28日に公開された米バイデン政権の2022年予算案に、暗号資産(仮想通貨)の取引や送金に関する報告義務について新たな案が含まれていたことがわかった。
この予算案はバイデン政権として初めて発表されたもの。これに併せて、米財務省が発表された2022会計年度歳入提案において、暗号資産の取引および送金に関する2つの提案が行われた。
1つ目の提案は「暗号資産関連事業者による報告義務を拡大する」というもの。具体的には、暗号資産取引所やウォレットサービスを提供する事業者を指す。
財務省によると、この案では米国の同盟国と協力し、情報共有を可能にすることで、事業者による報告範囲を広げることを目的にしているという。
財務省は暗号資産を用いた脱税行為が多発している点を指摘し、これを防ぐには米国の事業者と提携する他国の事業者の協力が不可欠だと述べた。
また2つ目の提案は、税務コンプライアンスを目的とした「包括的な金融口座報告」の仕組みを導入するといったもの。
この案では、600ドル(6万6,000円)を超える資産の送金に関して、金融機関などに対し顧客の情報提供を求めると説明。
また暗号資産については、「納税対象者が暗号資産事業者から暗号資産を購入し、別の事業者に送金した場合、その資産額が市場価格で1万ドル(約110万円)を超える際には、その暗号資産を受け取った企業は取引を報告しなければならない」と記載されている。
この案に関してはすでに財務省が内国歳入庁(IRS)への報告を義務付ける方針を明らかにしている。今回発表された2つの案が共に採用された場合、2023年から適用される予定だという。
近頃、米国において暗号資産規制の整備に向けた動きが加速している。
バイデン政権は暗号資産が脱税を含む違法行為につながる点を問題視しており、適切に規制強化を図りたい狙いがある。
今後も米国では違法行為の抑制や投資家保護に関する議論および規制強化等の検討が加速度的に行われていく可能性が高い。(提供:月刊暗号資産)