、楽天証券、マネックス証券の米国株取扱大手ネット証券3社のうち、SBI証券だけがスマホアプリ未対応である。

もっとも、米国株式専用スマホアプリが2021年3月までにリリースされることが発表されているので、SBI証券の米国株スマホアプリの登場に期待したい。

・SBI証券はどんな人におすすめ?
手数料も安く、手軽に取引できるインターネット専業証券。さらに、米国株スクリーナーの使いやすさと情報量の多さも重要なポイントだ。新たに株式投資を始める人や、米国株初心者、米国株投資に力を入れたい人にも使いやすいネット証券である。

・SBI証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 約定代金×0.495%(最低0米ドル、上限22米ドル)
銘柄数 個別:3,295銘柄/ETF:298銘柄/ADR:163銘柄
注文方法 3種類 指値/成行/逆指値
注文受付時間 以下を除く、米国営業日
・19:00~19:30
・日本の取引終了後~9:00
特定口座 選択可
NISA口座対応 可能
ツール Webサイト
(※SBI証券のホームページを元に筆者作成)

楽天証券――PC用取引ツール、スマホアプリのどちらでも米国株を取引できる

・楽天証券の米国株取引の特徴・メリット
楽天証券もSBI証券と同様に、米国株の取扱銘柄数を拡大。個別銘柄は3,003銘柄、米国ETFとADRは対象9社のうち最多の取扱数を誇る。2020年11月15日現在では、米国株初心者や一般的な個人投資家が取引したいと考える銘柄はほとんどそろっていると考えてよいだろう。

米国株投資に楽天証券を利用する最大のメリットは、PC用取引ツールの「マーケットスピード」と、スマートフォンアプリ「iSPEED」のどちらからも米国株を取引できることだ。情報量と操作性、機能性を備えたツールやアプリから直接米国株を取引できるのは楽天証券だけである。

・楽天証券の米国株取引のデメリット
高機能で便利なツールやアプリで取引できる反面、注文方法として指値注文と成行注文しか利用できず、リスク管理の面で不安が残る。

また米ドルを含む5通貨の外貨決済に対応、入金手数料は1回1,000円、出金手数料1,000円はキャッシュバックでお得になっているものの、外貨の入出金処理の不便さは変わらない。

こうした点が楽天証券の米国株投資の代表的なデメリットに挙げられる。

・楽天証券はどんな人におすすめ?
外出先から気軽で簡単に米国株取引をしたい人や、すでにマーケットスピードやiSPEEDを使って投資をしていた人が新たに米国株投資を始めるなら、使いやすさや携帯性に優れた楽天証券が最適だろう。

・楽天証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 約定代金×0.495%
(最低0米ドル、上限22米ドル)
銘柄数 個別:3,003銘柄/ETF:312銘柄/ADR:229銘柄
注文方法 2種類 指値/成行
注文受付時間 【月~金】8:00~翌6:00(8:00~翌5:00)
【土】8:00~翌2:30、3:30~5:00、5:15~6:00
(8:00~翌2:30、3:30~5:00)
【日】6:00~翌2:30、3:30~5:00、5:15~6:00
(5:15~翌2:30、3:30~5:00)
特定口座 選択可
NISA口座対応 可能
ツール Webサイト/マーケットスピード/iSPEEDアプリ
(※楽天証券のホームページを元に筆者作成)

マネックス証券――米国株の取扱銘柄数、注文方法、コスト、どれもトップレベル

・マネックス証券の米国株取引の特徴・メリット
国内のネット証券で、米国株といえばマネックス証券というほど、米国株の個別銘柄が豊富だ。サービスも充実しており、米国株投資ではメリットの多いネット証券である。

コストが安いのも大きな特長であり、業界最安水準の取引手数料に加えて、本来片道25銭の米ドル/円為替手数料が、買付時は無料になっている(2020年11月15日現在)。

注文方法も、定番の指値、成行、逆指値以外に、ツイン、連続、OCOなど、計8種類もの注文方法から選べる。

現地取次委託会社であるTradeStation社が開発した米国株取引専用スマホアプリの「トレードステーション米国株」も使いやすい。テクニカル指標や描画機能が多彩で、板情報の閲覧やチャートまたは板からの直接発注も可能なので、日本株と変わらない取引環境で米国株を取引できる。

米国株をNISA口座で購入できる証券会社は他にもあるが、米国ETFだけでなく、米国個別銘柄の買付時取引手数料も無料になるのはマネックス証券だけだ。

・マネックス証券の米国株取引のデメリット
気になるのは、PC取引用のWebブラウザの使い勝手の悪さだ。

Webブラウザもスマホアプリと同じTradeStation社が開発を手掛けているが、レーダースクリーン(銘柄リスト)やチャート、注文操作など、国内証券会社の取引ツールのGUIに慣れた人には、かなり見にくさや使いにくさを感じるだろう。

・マネックス証券はどんな人におすすめ?
マネックス証券は米国株取引環境の整った証券会社である。とりわけNISA口座を利用して米国株取引をする予定の人や、スマホアプリをメインに米国株を取引する人、コスト重視の人にはぴったりだといえるだろう。

・マネックス証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 約定代金×0.495%(最低0米ドル、上限22米ドル)
銘柄数 個別:3,509銘柄/ETF:306銘柄/ADR:188銘柄
注文方法 8種類
成行/指値/逆指値/ツイン/連続/OCO/
トレールストップ/トレールストップ(%)
注文受付時間 【プレマーケット】22:00~23;30(21:00~22:30)
【立会時間】23:30~翌6:00(22:30~翌5:00)
【アフターマーケット】翌6:00~10:00(翌5:00~9:00)
特定口座 選択可
NISA口座対応 可能
ツール Webサイト/トレードステーション米国株 スマートフォン
(※マネックス証券のホームページを元に筆者作成)

DMM.com証券 株――米国株取引手数料が恒久的に0円、ツールやアプリも使いやすい

・DMM.com証券 株の米国株取引の特徴・メリット
DMM.com証券 株の際立ったメリットは、米国株取引手数料の恒久的完全無料ということ。ここまでの低コストを実現している証券会社は同社だけである(2020年11月現在)。

また、PC用取引ツール「DMM株PRO」やスマホアプリ「DMM株」は日本株と米国株の共通プラットフォームで、シンプルで直感的な操作ができると定評だ。初心者でも使いやすいのが大きなメリットといえよう。

・DMM.com証券 株の米国株取引のデメリット
手数料では他社をリードする一方でDMM.com証券 株の米国株取引サービスは、SBI、楽天、マネックスに比べると十分とはいえない。取扱銘柄数は個別銘柄やETF、ADRを含めても1,094銘柄(2020年11月15日現在)。入手できる米国株投情報も決して多くはない。

・DMM.com証券 株はどんな人におすすめ?
米国株の取扱銘柄数や情報量の少なさは、確かに主要ネット証券に比べればデメリットにはなるが、業界トップレベルの低コストで米国株投資をしたい人や、ツールやスマホアプリをコンパクトにまとめてシンプルに米国株取引をしたい人には非常に便利だ。米国株はNISA口座でも取引できるので、徹底した低コスト投資を目指す人には最適だろう。

・DMM.com証券 株の米国株取引の基本情報

取扱手数料 0円
銘柄数 個別:891銘柄/ETF:84銘柄/ADR:119銘柄
注文方法 3種類 成行/指値/IFDONE
注文受付時間 【日~金】16:00~翌6:00(16:00~翌5:00)
【土】16:00~翌3:00(16:00~翌3:00)
特定口座 選択可
NISA口座対応 可能
ツール DMM株PRO+/DMM株STANDARD/DMM株PRO/DMM株
(スマホアプリ)
(※DMM.com証券のホームページを元に筆者作成)

PayPay証券――手軽さなら業界No.1 、株式投資や米国株投資初心者向き

・PayPay証券の米国株取引の特徴・メリット
スマホ専用証券会社であるPayPay証券は、アプリでの操作がシンプルでとにかく簡単なのが最大の特徴である。銘柄選択から購入まで3タップという簡単さだ。

米国株取引は、PayPay証券との相対取引なので、24時間いつでも取引が可能である。PayPay証券が提示する基準価格で、注文したその場で約定できる。

・PayPay証券の米国株取引のデメリット
デメリットは購入できる銘柄が限られることだ。2020年11月15日現在で112銘柄であり、米国株を取り扱う国内証券会社の中では最少レベルである。自分で米国株銘柄の情報を収集して投資したい銘柄を見つけても、取り扱われていない場合も考えられる。もっとも、米国の有名企業を厳選した品ぞろえになっているので、米国株初心者であれば、銘柄不足を感じることはないだろう。

また、手数料面でも他の証券会社と比較すると割高だ。ソフトバンクカードとドコモ口座を利用せずに入出金を行うと、手数料が利用者負担になる。さらに、PayPay証券の手数料に相当する基準価格に対するスプレッドが0.5%、もしくは0.7%と高めに設定されており、コストが若干高めになることは最大のデメリットである。

・PayPay証券はどんな人におすすめ?
コストは高めではある。しかし、銘柄選びや操作、注文も究極に手軽で簡単なことから、毎日多忙だが、まずは気軽に米国株を始めてみたいという人にとっては強い味方になるだろう。

・PayPay証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 23:30~翌6:30(23:30~翌5:30)
→基準価格×0.5%
・上記以外の時間帯
→基準価格×0.7%
銘柄数 個別:112銘柄/ETF:22銘柄/ADR:0/BDC:2銘柄
注文方法 1種類 提示価格のみ
注文受付時間 24時間
特定口座 選択可
NISA口座対応 不可
ツール スマホアプリ
(※PayPay証券のホームページを元に筆者作成)

サクソバンク証券――豊富な取扱銘柄と安い取引手数料、配当金再投資の仕組み

・サクソバンク証券の米国株取引の特徴・メリット
サクソバンク証券はデンマークに本社を置くオンライン銀行、サクソバンクの100%子会社である。外資系ネット証券の強みを生かして、米国株を含む世界中の外国株式1万2,000銘柄以上を取り扱っている。

サクソバンク証券の際立ったメリットは米国株の豊富な取扱銘柄数と、なんといっても国内取引手数料の安さだ。

取引所ごとに料率は違うものの、米国株式市場上場銘柄の場合、取引手数料は約定代金×0.20%(税込)である。これは手数料無料のDMMに次ぐ安さだ。下限手数料こそ5.0米ドルだが、上限手数料は15.0米ドル程度である。その上、現地取次手数料も不要になっている。

さらに、国内の証券会社にはない配当金再投資(DRIP)の仕組みが無料で導入されているのもメリットだ。源泉徴収された配当金は自動的に保有株式の買い増し資金として充当されるので資金効率が良い。

・サクソンバンク証券の米国株取引のデメリット
一方、サクソバンク証券での米国株投資のデメリットは、原則的に確定申告が必要になることだ。

サクソバンク証券で開設する口座は全て一般口座になる。一般口座では、給与所得者の場合、米国株取引や給与所得以外の所得合計が年間20万円超になると、必ず確定申告しなければならない。これは、通常確定申告が不要の給与所得者にとっては大きな手間になる。

・サクソバンク証券はどんな人におすすめ?
サクソバンク証券を利用する米国株投資は確定申告が前提となるが、給与所得者でも毎年不動産収入などがあって確定申告する人なら利用価値が高い。

さらに、高配当利回りの米国株を購入して長期投資したい人にとっては、低コストで資金効率が良いサクソバンク証券は有力な選択肢になるだろう。

・サクソバンク証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 取引金額×0.20%(最低5.0米ドル、上限15.0米ドル)
銘柄数 個別:4,449銘柄。/ETF:1,436銘柄/ADR:29銘柄
注文方法 5種類
成行/指値/逆指値
逆指値(指値)/逆指値(トレイリング)
注文受付時間 24時間
(土日および米国の祝日、休場日を除く)
特定口座 不可
NISA口座対応 不可
ツール PCブラウザ版「SaxoTraderGO」
PC DL版「SaxoTraderPRO
(※サクソバンク証券のホームページを元に筆者作成)

野村證券――証券業界の大御所、米国株投資にも便利

・野村證券の米国株取引の特徴・メリット
野村證券は、3大総合証券としては最も米国株サービスに力を入れており、ネット証券に次ぐ銘柄数の米国株を取り扱っている。米国株個別銘柄と米国ETF、あわせて739銘柄を取引できる。

野村證券に口座開設するメリットは、良質で豊富な投資情報を入手できることである。米国株投資にあたっても 「マーケット解説動画」や「野村ウィークリー」「グローバルエクイティ」などで、米国を中心としたグローバルマーケットのさまざまな情報を閲覧できる。

さらに総合証券としては唯一、オンライン専用支店「野村ネット&コール」、または「ほっとダイレクト」を利用して、日本株と同様に米国株も、オンラインあるいは電話で取引できる。国内取引手数料が本支店での取引手数料に比べて安くなるので、大きなメリットだ。

本支店口座を開設すれば、担当の営業員から米国株投資のアドバイスを受けたり、銘柄選択の相談にのってもらえたりするのも、野村證券を選ぶ利点だろう。

・野村證券の米国株取引のデメリット
野村證券のみならず、総合証券に共通していえることだが、米国株取引する際にコストが高くなりやすいことがデメリット。

ネット証券に比べて高い国内取引手数料に加えて、現地取次手数料も必要になる。野村證券のオンライン取引で国内取引手数料を抑えても、現地取次手数料が上乗せされてしまう。

総合証券に共通するもう一つのデメリットが注文受付時間だ。注文受付時間は日本時間の朝から夕方まで。米国の立会時間は日本時間の夜間になるため、国内の証券会社で注文を出しても、翌営業日にしか約定しない。その上、注文の取消はできるが、訂正はできない。

オンライン取引による米国株投資が可能な野村證券でさえ、米国株取引はスマホアプリに対応していない。そのため、日中在宅していないビジネスパーソンは、隙間時間にスマートフォンを使ってWebサイトから注文を出すことになる。

また、口座も米国株取引ではNISA口座を選択できないという点も注意したい。

・野村證券はどんな人におすすめ?
それでも、上質な野村證券の投資情報を利用しながら投資判断を下して、米国株をオンライン取引したい人や、本支店で相談しながら米国株取引したい人には、野村證券は良い選択肢になるだろう。

・野村證券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 <オンライン・電話注文>
【現地取引手数料】
必要(料率非公表)、売買代金により料率が異なる
【国内売買手数料】
売買代金20万円以下→2,986円
売買代金30万円以下→3,929円
以降、売買代金区分により手数料が異なる
(最低2,986円、上限25万1,429円
  <店舗注文>
【現地取引手数料】
必要(料率非公表)、売買代金区分により料率が異なる)
【国内売買手数料】
-売買代金7万1,000円以下の料率→11.00%
-売買代金75万円以下→7,810円
-以降、売買代金区分によって料率が異なる
銘柄数 個別:583銘柄/ETF:156銘柄/ADR:0
注文方法 買付→指値のみ 売却→指値/成行
注文受付時間 平日6:00~17:10
特定口座 選択可
NISA口座対応 不可
ツール Webサイト
(※野村證券のホームページを元に筆者作成)

SMBC日興証券――米国株でも明朗会計の総合証券

・SMBC日興証券の米国株取引の特徴・メリット
SMBC日興証券のダイレクトコース(オンライン専用口座)は、ネット証券並みの安い取引手数料と使いやすさで定評がある。このダイレクトコースを利用しているユーザーは、日興コンタクトセンターへの電話注文という形式で、総合コースと同様に米国株も取引できる。

2020年11月15日現在の取扱銘柄数は個別銘柄が109銘柄、米国ETFは60銘柄がラインアップされている。数は多くないが、米国株の取り掛かりにはちょうどよい数だろう。

米国株取引にSMBC日興証券を利用するメリットは、野村證券と同じく、総合証券としての質の高いサービスを利用できる点だ。

毎営業日の前場、後場後にメール配信される「東京株式ミニ市況」は、市況や経済関連ニュース内容が凝縮されており、忙しい人には投資情報を無駄なく知る貴重な媒体となる。相場に影響を及ぼす米国ニュースなども詳しく解説されており、米国株投資の投資情報としても役に立つ。

総合証券の米国株取引で必要になる現地取次手数料は、SMBC日興証券では「売買代金×0.2%」と公式ホームページで明示されている。料率が複雑で分かりにくく、非公表の野村證券、大和証券に比べるとシンプルで明朗会計だ。

・SMBC日興証券の米国株取引のデメリット
シンプルな料金体系とはいえ、SMBC日興証券の第一のデメリットはやはりコストだ。米国株の注文チャネルはオンライントレードでも電話注文しか使えない。そのため、国内取次手数料が総合コース(店頭注文)と同じになってしまい割高になる。上述のように、現地取次手数料もかかる。

注文受付時間中に米国株の注文を出しても、翌営業日の為替レート確定までにタイムラグがあり為替変動リスクを受けやすいことや、米国株をNISA口座で取引できないことも、人によっては使い勝手が悪いと感じる点だろう。

・SMBC日興証券はどんな人におすすめ?
SMBC日興証券の米国株取引サービスが向いているのは、細かいコストや為替損益よりも、総合証券のもつ投資情報に利用価値を感じており、主に米国株の人気銘柄への投資を予定している人だといえよう。

・SMBC日興証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 ダイレクトコース/電話注文と総合コース共通
【現地手数料】売買代金×0.2%
【国内取次手数料】売買代金×1.265%(3万470円上限)
銘柄数 個別:109銘柄/ETF:60銘柄/ADR:0
注文方法 2種類 指値/成行
注文受付時間 平日9:00~17:00
特定口座 選択可
NISA口座対応 不可
ツール ダイレクトコース→電話(コンタクトセンター)
総合コース→店頭・電話
(※SMBC日興証券のホームページを元に筆者作成)

大和証券――NISA対応とコンタクトセンターが魅力

・大和証券の米国株取引の特徴・メリット
大和証券の米国株投資は、ダイワ・コンサルティングコースなら店頭で注文、ダイワ・ダイレクトコースはコンタクトセンターへの電話注文が基本となる。ダイワ・ダイレクトの米国株投資は基本的にフリーダイヤルのコンタクトセンター対応。オペレーターの説明や情報量は豊富で頼りになるので、メリットの一つに数えられる。

また大和証券の米国株取引では店頭取引銘柄限定、円決済のみという条件はあるが、3大総合証券では唯一、米国株をNISA口座で取引できる。これも、メリットとして挙げられるだろう。

歴史と実績のある総合証券が提供する、専門性の高い投資情報にも信頼が置ける。

・大和証券の米国株取引のデメリット
大和証券最大のデメリットも、野村證券、SMBC日興証券と同様にコストだ。

注文チャネルは、ダイワ・ダイレクトが電話、ダイワ・コンサルティングが店頭になるので、どちらも取引手数料がオンライン手数料より高めに設定されている。大和証券の外国証券取引口座で米国株を保有すると年間3,300円(税込)の管理料を支払わなければならないことも、証券会社選びのネックになるかもしれない。

さらに大和証券ではオンラインでは米国株取引ができず、取扱銘柄や現地取次手数料などの基本情報もホームページ上で公表されていない。その都度、コンタクトセンターに電話して確認、注文する必要があるので手間がかかる。注文受付時間も日中に限定されてしまう。

・大和証券はどんな人におすすめ?
コスト高で手間もかかるデメリットはあるが、大和証券の上質な情報と、総合証券らしい丁寧な対応を最優先で望む人には、大和証券は適している。

・大和証券の米国株取引の基本情報

取扱手数料 ダイレクト/電話注文とコンサルティング/店頭注文共通
【現地手数料】変動するため非公表
【国内取次手数料】
-約定代金100万円以下の料率→0.99000%
-約定代金300万円以下の料率→0.88000%+1,100円
-以降、約定代金区分によって料率が異なる
【外国証券取引口座管理料】米国株保有で年間3,300円(税込)
銘柄数 ニューヨーク証券取引所やナスダック上場銘柄のうち、
大和証券取扱銘柄
(取扱銘柄はコンタクトセンターに確認)
注文方法 2種類 指値/成行
注文受付時間 平日8:00~18:00
特定口座 選択可
NISA口座対応 可能
(ただし、国内店頭取引銘柄を、円貨決済する場合に限る)
ツール ダイワ・ダイレクト→電話(コンタクトセンター)
ダイワ・コンサルティング→店頭
(※大和証券のホームページを元に筆者作成)

5,米国株の代表的な4つ取引所

米国の代表的取引所
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

米国株を取引するための証券口座を開設したら、いよいよ実際に売買を行うわけだが、その際に基本知識として、米国の市場の特徴は押さえておきたい。米国株が実際に取引されるのは、NYSE、ナスダック、NYSE Arca、NYSEアメリカンの4市場。各市場の上場銘柄の特徴と、代表的な銘柄を比較してほしい。

NYSE(ニューヨーク証券取引所)上場銘柄の特徴――大型の優良銘柄が中心 

NYSE(ニューヨーク証券取引所)は、米国ニューヨーク市にある世界最大規模の時価総額を誇る株式市場である。現在のNYSEは、インターコンチネンタル取引所(ICE)が所有・運営する一部門として機能している。

長い歴史をもつ重厚長大型の優良企業や、世界的な大企業または有名企業がNYSEの上場銘柄として名を連ねているのが特徴だ。2020年5月末現在で3,366社が上場しており、世界各国に本社を置く優良企業のADRも多数上場している。

代表的な銘柄としては、ボーイング、フォード・モーター、コカ・コーラ、ジョンソン&ジョンソン、ファイザー、ビザ、ウォルト・ディズニーなどがある。

NASDAQ(ナスダック)上場銘柄の特徴――巨大IT企業やハイテク企業が多数上場

NASDAQ(ナスダック)は世界有数の取引所運営会社「Nasdaq社」が運営する株式の電子取引所市場であり、NYSEのような立会場は存在しない。NYSEに次いで時価総額が大きな株式市場として知られている。

NASDAQは中小型のベンチャー企業(新興企業)向けの市場として発足したが、現在では世界規模のIT企業やハイテク企業が多数上場する市場としても認知されている。

2020年5月末現在の上場銘柄数は3,133社にものぼる。

上場銘柄には、マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コムといった世界の時価総額TOP10にランクインする巨大企業や、電気自動車のトップメーカーであるテスラ、世界有数の半導体メーカーのエヌビディアなどの有名企業も多い。

NYSE Arca(株式等の電子取引所)上場銘柄の特徴――米国ETFが中心

NYSE Arcaは、NYSEと同じインターコンチネンタル取引所(ICE)が運営する電子株式取引所である。NYSE本体から独立して運営されており、上場基準がNYSEに比べて緩やかであるのが特徴だ。

上場銘柄は米国ETFが中心であり、SPDR S&P500 ETFトラストやSPDR ゴールド シェア、バンガード S&P500 ETFなどの人気ETFが多数上場している。

NYSE American (アメリカン)上場銘柄の特徴――さまざまな業種の小型株が上場

インターコンチネンタル取引所(ICE)が運営するもう一つの電子株式取引所であり、主に小型株の市場として位置付けられている。

NYSE Americanには、一般消費財のアクメ・ユナイテッドや、総合食品メーカーのシーボード、独立系エネルギー会社のノーザン・オイル・アンド・ガスなど、幅広い業種の小型銘柄が上場している。

6,米国市場の代表的な3つの指数

米国市場の代表指標
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

米国市場で取引するための投資情報として、必ずチェックしたいのが米国株式市場のさまざまな株価指標である。

その中でも、米国株式市場を代表する3種類の指標、「ダウ工業株30種平均株価指数」「ナスダック総合指数」「S&P500種株価指数」の構成銘柄や算出方法などについて確認しておこう。

ダウ工業株30種平均株価指数――大型優良企業30社で構成

「ニューヨーク・ダウ」「NYダウ平均株価」「ダウ平均」などとも呼ばれる。米国の投資情報会社であるダウ・ジョーンズ社が算出・発表している、米国を代表する株価指数のこと。

ダウ平均は、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場する大型優良企業30社で構成されており、定期的に銘柄の入れ替えが行われている。

ダウ平均の算出方法は「ダウ式修正平均」と呼ばれており、銘柄入れ替えや権利落ちがあっても株価指標の連続性が失われないように、修正が加えられている。

ナスダック総合指数――NASDAQの全銘柄で構成

NASDAQ市場に上場する全銘柄で構成される時価総額加重平均指数のこと。

米国シリコンバレーを拠点とする主要IT企業や巨大ハイテク企業が構成銘柄に占める割合が高いため、米国あるいは世界のITおよびハイテク業界の業績動向を計るための株価指標として利用される。

S&P500種株価指数――大型株500銘柄で構成

「S&P500」とも呼ばれる、米国株式市場を代表するもう一つの主要株式指標。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・発表している。

ニューヨーク証券取引所とNASDAQ市場に上場する銘柄の中から大型株500銘柄を選出し、各社の株価を浮動株調整後の時価総額比率で加重平均して、指数化したものだ。

S&P500を構成する銘柄の時価総額だけで、米国株式市場全体の時価総額の約80%を占めているため、多くのETFでS&P500は米国市場大型株の参照指標として用いられている。

7,米国株売買で発生する費用・コストは?

最後に米国株を売買する際に発生する費用を整理しておこう。購入時にかかる費用・コストや、実際に売買する際の金額の種類を図式化すると以下のようになる。

為替手数料(為替スプレッド)……為替取引時に発生する費用・コスト

円から米ドル、もしくは米ドルから円への為替取引の際に、為替手数料(一般的には片道25銭)が発生する。為替手数料は、金融機関が定める為替レートにあらかじめ加味されている。

国内取引手数料……買付注文と売却注文時に必ず発生する費用・コスト

ネット証券、総合証券を問わず、買付注文あるいは売却注文が約定すると、約定代金に対して、国内取引証券会社が定める料率で国内取引手数料が発生する。

現地取次手数料……買付注文と売却注文時に上乗せされる費用・コスト

総合証券が現地の証券会社に米国株の売買注文を取り次ぐ「委託注文」を出す場合は、現地での取次処理のために、各証券会社が定める現地取次手数料を、別途支払う必要がある。

なお、ネット証券では現地取次手数料は発生しない。

SEC Fee……売却注文時だけ現地で支払う費用・コスト

売却注文が約定したときだけ、現地の証券取引所に支払う現地取引費用、「SEC Fee」が発生する。SEC Feeとして、売却時の約定代金1米ドルにつき、0.0000221米ドルが現地で源泉徴収される。

所得税等……売却注文時に国内で支払う税金

SEC Feeが差し引かれた残額を円換算した金額に対して、20.315%の所得税等が国内で課せられる。特定口座を利用している場合は源泉徴収され、米ドル換算された残額が外国株式取引口座に入金される。

現地の源泉徴収税と国内での所得税等……配当金の受取時に支払う税金

米国株の配当金を受け取る場合、現地で受け取る配当金総額の10%が源泉徴収税として差し引かれる。その後、特定口座を利用している場合には、国内でも所得税等が20.315%源泉徴収される。

特定口座の利用により国内で所得税等が源泉徴収される場合は、確定申告で「外国税額控除」を申告すれば、二重課税により払いすぎた税金の一定額までが還付される。

一般口座を利用する場合、給与所得者であれば、配当金や譲渡益をあわせた、給与以外の年間所得合計額が20万円超であれば確定申告する。

一部証券会社の外国株式取引口座管理料……その他追加的に必要になる費用

ほとんどの証券会社では、外国株式取引口座の管理費は無料であるが、一部証券会社では米国株の保有により、年間単位で管理費を支払う必要がある。

8,米国株取引の証券会社選びは多面的に判断を

米国株式市場は銘柄も豊富で成長性も期待できるため、関心のある人は少なくないだろう。

しかし国内株式への投資に比べて、為替手数料や割高の国内取引手数料、ときには為替差損が発生することもある。

また米国東部と日本は、冬時間なら14時間、夏時間では13時間もの時差があるため、注文が可能な時間帯も収益に関わる重要にポイントになる。

取扱銘柄数が多いことだけを証券会社選びの基準とするのではなく、注文しやすさ、相談しやすさ、投資情報の見やすさ、コストなどの観点からも、自分にとって使いやすい証券会社であるかをしっかりチェックした方がよいだろう。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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