筆者の住むオランダは国策として「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」を推進している。地方自治体でも地球温暖化防止等への取り組みが盛んで、先日は筆者の暮らす街で「木の苗を無料でもらえる」キャンペーンがスタートした。マンション暮らしの筆者も早速自治体に申し込み、先日初孫が生まれたばかりの友人宅の庭で育ててもらうことにした。赤ちゃんの成長と共に木が育っていくところを想像すると、楽しみも倍増する。
オランダに限らず、環境保護への問題意識は世界的な広がりを見せているが、投資やビジネスでも大きな変化が起きている。象徴的なのが、ESG(環境・社会・ガバナンス)に焦点を当てた英投資企業フォーサイト・グループなどの「グリーンIPO(新規株式公開)」だ。ちなみに、フォーサイト・グループは収益5730万ポンド(約85億9211万円)、純利益650万ポンド(約9億7467万円)の企業であるが、上場前の予想企業価値評価は一時5億ポンド(約749億7487万円)に膨らむ場面も見られたほどだ。今回はESG旋風とともに盛り上がりを見せる「グリーンIPO」の話題をお届けしよう。
大手運用会社も「ゼロ排出量達成」を重視
今年2月11日、世界三大信用格付機関の一つであるS&P(スタンダード&プアーズ)は、米メジャー(国際石油資本)のエクソン・モービル、シェブロン、コノコフィリップスの長期債格付けを1段階ずつ引き下げると発表した。2週間前に公表した「気候変動と収益性の低さに伴う石油業界のリスク特性の修正」を反映したものだ。