FX会社を選ぶ際はツールやスプレッド、スワップポイントだけでなく、預かり証拠金残高も確認しておきたい。預かり証拠金はFX会社の規模を数値で知ることができるもの。ここでは証拠金とは何かを含め、ランキングと各社の特徴を紹介していこう。
目次
1,FX預かり証拠金残高ランキングTOP8!
預かり証拠金残高のランキングを見てみよう。2021年1月7日時点でのデータを整理した。
順位 | 会社名(サービス名) | 預かり証拠金残高(円換算) |
---|---|---|
1 | GMOクリック証券株式会社 (FXネオ) |
208,645(百万円) |
2 | 株式会社DMM.com証券 (DMM FX) |
129,700(百万円) |
3 | 株式会社外為どっとコム (外為どっとコム) |
123,458(百万円) ※2021年10月時点 |
5 | 株式会社マネーパートナーズ | 61,812(百万円) |
6 | トレイダーズ証券株式会社 (LIGHT FX・みんなのFX) |
59,972(百万円) |
7 | ヒロセ通商株式会社 (LION FX) |
57,801(百万円) |
8 | 株式会社FXプライムbyGMO (FXプライムbyGMO) |
18,388(百万円) |
2,ランキングTOP8のFX口座の特徴を紹介
上位8社のFX口座の特徴を整理していこう。FX口座を選ぶとき、預かり証拠金残高の金額と併せて判断材料として活用してほしい。
1位,GMOクリック証券株式会社(FXネオ)
ファイナンス・マグネイト社調べにおいて、8年連続でFX年間取引高国内1位を獲得しているのがGMOクリック証券だ。GMOインターネットグループ関連会社が運営しているという安心感から選んでいるという人も多いようだ。
業界最安値水準の手数料を誇っており、その安さには定評がある。口座の開設費や維持費は無料で、口座開設は最短1分でできるため、手軽に始めやすいのも嬉しいポイントだ。基本的に入出金には手数料がかかるが、提携金融機関に口座があれば即時入金サービスの利用も可能で、その場合は入出金にかかる手数料はすべて無料になる。
また、FX取引を行う上では約定力の高さも重要なポイントだ。その点、GMOクリック証券はインターネット大手が運営しているため、サーバーが強く約定力にも定評がある。
2位,株式会社DMM.com証券(DMM FX)
DMM FXは外為ジャパンの口座数とあわせて80万口座を突破している。有名タレントをCMに起用し認知度が高いため、特に初心者にとっては新しくFXを始めるのに使いやすい。手数料は業界最安値水準を維持しており、口座開設費や維持費も無料なので、コストを抑えて取引をしたいという人にはぴったりだ。
運営しているDMM.com証券は資本金が98億円で、DMM.comグループの金融サービスを担っている。DMM.comグループ全体で2,000億円を超える売上高を達成していることもあり、信頼性の高さではFX業界においてトップクラスといえるだろう。
すべての通貨ペアにおいて業界最狭水準のスプレッドを提供していることでも知られており、初心者だけでなく経験のあるトレーダーにも人気がある。
3位,株式会社外為どっとコム(外為どっとコム)
総合力が高く、初心者から上級者まで平均的に好まれているFX会社だ。資本金は約778,500,000円(2021年3月末現在)と会社規模としても盤石であり、2021年4月末時点での総口座数は53万を超えている。総口座数は年々増加傾向にあり、年間取引高も順調に伸びている。
外為どっとコムは2002年に設立され、FX会社の中でも老舗に分類される。長く最前線で運営されているだけあって、システムの強さやツールの使いやすさ、手厚いサポートや豊富な情報量にも定評がある。最低取引単位は1,000通貨と初心者でも始めやすい点に加え、スプレッドは全通貨において最狭水準を保っているためFX上級者にも好まれている会社だ。
5位,株式会社マネーパートナーズ
マネーパートナーズは、矢野経済研究所が実施したFXサービスパフォーマンステストにおいて10年連続で約定力1位、「2020年 オリコン顧客満足度®調査 FX取引 証券会社」において5年連続で顧客満足度1位を獲得しているFX会社だ。
2013年、FX専業会社としては初めて東証1部に上場しており、資本金も31億円と潤沢で、会社の信頼性は高い。知名度があまり高くないためか、総口座数は2020年11月末時点で34万程度にとどまっている。
6位,トレイダーズ証券株式会社(LIGHT FX・みんなのFX)
トレイダーズ証券はLIGHT FXとみんなのFXの2つのFX口座があり、どちらも初心者におすすめの口座として口コミ評価が高い。資本金は23億円と会社としての信頼性も高く、2013年にはジャスダックへの上場も果たしている。同じ会社の運営ということもあり、口座のスペックや取引ツールの仕様、使い勝手という点では2つのFX口座に大きな違いはない。
LIGHT FXはスプレッド幅の狭さとスワップポイントの高さに定評がある。2018年にスタートしたばかりのサービスということもあり、システム運用においては課題も多いが、著名人を宣伝に起用していることで知名度を上げてきている。
みんなのFXは2017年に取引システムをリニューアルしたことで、業界でも条件のいいFX口座として認知されるようになった。ツールの使いやすさや豊富な情報量で初心者のFXデビューをサポートしてくれる上に、スプレッドの狭さに加えてスワップポイントが高水準を維持していることでスワップ運用目的のトレーダーにも人気が高い。
7位,ヒロセ通商株式会社(LION FX)
ヒロセ通商はジャスダック上場企業であり、資本金も9億円と信頼性の高い会社である。しかしながら親会社をもたない独立経営のためか知名度が低く、総口座数は2020年11月末時点で約28万程度。口座開設で現金キャッシュバックやグルメ食材のプレゼントなどのユニークなキャンペーンを行っているのが特徴だ。取引システムの機能性の高さには定評があり、初心者にはもちろん特にFX経験者に好まれている。
8位,株式会社FXプライムbyGMO(FXプライムbyGMO)
株式会社FXプライムbyGMOは伊藤忠商事の完全子会社として設立され、その後GMOフィナンシャルHDの傘下に入った。同グループ傘下のGMOクリック証券とは競合関係にあり、スキャルピングの可否や最低取引通貨単位などで差別化されている。資本金は1億円と手堅くGMOグループの強みである約定力の高さにも定評がある一方、総口座数は20万程度にとどまっている。
オンラインセミナーを積極的に行っており、豊富な情報量に価値を感じているトレーダーは多い。
3,証拠金とはなにか?
FX取引においては、「証拠金」について理解しておく必要がある。証拠金にはどんな役割があり、なぜ重要なのか、その意味と仕組みを知ることで実際の口座選びや取引に役立てていこう。
証拠金とは担保金のこと
証拠金とは、FXにおいて為替取引を行うために必要な担保金のことだ。欲しい利益を得るために必要な担保金を「必要証拠金」と呼び、トレーダーがあらかじめFX会社ないし信託銀行に証拠金として預けている担保金を「預かり証拠金」と呼ぶ。
金融商品取引法で定められた「信託保全」制度の一環として、FX会社は信託銀行に証拠金を預け入れるようにしている。万が一にもFX会社が倒産した場合、信託銀行がトレーダーに預かり証拠金を返却できるようにするためだ。
預かり証拠金は銀行の預金とは異なり金利がかかるわけではなく、信託銀行と提携しているFX会社であれば会社が倒産したときには返却されるようになっている。しかし、預け入れた金額が絶対に保証されるわけではないことに注意しよう。後述するが、預かり証拠金を担保として取引した結果、証拠金が不足することや追加で入金する必要が出てくることもある。
レバレッジの仕組み
FXには「レバレッジ」という仕組みがある。レバレッジとは「レバー=てこ(梃子)」が語源であり、少ない金額(証拠金)で大きな金額を動かす仕組みを「てこの作用」に見立てたことで生まれた用語だ。FX取引において実際に持っている資産より大きな金額を動かすことを「レバレッジを利かせる」といったり、「レバレッジ効果」といったりする。
4,FX取引をするのにいくら必要なのか?
レバレッジの仕組みがあるため、FX取引は少額で大きな利益をつくりだす可能性もある。そのため、取引をスタートするのにいくら必要なのか、いくらあればどれくらい稼げるかを厳密に定義することは難しい。レバレッジと証拠金、利益の関係を整理するので、そこから自分にとっての必要資金を概算してほしい。
FX取引における利益の出し方
例えば資金が10万円あって1ドルあたり100円のとき、1万5,000ドル分投資するためには通常100円×1万5,000ドル=150万円が必要だ。FXでも同様の取引は可能だが、レバレッジを使えば10万円の資金で1万5,000ドルの取引ができる。この場合は円換算150万円÷資本10万円=15なので「15倍のレバレッジが利いている」といういい方をする。
取引金額が1万5,000ドルで、為替が1ドルあたり100円から110円に動いたときに決済すると、1ドルあたり10円プラスになるので、1万5,000×10円=15万円のプラスになる。これがFXの基本的な利益の出し方だ。
資金10万円でレバレッジ(1倍、10倍、25倍)を効かせるには
下図の事例の場合(1ドル=100円、資金10万円)、取引金額1,000ドルがレバレッジ1倍、取引金額10,000ドルがレバレッジ10倍、取引金額25,000ドルがレバレッジ25倍である。
1ドルが110円に動いたとき、1,000ドル投資すれば1万円、1万ドル投資すれば10万円、2万5,000ドル投資すれば25万円の利益を生む可能性があるということになる。
日本のFX会社は金融庁が定めたルールに則り、個人名義でかけることが可能なレバレッジは最大25倍までと決められている。上図を見てもわかるように、レバレッジの倍率が高いほど少額で大きなプラスをつくりだす確率があがるため、効率よく資産を増やすことができる。
しかし、レバレッジを常に最大25倍かけておくことは避けたほうがいいだろう。為替がプラスに動けばいいが、マイナスに動く可能性は常にある。そのとき、もし証拠金100万円をすべて25倍のレバレッジでかけていたとすると、為替差損が生まれてしまう。基本的に損失が証拠金満額に達する前に強制ロスカットされるが、証拠金すべてを使っていた場合、強制ロスカットされると証拠金が足りなくなってしまうのだ。そのため預け入れる証拠金は多めにしておき、万が一の損失リスクに備えておくのがベストだ。
必要証拠金(率)とレバレッジの関係
FX取引においていくら必要になるかは、いくらの利益を得たいかという点とレバレッジをどれくらいかけるかによって左右される。
レバレッジを活かして利益を生むための必要証拠金額は、FX会社のルールや通貨ペア、円評価レートの変動によって変わるため一概にはいえない。だが多くのFX会社において、レバレッジが25倍のときは必要証拠金率を4%としている。つまり4万円を元手にし、1ドルあたり100円のときに1万ドル取引すると、100円×1万ドル=100万円、100万円÷4万円=25で「レバレッジが25倍利いている」ことになる。
同じケースで100万円分取引して、1ドル100円だった為替が110円に動いたときに決済すれば、10万円のプラスをつくりだす。レバレッジが25倍で必要証拠金率4%の場合、最低でも4万円あれば10万円のプラスをつくりだす可能性があるということになるのだ。
必要証拠金率はレバレッジの倍率によって変わってくる。例えば楽天銀行のFXでは、レバレッジが2倍、5倍、10倍、25倍の4つのコースを選ぶことができ、レバレッジが25倍のときには4%の証拠金率だが、レバレッジが2倍となると証拠金率は50%となる。FX会社が公開している情報やサポートに問い合わせるなどして確認しておくといいだろう。
5,「預かり証拠金残高」はFX口座を選ぶときの目安になる
FX口座選びの際には、預かり証拠金残高を見たほうがよい。預かり証拠金残高が多いほど、そのFX会社が人気であることを示しているからである。預かり証拠金はFX会社がトレーダーから預かっている担保金だ。つまり預かり証拠金残高が多いということはFX会社の利用者が多く、取引が活発に行われているということになる。
反対に預かり証拠金残高が少ないところは利用者が少ない証拠金で運用しているか、他の口座に証拠金を預けているため、そのFX会社に対する信用が低いことの表れともいえるだろう。
FX口座を選ぶときには預かり証拠金残高を確認し、信頼できて安心して取引できるFX会社を見つけてみよう。
監修者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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