暗号資産(仮想通貨)関連企業のPaxosが、国法信託銀行を新たに設立するための条件付き認可を米国通貨監督庁(OCC)から受けたことが23日、明らかになった。

Paxosによると、今回の認可は暫定的なものであるが、暗号資産事業を主軸にした企業が新たに信託銀行の設立を認められるケースは初となる。

Paxos
(画像=月刊暗号資産)

Paxosはカストディやステーブルコインを始めとしたサービスを提供している企業だ。昨年末に米大手決済企業PayPalと提携し、暗号資産取引サービスのローンチに携わったことで知られている。

同社は昨年12月の時点でOCCに国法信託銀行の設立許可を申請していた。その申請書には、国法信託銀行としての認可を受けることで、より効率的に米国中の顧客へサービスを提供することが目的だと述べられたという。

同社がOCCから受けた認可に設けられた条件には、流動性の確保やリスク管理などの項目が挙げられる。Paxosは、今後数ヶ月の間にOCCが規定した条件を満たしつつ信託銀行設立の計画を進めていくという。

ただし、信託「銀行」と明記されてはいるものの、顧客からの預金を貸し出すことは認められていない。

またPaxosは、OCCから国法信託銀行の許可が下りてからもニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から受けた信託許可を維持すると発表した。これにより、同社はニューヨーク州の金融当局からの認可を維持しつつ、米国全土でサービス展開を行うことができるOCCの認可も持つこととなる。

Paxosによれば、国と州のどちらにおいても認可を取得し、そのどちらも維持している暗号資産関連企業は同社が初めての例となるという。

さらに、OCCから取得した国法信託銀行の設立認可は、従来の金融市場に慣れ親しんだ機関投資家にとってもポジティブなニュースだと考えられる。

暗号資産市場は未だに成長途中の段階にあるが、OCCなどの規制当局が暗号資産関連企業を受け入れる動きは、暗号資産市場が台頭しつつあるという見方もできるだろう。(提供:月刊暗号資産