特集『withコロナ時代の経営戦略』では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中での、業界の現在と展望、どんな戦略でこの難局を乗り越えていくのかを、各社のトップに聞く。

株式会社Best Stageは1989年(平成元年)、埼玉県富士見市にて創業。創業当初は住宅リフォーム工事が主な事業だったが、その後、不動産販売事業、不動産賃貸事業、自社施工による建築請負工事業と「不動産」に関する仕入れ・建築・販売までの一貫体制を構築して発展を遂げて来た。コロナ禍で様変わりする居住・勤務形態の中で、埼玉において東京近郊をターゲットエリアとし、アパート販売、建築を行う。「埼玉県の新築3階建て木造アパート戸数1位」を目標に掲げ事業を拡大している。

(取材・執筆・構成=中村優之介)

株式会社Best Stage
(画像=株式会社Best Stage)
椿内 学(つばきうち・まなぶ)
株式会社Best Stage代表取締役社長
1971年埼玉県富士見市生まれ。
25歳で株式会社Best Stageの前身である株式会社ベストホームに入社し、27歳で代表取締役就任。自身も平成16年(32歳)より不動産投資を行っている。

自分がやってみて、良いと思えたものをお客様に勧める

――1989年(平成元年)、埼玉県富士見市にて創業されました。

元々は私の父が会社を創業しました。当時は木製建具の会社でしたが、バブルということもあり、別会社を設立し、不動産もやってみようと。そして前身である株式会社ベストホームを立ち上げたのです。私は25歳で株式会社ベストホームに入社し、27歳で代表取締役となりました。その当時はリフォーム工事業がメインで、徐々に新築事業にも参入していったという感じです。

私はアパート経営に興味があったので、土地を買って、まず自らアパートを建ててみようと。そうしたら、アパートの家賃収入で、銀行の返済ができてしまう。なおかつ現金も少し残る。こんなに良いものだったらお客様にも勧めたいと、アパート事業も強化していきました。やはりお客様に勧めるにもまず自分がやってみて良さを感じ成功する。その思いから始めたら、事業が大きくなっていったのです。

Best Stage Camellia
今年2月に完成見学会を実施する3階建て木造アパート新シリーズ「Best Stage Camellia(ベストステージカメリア)」

――不動産事業においての強みはどんなところがあるでしょうか?

やはりアパート用地の仕入れと設計・施工を全て自社で行なっているところが強みと言えます。市場に出ている土地があったら、その土地で何戸の部屋が取れるかということが大事です。社内に設計士がおりますので、1時間もあれば何戸が入り、利回りはどれくらいだろうか、ということが瞬時にわかる。普通の不動産屋さんであれば、1週間くらいはかかってしまうところです。そのスピード感が強みです。

また、大手管理会社様数社と業務提携をしております。管理会社様が持っている情報を基に、こういう建物を建てたい、アパートを建てたいというお客様の要望と照らし合わせて、素早く見積もりを出せる点も喜ばれています。

――富裕層、投資家層の方向けに行っている事業などはございますか?

もちろんお客様には富裕層の方も多く、時には一棟購入していただいた方が二棟、三棟と購入していただくこともあります。この5年間くらいですと、合計7棟ほど購入していただいたお客様もいらっしゃいます。

我々は新築土地付きで表面利回り7~7.5%で販売していますけれども、購入して3~5年で売却するお客様も時々おられます。最近の事例ですと、購入時よりも高く売却されているお客様も多数いらっしゃいます。

Best Stage CABIN
収納スペースを効率よく確保するよう設計したオリジナルプラン「Best Stage CABIN(ベストステージキャビン」

――コロナ以前、以後で大きな変化はありましたでしょうか?

コロナ前は会社に出勤することが当たり前の時代でしたよね。コロナを機にテレワークやZoomだとか、オンラインコミュニケーションがよりスムーズにできるようになりました。我々もこれから支店展開を考えているのですが、オンラインによって支店展開もやりやすいなと。あとはやはりスタッフの働き方改革です。現在は週1回のテレワークをマストとしています。

――社長はブログやYoutubeでの情報発信もされていますね。

ICT担当部門があり、そこのスタッフから「Youtubeもこれから普及していくので、やっていきましょう」と提案がありました。そして「社長出てください。」と。まだまだ閲覧数も少ないですが、続けていく中で動画の数を増やし、閲覧数も伸ばしていきたいですね。実際にやってみると、伝えたいことを残せるのが良いなと。お客様が視聴してくださることによって、様々な広がりがあると思っています。

――コロナ禍において、これからの不動産業界はどのようになっていくとお考えでしょうか?

日本は少子高齢化で人口はどんどん減っていきますよね。我々は埼玉で展開しており、ターゲットエリアは国道16号の首都圏寄り。そこでアパート建築、販売に力を入れています。最近のデータでも、埼玉県の転入者数が全国1位になりました。地方の人口は減っても、首都圏は増えていく。コロナでテレワークが増え、都内に住んでいる人もどんどん埼玉に移ってきています。今後もやはり首都圏の人口は増える。もちろん地方も軽井沢などの別荘地でテレワークがますます普及していくだろうと言われていますけども、やはりまだ、「都内の本社に週1回は通わなければいけない」などがありますよね。なので、我々のターゲットエリアの人口はこれからますます増えていくと思います。

古いアパートは空室が増えていきますが、私たちが提供しているのは、基本的に駅徒歩10分以内、防犯カメラ、オートロック、防犯センサー、インターネット完備、部屋も広めの25平米前後。安心安全な差別化されたアパートというのは、女性の方中心に今後も需要があると思っています。

――今後の目標、到達までのアクションがございましたらお聞かせください。

目標としては、「埼玉県の新築3階建て木造アパートの施工戸数で1番になること」です。

そして本年の4月からは初めて、新卒社員が入ります。私たちの経営ビジョンとして「日本中のオーナーさんを元気にする。」、「ひとりひとりが情熱を持ち、発想豊かな創造企業。」を掲げています。オーナーさんを元気にするにはどうすれば良いのか、空室が出ない建物や手法といったことを、引き続き考えていきたいですね。