保有資産を数億円以上保有する富裕層であれば一度は検討する海外移住。実際にこれまで多くの富裕層が日本から海外への移住を実行している。ただ実は、海外に移住したものの数年で日本に帰ってくる富裕層も多い。
そこで今回は、日本を始め米国やスイスのプライベートバンクに11年間在籍し、現在は富裕層の資産形成サービスを手掛けている株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口俊介氏に「富裕層が海外移住を成功させる秘訣」を聞いた。(聞き手:菅野陽平)
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海外移住の現状
海外移住はここ30年、毎年増加傾向にある。海外に住む日本国籍者の人数は、2008年は111万人だったが、2013年は125万人、2019年は141万人と増加している。コロナの影響を受けた2020年は135万人と1989年以降で初めて減少に転じたが、コロナのような特殊要因を除けば、海外移住者は基本的に毎年増加しているというわけだ。(出典:外務省の海外在留邦人数実態調査)
2015年7月から国外転出時課税制度(移住時に株式など有価証券の含み益に課税される制度)、いわゆる「出国税」の導入がされたため、海外移住者は減るのではないかと言われていたが、データを見る限りは何の影響もなく増加している。
「私たちのお客様もコロナによる移動制限による影響で、2020年は移住される方が少なかった。しかし、現在は移住先の選定や準備に時間を使い、コロナが収まったら移住を実行する予定という方は多い。コロナが収まるであろう2022年以降は直近で減少している分、溜まっている海外移住の需要が爆発するのではないかと予想している」(世古口氏)という。
海外移住4要素
富裕層は何のために海外移住するのだろうか。「理由や事情は当人によって様々だが、富裕層が移住する理由は大きく分けて、税金・仕事・環境・教育のいずれか4つに分類されることが多い。当社では海外移住4要素と呼んでいる」と世古口氏は語る。