世界有数の暗号資産(仮想通貨)取引所Binanceは12日、株式をトークン化して取引するサービスの提供を明らかにした。同日、同取引所がプレスリリースで発表した。
Binanceは、第1弾としてイーロン・マスク氏がCEOを務める米EV自動車テスラの株式トークンを12日より提供開始した。
Binanceの発表によると、テスラの株式トークンは1トークン=1株に相当する。しかし、ユーザーは株式トークンの端数を売買することができ、最小取引サイズはトークン(株)の100分の1となる。例えば、記事執筆時点でテスラの1株は約700ドル(約7万6,000円)だが、約7ドルで購入可能だ。なお、株式トークンは株式には交換できない。
また、テスラのトークン価格は米ドルに裏付けられたBinanceのステーブルコイン・Binance USD(BUSD)建てで表示および決済され、株式トークンの取引には手数料が発生しないことが利点として挙げられる。
BinanceのCEOであるChangpeng Zhao氏は、今回の株式トークン提供について「株式トークンは、コンプライアンスやセキュリティに妥協することなく、価値の移転をよりシームレスに民主化し、アクセスのためのコストを削減します」と述べた。
Binanceの株式トークンは、ドイツの投資会社CM-Equity AGと、スイスの資産トークン化プラットフォームDigital Assets AGとの提携により実現し、上述のように1トークン=1株式として完全に裏付けられている。
株式トークンは昨年10月に暗号資産デリバティブ取引所FTXなどが始めたものだ。現在、AppleやAmazonなど大手企業の株式をトークン化してユーザーに提供している。今回のBinance同様、1株未満の購入も可能だ。
ただ、FTXは24時間取引が可能だが、Binanceでは株式市場と同じ取引時間のみの提供となる 。
Binanceは理由として、株式トークントレードはリアルタイム決済されるため、従来の市場時間に合わせる必要があるということを挙げた。
今後、Binanceはより多くの株式トークンを上場し、関連する機能を立ち上げることで、市場の需要に応えていく予定だ。(提供:月刊暗号資産)