楽天証券は新規口座開設数が多い人気のネット証券だが、投資信託を買うのに楽天証券は適しているのだろうか。楽天証券で投資信託を買うメリットや注意点、楽天証券で人気の投資信託、楽天証券が向いている人について見ていこう。

1.楽天証券の投資信託は豊富な取扱商品とすべてノーロードが特徴

投資信託,楽天
(画像=JHVEPhoto/stock.adobe.com)

楽天証券は、主要証券会社で口座開設数がトップレベルの人気ネット証券だ。楽天証券を利用すると、楽天市場などでポイント還元率が上がるといった特典がある。

楽天証券は投資信託の取扱数が多く、取引手数料は主要ネット証券で最低水準である。楽天証券の投資信託の基本情報は以下のとおりだ。(データは2021年1月22日時点)。

楽天証券 投資信託 基本情報
投資信託本数 2,699本
購入手数料 無料(すべてノーロード)
積立投資 最低積立金額:100円
積立頻度:毎月、毎日(つみたてNISAの場合)
サポート時間 ・電話:平日8:30~17:00(土日祝・年末年始を除く)
・有人チャット:平日9:00~18:00
・AIチャット:24時間
・メール:24時間
※楽天証券ウェブサイトより筆者作成

投資信託の取扱数は2,500本を超えており、主要ネット証券で最多レベルだ。しかも、そのすべてがノーロード(購入手数料無料)である。

投資信託の最低積立金額は100円からと積立投資を始めやすく、積立頻度はつみたてNISAなら「毎月」に加えて「毎日」も選べる。

サポートは24時間利用できるAIチャットに加えて、平日の日中は電話や有人チャットも利用できる。

2.楽天証券で投資信託を買う4つのメリット

楽天証券は、投資信託の購入においてメリットが多い証券会社だ。4つのメリットを見ていこう。

メリット1……豊富な投資信託の取扱と購入手数料の低さ

楽天証券は投資信託の取扱数が多いため、豊富な取扱商品の中から自分に適したものを選べる。主要証券会社の投資信託とノーロード(購入手数料無料)投資信託の取扱数は以下のとおりだ。(データは2021年1月22日時点)。

証券会社 投資信託 取扱数 ノーロード投資信託 取扱数
楽天証券 2,699本 2,699本
SBI証券 2,654本 2,654本
野村證券 998本 未確認
大和証券 540本 58本
SMBC日興証券 1,073本 621本(ダイレクトコース)
※各証券会社ウェブサイトより筆者作成

主要証券会社では、楽天証券はSBI証券と並んで投資信託の取扱数がトップレベルだ。また、すべての投資信託がノーロードであり、コストの面でもメリットがある。

メリット2……積立投資はさまざまな引き落とし方法を選べる

楽天証券では、投資信託の積立金の引き落とし方法が豊富だ。利用できる積立投資の引き落とし方法は、以下のとおりだ。

積立引き落とし方法 コメント
証券口座から 証券口座の資金を振り替える
楽天カードクレジット決済 決済額100円につき1ポイントが付与される
楽天銀行から 楽天銀行から自動で買付資金を振り替える
楽天カード支払口座から 支払口座から積立代金を自動で引き落とす
その他金融機関から 指定の金融機関の口座から毎月自動で引き落とす
※楽天証券ウェブサイトより筆者作成

一般的に積立投資で利用されるのは、証券口座から資金を振り替える方法だろう。

この中で特徴的なのは、楽天カードクレジット決済による積立投資だ。楽天カードクレジット決済を利用すれば、積立投資でも楽天ポイントが付与されるので、楽天カード保有者におすすめだ。

楽天銀行からの引き落としでは、楽天証券のログイン後の画面で楽天銀行口座の預金残高を確認できるため、口座残高を把握しやすいというメリットがある。

その他金融機関からの引き落としは、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合など、多くの金融機関に対応している。

メリット3……投資信託の保有でもポイントが貯まる

前述のとおり、楽天カードクレジット決済で楽天ポイントが貯まるが、投資信託の保有でもポイントが貯まる。

投資信託の保有でポイントを得る方法は、「ハッピープログラム」と「投資信託資産形成ポイント」の2つだ。

どちらを利用するかは、楽天銀行と楽天証券の口座連携サービス「マネーブリッジ」を利用するかどうかで決まる。

マネーブリッジ 適用される制度 付与されるポイント数
利用する ハッピープログラム 投資信託の残高10万円ごとに4ポイント
利用しない 投資信託
資産形成ポイント
投資信託の残高に応じて
ポイント付与数が変わる
50万円以上200万円未満:50ポイント
200万円以上400万円未満:100ポイント
400万円以上600万円未満:150ポイント
600万円以上800万円未満:200ポイント
800万円以上1,000万円未満:300ポイント
1,000万円以上2,000万円未満:500ポイント
2,000万円以上:1,000ポイント
※楽天証券ウェブサイトより筆者作成

マネーブリッジを利用する場合はハッピープログラムを、利用しない場合は投資信託資産形成ポイントを利用することになる。

ハッピープログラムでは、投資信託の残高10万円ごとに4ポイントを毎月受け取れる。投資信託資産形成ポイントでは、保有残高により受け取れるポイントが段階的に変わる。どちらが得かは、保有残高によって変わる。

例えば、投資信託の残高が50万円以上200万円未満の場合は、投資信託資産形成ポイントでは50ポイントを受け取れるが、ハッピープログラムで50ポイントを上回るのは残高130万円のときの52ポイント(=4ポイント×130万円÷10万円)である。

残高が50万円以上200万円未満の場合は、残高が50万円以上130万円未満なら50ポイントをもらえる投資信託資産形成ポイントのほうがお得で、残高が130万円以上200万円未満なら52ポイント以上をもらえるハッピープログラムのほうがお得だ。

マネーブリッジを利用するメリットと得られるポイントを考慮して、マネーブリッジを利用するかどうか検討してほしい。

メリット4……楽天ポイントまたは楽天証券ポイントで投資信託を買える

楽天証券では、貯まったポイントで投資信託や国内株式(現物)、バイナリーオプションを買うこともできる。

投資信託の買い付けでは「ポイント投資(投資信託)」として、楽天ポイントまたは楽天証券ポイントを買付代金の一部または全部に充てられる。また、ポイントは投資信託の積立にも利用可能だ。

さらに、楽天ポイントコースを設定して500円分以上のポイント投資(投資信託)を利用すれば、楽天市場でのポイントアップといったメリットもある。

3.楽天証券の投資信託ランキング!初心者におすすめの商品6選

初心者が楽天証券の投資信託を選ぶ際は、投資信託の買付金額や積立金額などのランキングが参考になる。中長期投資を前提とするなら、積立金額や積立設定といった積立投資のランキングを確認するとよいだろう。

楽天証券での投資信託の積立金額月間ランキングTOP10(2020年12月)は、以下のとおりだ。

楽天証券 投資信託 積立金額 月間ランキング(2020年12月)
順位 ファンド名 運用会社 運用タイプ 管理費用
(含む信託報酬)
(税込)
1位 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際 インデックス型 0.0968%
2位 eMAXIS Slim全世界株式
(オール・カントリー) 
三菱UFJ国際 インデックス型 0.1144%
3位 楽天・全米株式インデックス・ファンド 楽天投信 インデックス型 0.162%
4位 eMAXIS Slim先進国株式インデックス 三菱UFJ国際 インデックス型 0.1023%
5位 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 楽天投信 インデックス型 0.212%
6位 eMAXIS Slim新興国株式インデックス 三菱UFJ国際 インデックス型 0.187%
7位 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) 三菱UFJ国際 インデックス型 0.1144%
8位 iFree NEXT NASDAQ100インデックス 大和 インデックス型 0.495%
9位 eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 三菱UFJ国際 インデックス型 0.154%
10位 ひふみプラス レオス アクティブ型 1.078%
※楽天証券ウェブサイトより筆者作成

ランキングを見ると、管理費用が0.3%よりも低いインデックス型がほとんどであることがわかる。アクティブ型の投資信託は、レオスのひふみプラスだけだ。

このランキングから、中長期投資で初心者にもおすすめできる投資信託を資産別に紹介しよう。

資産:国内株式……ひふみプラス

ひふみプラスは、良好な運用成績で人気のアクティブファンドだ。基準価額は、2012年の運用開始から5倍(2021年1月22日時点)になっている。

ひふみプラスの主な投資先は国内株式であり、一部外国株式も含んでいる。投資先は、市場価値が割安と考えられる銘柄だ。市場リスクが高いときなどは、現金などの比率を高めるなど柔軟な運用を行っている。

2020年12月30日時点の構成銘柄は東証一部の銘柄が多く、組入比率上位には大型株と中小型株がある。

資産:米国株式……楽天・全米株式インデックス・ファンド

楽天・全米株式インデックス・ファンドは、米国株式市場で投資できるほぼすべての銘柄に投資する。構成銘柄数は、2020年11月末時点で3,500ほどだ。

実質的な投資対象は、米国バンガード社の「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」である。バンガードは世界最大級の運用会社であり、インデックス・ファンドの世界シェアNo.1の会社だ。

2017年の運用開始から3年弱で純資産総額が1,000億円を超えた人気の投資信託であり、その後も純資産総額は右肩上がりで増えている。

なお、米国の主要500社で構成されるS&P500指数に連動する投資成果を目指す商品としては、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)もおすすめだ。

この2つの投資信託は構成銘柄に違いがあるため、管理費用(運用コスト)だけでなく過去の運用成績なども比較してから選んでほしい。

資産:先進国株式……eMAXIS Slim先進国株式インデックス

eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、日本を除く先進国株式に投資する投資信託だ。ベンチマークとする指数は、先進国株式で一般的なMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)である。

2020年12月末時点の国別構成比率はアメリカが約3分の2で、構成銘柄数は1,300弱、上位には時価総額が大きいアメリカのテクノロジー企業が多い。

信託報酬を含む管理費用は先進国株式の投資信託としては最低水準であり、純資産総額は2017年の運用開始から右肩上がりで増加して1,500億円を超える人気のインデックス・ファンドである。

資産:新興国株式……eMAXIS Slim新興国株式インデックス

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは、新興国の株式に投資する投資信託だ。ベンチマークとする指数は、新興国株式で一般的なMSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)である。

2020年12月末時点の構成銘柄数は約1,400で、構成比率の上位には中国企業を中心に台湾、韓国、南アフリカ、インドなどの銘柄が入っている。

信託報酬を含む管理費用は新興国株式の投資信託としては最低水準であり、純資産総額は右肩上がりで順調に増加している。

資産:全世界株式……楽天・全世界株式インデックス・ファンド

楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、先進国(日本を含む)と新興国の株式市場に投資する投資信託だ。

ベンチマークは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)。2020年12月末時点で、この指数は約50ヵ国の大型株から小型株まで9,000近い銘柄で構成されている。

2020年11月末の構成比率上位10銘柄は、アメリカと中国のテクノロジー企業が中心だ。

なお、全世界株式の別のインデックス・ファンドであるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)(配当込み、円換算ベース)という異なる指数をベンチマークとする投資信託であり、こちらもおすすめだ。

MSCI ACWIは、大型株と中型株からなる3,000程度の銘柄で構成されており、上記のFTSEよりも銘柄数が少ない。

この2つの投資信託は、過去の運用成績などを比較してから選ぶとよいだろう。

資産:バランス(資産複合)……eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・先進国のリートの8資産に均等に投資する投資信託だ。

信託報酬を含む管理費用0.154%(税込)は、バランス型の投資信託としては最低水準である。積立金額や積立件数といった積立投資の投資信託ランキングで上位に入ることが多い、人気の投資信託である。

この投資信託は8資産に均等に投資するため、資産配分に変動があった場合は自動的にリバランス(資産配分の調整)が行われる。

4.楽天証券で投資信託を買う際の3つのデメリットや注意点

楽天証券における投資信託の購入には、デメリットや注意点もある。ここでは、3つのデメリット・注意点を紹介しよう。

⑴投資信託を口数で購入する場合は暫定の資金拘束がある

投資信託を口数で注文する場合は、注文時に約定金額は確定せず、約定してはじめて取引金額が確定する。

楽天証券で投資信託を口数で購入する際は、前営業日の基準価額に価格変動分として10%を上乗せした金額が暫定的に拘束される。そうすることで、基準価額が上昇しても不足が発生しないようにしているのだ。

そのため、想定よりも多額の資金が拘束されることがある。暫定の資金拘束を避けるには、購入注文を口数ではなく金額で指定すればよい。

⑵楽天カードクレジット決済での積立設定から積立購入開始まで時間がかかる

楽天カードクレジット決済での積立では、積立設定をしてから積立購入開始まで時間がかかるため注意したい。

楽天カードクレジット決済の積立の申込締切日は毎月12日であり、12日までに積立設定をすれば翌月から積立購入が開始される。申し込みが13日以降になると、積立購入の開始は翌々月からになる。

例えば、1月15日に楽天カードクレジット決済による積立を申し込んだ場合は、積立購入の開始は3月になり、申し込みから積立開始まで1ヵ月以上かかることになる。

⑶期間限定ポイントは投資信託の買付に利用できない

楽天証券でのポイント投資(投資信託)において、期間限定ポイントは投資信託の買付に利用できないため注意してほしい。

他のポイントから交換した楽天ポイントも、ポイント投資(投資信託)には利用できない。楽天証券ポイントコースのポイントを、自ら交換した楽天ポイントもそれに含まれる。

それらのポイントは投資信託の買付に利用できないため、楽天グループの他のサービスで利用するとよいだろう。

5.楽天証券の投資信託はどんな人におすすめ?

楽天証券の投資信託のメリットを踏まえると、以下のような人におすすめしたい。

・豊富な取扱商品から投資信託を選びたい人
・投資信託の購入手数料を節約したい人
・楽天カードクレジット決済で投資信託を購入したい人
・楽天のポイントを貯めたい人
・楽天グループのサービスをよく利用し、ポイントを利用して投資信託を購入したい人

楽天グループ内のさまざまなサービスを利用すると、楽天市場でのポイント付与率が上がり、ポイントが効率よく貯まるようになる。貯まったポイントを投資に利用することもできるので、ポイントの使い道に困ることはないだろう。

このように、楽天証券は多くのメリットがある証券会社だ。投資信託を取引する金融機関を選ぶ際は、それぞれのメリットに加えて、ウェブサイトやスマホアプリなどの使いやすさも比較して検討したい。

執筆・松本雄一(セキュリティ・金融アドバイザー)
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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