株式や投資信託、ETF、先物、FX、仮想通貨など個人投資家が取り組める投資には実に多くの種類があります。そんな選択肢の一つ「CFD取引」をご存じでしょうか。日本ではあまり広く知られてこなかったCFD取引ですが、近年は国内の証券会社も相次いで取り扱うようになりました。メリットの多さも後押しして、注目度が高まっています。
しかし、「CFD」という何かの頭文字を取ったようにも見えるアルファベットの羅列だけでは、いったいどんな投資商品なのか見当もつかない人も多いのではないでしょうか。CFDの名前を見聞きしたことがある人でも、「聞いたことはあるがイマイチよくわからない」と感じている人もいるかもしれません。そこで当記事では、CFD取引の基礎知識やメリットとデメリット、利益を上げる方法などについて解説します。
「CFDが気になっていたので始めてみたい」と考えている人は、この解説を判断材料としてみてはいかがでしょうか。
CFD取引の時代がやってくる?
最初にCFD取引の基本的な知識をまとめておきます。CFDとは「Contract For Difference」の略で、和訳すると「差金決済取引」です。CFDでは世界中のあらゆる金融商品を投資対象としていますが、直接やり取りすることはなく、参照原資産と呼ばれる世界の主要な金融市場の商品(株式や指数、コモディティ、為替、債券、オプション、ETP)を経由して価格が動きます。投資家は1つの口座で同時に多くの金融商品に投資することができ、参照原資産の値動きを利用して、差額による利益を狙う投資方法です。
あまり意識されていないことですが、実はFXもCFD取引の一種となります。FX投資家は、世界中の通貨を取引対象としますが、実際に外貨の現物をやり取りするわけではありません。通貨ペアの値動きを利用して差額を狙ったり金利差によるスワップ収入を狙ったりしますが、外貨を取引している決済の取引はすべて日本円で行われます。こういったことが可能になるのは、FXもCFDの一種で差金決済取引の仕組みを利用しているためです。
後述しますがCFD取引には特有のメリットがあります。例えば以下のようなものです。
- 24時間取引可能
- 売りからのエントリーも買いと同条件
- レバレッジを効かせて投資効率を高められる
CFD取引はFXと同様のメリットを持っており、世界中のさまざまな金融商品に当てはめることができるのです。日本国内でもすでに一部の証券会社で取り扱いがありますが、2021年1月下旬から楽天証券がサービスを提供開始するなど大手ネット証券にも本格参入の動きがあります。これを契機にCFD取引が日本国内でもメジャーなものになっていくかもしれません。
CFDで取引できるもの
CFDは、金融商品を参照原資産にしているので、世界中にある「値動きのあるもの」であれば、理論上は何でも取引できることになります。FXは外貨を取引しますが、CFDでは外国の個別株や世界各国の株価指数、商品(金、大豆など)も取引可能です。株価指数とは、日経平均株価やニューヨークダウ平均株価などそれぞれの市場にある株価指数指します。
これは経済指標であって実物のある金融商品ではありませんが、CFDで取引ができるようになります。
CFD取引のメリットとデメリット
魅力の多いCFD取引ですが、ここでメリットとデメリット(リスク)を整理しておきましょう。
CFD取引のメリット
CFD取引のメリットは、主に以下の4つがあります。
・少額・小口で始められる
株式投資では取引できる最小の株式数(単元)が決まっており概ね10万円以上必要ですが、CFD取引であれば1株から取引が可能です。例えばGMOクリック証券のCFDの場合、株価指数であれば取引金額の10分の1、商品であれば20分の1といった具合です。
・売りから入る投資が行いやすい
通常、株式投資で売りからのエントリーをするには、信用取引口座の開設が必須です。しかしCFD取引であれば、個別株であっても買いと売り同条件でのエントリーが可能なので、売りから入りたい投資家には低コストとなります。
・ほぼ24時間いつでも取引できる
CFDは、平日のほぼ24時間、常に動いています。金融商品が取引されている市場がクローズしている場合、通常は取引時間外となりますがCFDは即座に取引が行えるのも大きな魅力の一つです。
・取引できる金融商品のバリエーションが豊富
CFDでは、商品(モノ)も取引可能でありコロナショックで注目を集めた金(ゴールド)や原油なども手軽に取引が可能です。これらの商品に現物投資をするとなると簡単ではありませんが、CFDであれば大豆やコーンといった穀物に関連した商品の取引も可能です。
CFD取引のデメリット
メリットに続いてCFD取引のデメリットを2つ解説します。特に1つ目のリスクに関しては「最悪のケース」もあり得るため、しっかりと留意しておいてください。
・レバレッジを高くするとリスクも高くなる
レバレッジは、本来の取引金額と比べて大幅に少ない金額で取引ができる優れた仕組みです。しかし相場が予想とは逆の方向に進んでしまった場合、損失を大きく膨らむリスクがあります。例えば10万円で100万円分の取引をしている場合、その100万円から5万円分の含み損が発生したとすると10万円の証拠金のうち半分にあたる5万円分が含み損です。
100万円すべてが自己資金であれば5%の下落なのでさほど大きな影響はありません。しかしCFDだとその影響が50%にもなります。さらに相場の逆行が進んでしまい証拠金が尽きてしまうと、証券会社のルールによって強制的に決済(ロスカット)されてしまいます。ロスカットがうまく機能すれば預入資産以上の損失は発生しませんが、相場の急変動などで預入資産以上の損失が出てしまうケースがあることは頭に入れておきましょう。
預入資産以上の損失が発生した場合は追証(追加証拠金)を新たに入金しなければならなくなるため、適切な損切りによるリスク管理やロスカット・追証が発生しないように余裕を持った資金管理が欠かせません。
・まだまだ国内では取り扱い証券会社が少ない
CFDは、海外で誕生し日本に持ち込まれました。そのため日本国内資本の証券会社では、まだまだ取り扱いが少なく普及半ばの状態です。外資系の証券会社では、IG証券のように力を入れているところもありますが「外資系」と聞いただけで不安に感じる人もいるのではないでしょうか。しかし今後日本の証券会社でもCFD取り扱いが広がっていくと思われるので、やがて解消していくデメリットかもしれません。
CFD取引で利益を上げる方法
CFD取引は短期間で利益を上げる投資手法であり、テクニカル分析による投資商品の値動き(期待値)を分析し、適切に指値および逆指値を入れておく必要があります。24時間取引可能な眠らない金融取引であり、目を離したすきに大きな値動きが発生するケースがあるためです。
また、ボラティリティ(変動)の影響を抑えるために、株式に逆相関する傾向が強い債券を組み合わせるといったバランス感覚も求められます。
CFD取引を始める方法
CFD取引を始めるには、CFDを取り扱っている証券会社に口座を開設することが必要です。ただしCFDを取り扱っているといっても「力を入れている証券会社」と「メニューに入れているだけ」の証券会社に大きく分かれます。やはり商品バリエーションが豊富で、CFDに力を入れている証券会社で始めたほうが望ましいです。
CFD取引を始める場合は、取り扱う各社の仕組みをよく確認してから始めるようにしましょう。(提供:Dear Reicious Online)
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