世界最大の暗号資産取引所Binance(バイナンス)が、米国司法省と米内国歳入庁の調査を受けていることが判明した。14日、海外メディアBloombergが報じた。

報道によると、米当局はバイナンスの従業員やユーザーにマネーロンダリングや税法違反がないか情報提供を求めている模様だ。

バイナンス
(画像=月刊暗号資産)

米国司法省と内国歳入庁は具体的な調査の理由を控えているが、実際にバイナンス自体が悪質な犯罪行為を行なったわけではないようだ。

バイナンスは2017年に中国で設立。ビットコインを筆頭とする主要名銘柄をはじめ、いわゆる「草コイン」と呼ばれる暗号資産を含めた700銘柄を取扱っている。また現物取引やレバレッジ取引だけでなく、様々な独自サービスの提供で事業をグローバルに拡大してきた。

共同創設者でCEOのChangpeng Zhao(CZ)氏が、メディアやTwitterなどにおいて多く露出し、数々の注目発言を残すことで同取引所に注目が集まっている。

現在、バイナンスは世界各国で暗号資産取引所を中心に事業活動を行なっているが、中国や日本では規制の関係で撤退し、米国ではグループ会社のBinance.USが同国の規制に則った形でサービスを提供している。

バイナンスの広報担当者であるJessica Jung氏は今回、Bloombergの取材に対し「バイナンスは法的義務を非常に真剣に受け止めており、米国の規制当局や法執行機関と協調して取り組んでいます」と犯罪行為撲滅のために当局に協力する姿勢を見せたが、特定の事案や調査に関してはコメントしない立場を示した。

その上で、「我が社は疑わしい活動を検出し対処するため、金融機関が使うマネーロンダリング防止の原則とツールを組み込んだ強固なコンプライアンスプログラムの構築に懸命に取り組んでいる」と付け加えた。

またCZ氏もBloombergの報道を受け、自身のTwitterで「ニュースのタイトルが悪い」と誤解を生みそうなタイトルを批判。しかし「記事の内容は、それほど悪くはない」とし、「バイナンスは、米国の規制当局と協力して犯罪撲滅に向けて動いている」とコメントした。

今回の調査についてBloombergは、米国政府が「暗号資産が窃盗や麻薬取引などの違法取引を隠すために使用されているのではないか?」「暗号資産市場の急成長に賭けて大金を手にした米国人が脱税しているのではないか?」という疑念を抱いているのではないかと持論を展開した。またこのような政府の疑念は、世界的な投資ブームの中で、ウォールストリートの金融機関がビットコインやその他の暗号資産を続々と受け入れているにも関わらず、暗号資産業界が主流になることを妨げていると指摘した。

バイナンスは近頃、米国での事業拡大のため規制対応を推進している。今年3月には、米上院の元民主党議員Max Baucus氏を規制アドバイザーとして雇用。4月にはコンプライアンスの重視を目指し、米通貨監督庁の元長官代行Brian Brooks氏をBinance.USのCEOに起用した。(提供:月刊暗号資産