様々な投資手法がある中から、自分に合った投資を探している人も多いだろう。初心者が最初に多額の投資をするのはリスクが大きいため、月1万円などの少額投資はおすすめだ。今回は月1万円からスタートできる投資を5つピックアップし、詳しく紹介する。

1,月1万円以下でも投資できるのか?

月1万円でできる投資5選!おすすめの証券会社は?
(画像=nao/stock.adobe.com)

投資というとまとまった資金がないと無理なのでは?と思う人もいるようだ。確かに専業のトレーダーは数千万円、機関投資家は数億円や数十億円など、巨額な投資を行っている。

しかし投資は大口だけではなく、少額で始められるサービスも数多くある。たとえば積立投信なら、月100円からの積立が可能だ。

月1万円でも堅実に積み立てていけば、1年で12万円、10年で120万円、30年なら360万円とまとまった金額になる。投資による利益が元金にプラスされることを考えると、月1万円からでも、将来的に400万円、500万円といった規模のお金に成長させることは可能だ。

投資に慣れてきたら月2万円、3万円と増やしていくことで、さらに資産を膨らませていける。住宅購入の頭金や、教育資金、老後の資金を準備するために始めるのも良いだろう。

今回は月1万円など少額からスタートできる投資として、「ミニ株」「米国株」「積立投信」「つみたてNISA」「iDeCo」の5つを紹介する。それぞれの特徴、メリット、デメリットを詳しく解説するので、投資の参考情報として役立ててほしい。

2,投資方法1,ミニ株(単元未満株)投資

ミニ株(単元未満株)とは、1株から株式の売買ができるサービスだ。通常は売買の最低単位である100株ごとに売買するが、ミニ株ならそれより小さな単位で売買できる。

なお単元未満株のサービス名称は証券会社によって異なり、S株・プチ株・ワン株・ひな株などがある。

ミニ株のメリット:単元未満株でも配当を受けられる

単元未満株の最大のメリットは、少額で株式投資を始められることだ。株式投資を始めてみたいけれど、まとまった資金を用意できない、大きな金額を投資するのは怖いといった人に向いている。

また単元未満株でも配当を受けられるので、保有する株式数に応じた配当をもらえる。

ミニ株のデメリット:手数料が割高で、原則株主優待は受けられない

証券会社によっては、単元未満株の取引手数料が高く定められていることがある。単元未満株の取り扱いの有無に加えて、手数料についてもチェックしよう。

また単元未満株ではほとんどの企業で株主優待は受けられない。さらに、単元株には議決権があり、株主総会で票を入れる権利があるが、単元未満株では認められていない。

ミニ株投資でおすすめの証券会社

ミニ株投資に適した証券会社を選ぶには、以下のポイントを重視しよう。

・単元未満株の買付・売却のサービスがあるか
・単元未満株の取引手数料

このポイントを踏まえたおすすめの証券会社を以下の表にまとめた。

証券会社名(サービス名) 買付手数料(税込) おすすめポイント
SBIネオモバイル証券
(S株)
月額220円~
(月間の国内株式
約定代金合計額によって変動)
・Tポイント利用可能
・取引ごとの手数料不要
CONNECT
(ひな株)
無料
(約定代金に含まれている)
・スマホですべて完結
・サービス内容が分かりやすく
初心者に優しい
日興フロッギー ・100万円以下:無料
・100万円超:約定代金の1%
・dポイント利用可能
・買付・売却などの操作が簡単
SBI証券
(S株)
・約定代金×0.550%
・最低手数料:55円
・ネット証券口座開設数No.1
マネックス証券
(ワン株)
・約定代金×0.550%
・最低手数料:52円
・注文方法は成行のみでシンプル
※各証券会社のホームページを参考に筆者作成

Tポイントやdポイントといったポイントを使いたいならSBIネオモバイル証券や日興フロッギーがおすすめだ。CONNECTは大和証券グループによるサービスで、近年増加している「スマホ証券」だ。口座開設・取引・入出金がすべてスマホで完結する。

SBI証券は大手のネット証券会社で、単元未満株以外にも幅広い商品の取り扱いがある。マネックス証券も大手であり、手数料もSBI証券とほぼ同等だ。

3,投資方法2,米国株

中国が台頭してきた現在も、GDP第1位の国として世界経済をリードし続けるアメリカ。食品・日用品・医薬品をはじめとするあらゆるジャンルで広く知られたグローバル企業を輩出している。「GAFA」で知られるグーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンといったトップクラスのIT企業もアメリカ企業だ。

2021年もダウ平均が最高値を更新し、米国株の成長性に魅力を感じる人も多いのではないだろうか。投資初心者でも、証券会社を通して簡単に米国株に投資できる。

米国株のメリット:成長企業が多数上場している

米国には世界的な優良企業・有名企業が上場しており、成長性の高い銘柄に投資ができる。米国は株主還元も積極的に実施しているため、配当利回りが高いのもメリットだ。

また米国企業の中にはベンチャー企業から大企業に成長したケースも多く、将来の成長に期待して新興企業に投資をしている人も多い。

米国市場が開くのは日本では夜間(23時半〜、夏時間は22時半〜)のため、サラリーマンにも便利な投資だ。活発に取引が行われているので、市場の流動性も高い。

米国株のデメリット:値幅制限なし、為替リスクに注意

米国株には値幅制限がない点に注意が必要だ。日本株には値幅制限があり、1日の取引での値動きの幅を一定の範囲内に制限される。米国株にはこの制限がないため、株価の大暴落によって含み損が想定以上に膨らむリスクがある。

また為替リスクにも要注意で、為替相場の状況によっては利益が目減りすることもある。たとえば200ドルの銘柄が1ドル=100円なら2万円だが、1ドル=95円になると1万9,000円の価値に下がってしまう。

米国株でおすすめの証券会社

米国株取引に適した証券会社を選ぶには、以下のポイントが重要だ。

・取り扱っている銘柄数
・米国株の取引手数料
・米国関連の投資情報の充実度

このポイントを踏まえたおすすめの証券会社を以下の表にまとめた。

証券会社名 米国株の
取扱銘柄数
米国株の
取引手数料(税込)
おすすめポイント
サクソバンク証券 約6,000 ・取引金額×0.2%
・最低取引手数料:5.0米ドル
・米国株を含め外国株の
取扱銘柄数が多い
・手数料が業界最安水準
・CFD取引も充実
SBI証券 約4,000 ・約定代金×0.495%
・最低取引手数料:0円
・ネット証券口座開設数No.1
・投資情報が充実
・手数料が業界最安水準
マネックス証券 約4,000 ・約定代金×0.495%
・最低取引手数料:0円
・取り扱う金融商品が多い
・投資情報が充実 ・買付時の為替スプレッドが無料
楽天証券 約3,600 ・約定代金×0.495%
・最低取引手数料:0円
・楽天ポイントが貯まる
・手数料が業界最安水準
DMM.com証券 約900 ・一律0円 ・平日24時間サポート
・手数料が業界最安水準
※各証券会社のホームページを参考に筆者作成

サクソバンク証券は米国株・中国株・欧州株など外国株の取り扱いが多いのが特徴で、手数料も業界最安水準だ。SBI証券はネット証券では利用者がトップクラスで多く、投資情報も充実している。

マネックス証券はレポートやセミナーなど多彩な情報を提供している。楽天証券も手数料が安いのに加え、取引手数料の1.0%がポイント還元される。

DMM.com証券は取引手数料0円の代わりに為替手数料が発生する。平日24時間のサポートがあるので、初心者も安心だ。

4,投資方法3,積立投信

投資信託を積み立てで購入していく投資サービスが積立投信だ。毎月一定額の投資信託を継続的に購入していくので、長期投資にも向いている。

投資信託は投資の運用会社に委託して、資産を運用してもらう手法だ。投資の手間が掛からないので初心者にも向いている。得られた運用損益から、信託報酬などの費用を差し引き、投資家に還元する。

積立投信のメリット:手間が掛からず、リスク分散もできる

投資信託の買付は毎回証券会社側で行ってくれるため、投資家が自ら購入する必要がない。自動の積立貯金のような感覚で、投資信託の購入ができて利便性が高い。

ファンドに組み込まれている株式・債券といったアセットの買付、売却、リバランスなどもすべて運用会社が行うため投資家にとっては手間が省ける。

また投資信託のファンドは分散投資を基本方針にしたものも多く、リスクの抑制につながるのもメリットだ。たとえば株式が組み込まれたファンドでも、日本・アメリカ・EUなど先進国に広く分散して投資するタイプなどがあり、個別の株式に投資するよりリスクは低く抑えられる。

また株式・債券・REITといった複数のアセットを組み合わせたファンドもある。

積立投信のデメリット:ファンドの選定や信託報酬に注意が必要

投資信託でまず気を付けなくてはいけないのは、ファンドごとにパフォーマンスが違うことだ。うまく利益を出し続けているファンドもあれば、損失がかさんで撤退に追い込まれるファンドもある。

適切なファンドを選ぶためには、過去のパフォーマンス・運用方針などをきちんと確認することが欠かせない。純資産総額や取引量が極端に少ないと、ファンドが強制的に早期償還されてしまうこともある。

また投資信託はコストが定期的にかかるのも要注意だ。運用会社の費用として発生する信託報酬などがある。

積立投信でおすすめの証券会社

積立投信に適した証券会社を選ぶには、以下のポイントが重要だ。

・取り扱うファンドの数の多さ
・買付タイミングの自由度

このポイントを踏まえたおすすめの証券会社は下記のとおりだ。

証券会社名 販売手数料 取り扱う
ファンドの数
買付タイミング おすすめポイント
SBI証券 すべて0円 約2,600 ・毎日
・毎週
・毎月
・複数日
・隔月
・ファンドの数がトップクラス
・月間平均保有額に対して
Tポイントが貯まる
楽天証券 すべて0円 約2,600 ・証券口座で積立の場合:
毎月1日~28日の
うちから選択可能
・その他金融機関:
毎月7日、24日のいずれか
・ファンドの数が
トップクラス
・月末の投信残高に対して
楽天ポイントが貯まる
・決済額に対して
楽天ポイントが貯まる
(楽天カード決済の場合)
松井証券 すべて0円 約1,200 ・毎日
・毎週
・毎月
・投信毎月現金
還元サービスがある
・3つのロボアドバイザー
を利用可能
マネックス証券 すべて0円 約1,100 ・毎日
・毎月
・投信の月間保有残高に
対してポイントを付与
auカブコム証券 すべて0円 約1,300 ・毎月
(1日単位で自由
に設定可能)
・投信の月間平均保有残高に
対してPontaポイントが貯まる
・スマホ・
タブレットでも積立可能
※各証券会社のホームページを参考に筆者作成

上記の会社はいずれも、投資信託の販売手数料が0円だ。取り扱うファンドの本数も1,000以上と充実しており、最低投資額は100円からと手軽に始められる。

ロボアドバイザーなどそれぞれの会社で独自のサービスも提供しているので、その内容も参考に選ぶと良いだろう。

5,投資方法4,つみたてNISA

つみたてNISAとは長期・分散・積立投資を国民へ促すため、国が用意した税制優遇制度である。年間40万円までを限度とし、投資で得た利益が非課税になるのが特徴だ。

一般NISAとつみたてNISAがあるが、その違いは下記の3点だ。
・つみたてNISAは積立投信のみ、一般NISAは株式などの買付も可能
・つみたてNISAの非課税枠は年間40万円、一般NISAは年間120万円
・非課税となる期間はつみたてNISAが20年、一般NISAは5年

つみたてNISAと一般NISAは同時に利用できず、どちらかを選ばなくてはいけない。

つみたてNISAのメリット:最長20年、合計800万円の非課税投資が可能

つみたてNISAの最大のメリットは非課税の優遇があることだ。年間40万円まで非課税で投資でき、分配金や値上がり益など、投資で得た利益に税金がかからない。また非課税で投資できる期間が20年間あるため、長期間にわたって非課税で資産を形成していける。

またつみたてNISAの対象商品はあらかじめ決められており、手数料が低水準、分配金がないなど、長期投資に適したものが多く選ばれている。自分で最初からファンドを比較検討する必要がなく、選定に自信がない初心者でも始めやすいのがメリットだ。

つみたてNISAのデメリット:投資できる銘柄が限られている

つみたてNISAで投資ができるのは、年間に40万円までだ。少額で投資をしたい人には問題ないが、それ以上に投資したい人には物足りなく感じるかもしれない。

またつみたてNISAで投資対象となる商品は、金融庁が「長期・分散・積立」の3点について、適していると判断した銘柄(2020年12月23日現在、193本)に限られる。それ以外の銘柄に投資することはできないので、やや自由度は低い。

つみたてNISAでおすすめの証券会社

つみたてNISAに適した証券会社を選ぶには、以下のポイントを確認しよう。

・取扱銘柄数の多さ
・最低積立金額の低さ
・販売手数料の安さ

これらのポイントを踏まえたおすすめの証券会社は、以下の表のとおりだ。

証券会社名 取扱銘柄数 最低積立金額 販売手数料 おすすめポイント
SBI証券 174本 100円 0円 ・ファンドの数がトップクラス
・ネット証券口座開設数No.1
楽天証券 172本 100円 0円 ・ファンドの数がトップクラス
・楽天ポイントが貯まる
松井証券 170本 100円 0円 ・サポート体制が充実
・アプリが使いやすい
マネックス証券 151本 100円 0円 ・取り扱う金融商品が多彩
auカブコム証券 157本 100円 0円 ・自分に合うファンドを
探すサービスがある
※各証券会社のホームページを参考に筆者作成

おすすめの証券会社は、積立投信で紹介したときと同様の結果となった。いずれも販売手数料0円で、最低積立金額が100円と低い。

取扱銘柄数も150本以上と多いため、自分に適したファンド・興味のあるファンドを選びやすいだろう。

6,投資方法5,iDeCo(イデコ)

iDeCoは個人型確定拠出年金であり、毎月決まった掛金を自分で選んだ金融商品で積み立てながら運用する投資だ。老後資金を蓄えるために国が用意した制度であり、税制面でさまざまなメリットがあるのが特徴である。

掛金は月々5,000円から1,000円単位で指定でき、上限額は職業などによって異なる。たとえば会社に企業年金のない会社員の場合は毎月2万3,000円、自営業の場合は毎月6万8,000円だ。

各金融機関が選定した投資信託や定期預金などの商品の中から、iDeCo加入者が希望するものを自身で選ぶ。リスク許容度や収益性を考慮しながら運用方針を決め、いつくかの商品の組み合わせと配分比率を決める。

選んだ商品を途中で変更したり、配分を変えたりすることも可能だ。

iDeCoのメリット:拠出時・運用時・受取時に大きな税制優遇

iDeCoを利用するメリットとして、以下4点が挙げられる。

・掛金が全額所得控除になる
・年末調整で対応でき確定申告不要
・運用益が非課税
・受け取る際にも非課税額が大きい

iDeCoの最大のメリットは、税制での優遇が受けられること。まず積み立てた掛金は全額所得控除になり、所得税と住民税の節税につながる。

運用によって生じた利益も非課税扱いとなり、差し引かれたはずの税金を投資に回せることになるため、投資の運用効率がアップする。さらに60歳以降に資産を受け取る際にも、退職所得控除または公的年金控除が適用され、税負担を軽くできる。

またiDeCoもつみたてNISAと同様、長期の資産形成に適した銘柄が厳選されている。各証券会社とも20本~30本程度に厳選されているので、商品数が多すぎると迷ってしまう人も選びやすい。

iDeCoのデメリット:原則60歳まで引き出せない

iDeCoは下記のデメリットがあることに注意が必要だ。

・原則として60歳まで引き出せない
・毎月手数料がかかる
・他社へ移管するときにいったん解約になってしまう

iDeCoの制度趣旨は、老後のための資産形成であるため、簡単にはお金を引き出せないようになっている。原則として60歳まで引き出せないため、すぐに使えなくても問題ない金額に留めるのがおすすめだ。

iDeCoは加入・移管時の手数料、口座管理手数料、給付事務手数料、還付事務手数料などさまざまな費用が発生することもおさえておきたい。

また他社への移管もできるが、証券会社によって取扱商品が違うため、いったん解約・現金化して移管することになる。解約前に評価損が出ていると、移管する現金も減ってしまう。

iDeCoでおすすめの証券会社

iDeCoに適した証券会社を選ぶには、以下のポイントを重視しよう。

・選べる商品の数が多いか
・運営管理手数料が無料か

iDeCoでかかる費用のうち、運営管理手数料は0円としている証券会社もある。これらのポイントを踏まえたおすすめの証券会社は、以下の表のとおりだ。

証券会社名 取扱商品数 運営管理手数料 おすすめポイント
SBI証券 37本
(セレクトプラン)
0円 ・iDeCo加入者数No.1
・取扱商品数が豊富
楽天証券 32本 0円 ・取扱商品数が豊富
・無料Webセミナーなど
関連情報が充実
松井証券 31本 0円 ・取扱商品数が豊富
・サポート体制が充実
マネックス証券 27本 0円 ・iDeCo専用のロボアドバイザーがある
・サポート体制が充実
大和証券 22本 0円 ・取扱商品が初級者・中級者・
上級者向けに分かれていて選びやすい
※各証券会社のホームページを参考に筆者作成

iDeCo加入者の数がNo.1と人気なのがSBI証券だ。以前はオリジナルプランとセレクトプランの2種類があったが、2021年1月以降はセレクトプランのみ新規受付をしている。

楽天証券もSBI証券に次ぐ商品数の多さが魅力で、iDeCo関連の情報提供が充実しているのも特徴だ。無料のWebセミナーなどの動画でiDeCoについて学べるようになっている。松井証券も取扱商品数が31本と多く、サポート体制が充実している。

マネックス証券はiDeCo専用のロボアドバイザーがあり、5つの質問に答えるだけでどの銘柄にどの配分で投資すればいいかのアドバイスがもらえる。問い合わせ対応について、土曜日も受け付けているのでサラリーマンも利用しやすい。

大和証券の取り扱う商品は、初級者・中級者・上級者の3つの区分に分かれている。自分のランクに応じた商品を選びやすいのがメリットだ。

編集者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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