レザーブランドの最高峰の一つ、「ベルルッティ」はパリを代表する超高級ブランドです。従来、世の中でよく知られている高級ブランドは、視認性に特徴のあるロゴマークを用い、その人気に応じてどんどん認知度を上げていきました。それに対し、ベルルッティは、「誰もが知っているブランド」にはならず、「その良さがわかる人向けに」のみひたすらこだわってきたブランドです。
この記事では、そんなベルルッティの紳士靴の真骨頂である、ビスポーク・スーリエ(対話オーダーによる革靴)を紹介します。
世界最高峰のレザーブランド、ベルルッティの歴史
ベルルッティ(BERLUTI)は、1895年に創業されました。創業者、アレッサンドロ・ベルルッティは、イタリアのセニガッリアという小さな村1865年誕生。アレッサンドロは19歳の時に旅に出て、パリにたどり着き靴職人として働き始めます。
アレッサンドロは、靴の木型からフォルム、素材や履きやすさまで情熱をもって徹底的にこだわり製作。やがて、パリで始めた靴職人は成功を収め、セレブリティーたちの評判を呼び、有名人からオーダーが次々と入るようになりました。そして、彼はパリで10年間にわたり靴を作り続けます。
1895年、アレッサンドロは、現在も引き継がれているシグネチャーモデル、「アレッサンドロ」を作り出します。「アレッサンドロは」一枚革でできており、これがベルルッティの評価を不動のものとしました。
ここから、シューメーカーとしてのカスタムメイドによる受注生産を行う紳士靴メゾン、ベルルッティがはじまったのです。現在はラグジュアリーコングロマリットLVMHの傘下となっています。
ベルルッティのアイデンティティ
ベルルッティのアイデンティティを決定づけるものとして「ヴェネチアレザー」があります。創業者から4代目の当主であるオルガ・ベルルッティが初めて開発しました。ヴェネチアレザーとはベルルッティしか使えない特別な皮です。植物のタンニンやクロムを使った独特の鞣し(なめし)技法により、靴にしなやかさと足に吸い付くような履き心地が生まれます。
独特の染色技法であるパティーヌは、他の皮革製品ブランドにはまねのできない染色技術です。かつて黒と茶しかなかった紳士靴の常識を覆した60種類ものカラーラインナップの中から染めることができます。ベルルッティは履きならした靴ほど美しいと考え、パティーヌ職人の巧みな技術で靴にグラデーションや縞や煙のような表現を施し、使い込まれた風情を醸し出します。
パティーヌが施された、ヴェネチアレザーの持つ独特な色合いや質感は、ブランドロゴが目立たなくても一見してベルルッティであることがわかるほどなのです。
更に、ベルルッティたらしめるものは、その品性です。ベルルッティの靴はシャンパンで磨くというのが通説で、そういったイベントがあります。しかもシャンパンは同じく最高峰のシャンパーニュメゾン・クリュッグ。靴を靴墨でなく、クリュッグで磨く。なんと優雅ではありませんか。そういった粋が分かる人のためのブランドなのです。
ベルルッティの極み、ビスポークシューズとは
では、そのベルルッティの紳士靴をビスポークした場合、どのようなサービスが行われるのかについて解説します。
日本でベルルッティを取り扱うお店は、現在14店舗です。そのうち、ビスポークができるのは、直営店である東京・銀座並木通り店と大阪・大丸松坂屋心斎橋店など更に限られています。
オーダーすると、フランスから名の通ったビスポークの職人が来日して、細かいオーダーを聞き、採寸するところから始まります。基本形、色、細かい造作、そしてベルルッティの特徴の1つである焼いて刻まれる文字のカリグラフィーを入れるかどうかなどを相談します。
採寸を基に、パリの工房で木型が作られ、4ヵ月くらいしたら仮縫いが出来上がります。仮縫いができたらそれをもって職人が再来日します。
この段階で試し履きし、微調整し、内張りの色などの細かい仕様を確認しておきます。完成はそこからさらに6ヵ月ほど後になるそうです。めでたく納品になった暁には、専用のシューキーパー、ベルルッティの靴ベラ、専用の箱、工房で職人が書いたスケッチなどが付属品として納品されます。
なお、価格ですが日本でオーダーした場合、ここまでで80数万円ほど。
ベルルッティを履いて出掛けよう
このように普通のブランド品とは明らかに違うベルルッティですが、お店でシャンパンなど飲みながら打ち合わせすれば、出来上がるまでの10ヵ月間は、「自分専用のベルルッティのビスポークシューズが出来上がるのを待つ」というある意味でぜいたくな時間になるでしょう。
知る人ぞ知り、わかる人にはわかるベルルッティのシューズを履きこなせば間違いなく成功者として周囲から見られることでしょう。この際、一足そろえてみてもいいかもしれません。
(提供:JPRIME)
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