タンザニア中央銀行が、大統領の要請に対応する形で暗号資産(仮想通貨)の受け入れへと動き始めている。これに伴い、2019年11月に同国内で施行された暗号資産の禁止令が撤廃される可能性も示唆されているという。25日、ロイターが報道した。
東アフリカに位置するタンザニア連合共和国では、今年3月にSamia Sukuhu Hassan新大統領が誕生した。Hassan大統領はJohn Magufuli元大統領と比較すると外国投資にも積極的な姿勢をとっており、暗号資産についても同様の考えを持っているようだ。
Hassan大統領は今月、暗号資産に関して次のようなコメントを残している。
「我々は金融の分野でブロックチェーン技術や暗号資産の台頭を目の当たりにしている。世界にはこれらの通貨を受け入れていない国々も存在するが、私はタンザニア中央銀行がこの問題に取り掛かる準備をするよう忠告したい」
タンザニア中銀は大統領の発言を受けて、暗号資産の受け入れ準備に動き出しているという。タンザニア中銀の広報担当者がロイター通信に伝えたところによると、「(タンザニア中銀は)与えられた指令へ取り組んでいる」とのことだ。
しかし、同行がビットコインに代表される既存の暗号資産を受け入れるのか、それとも中国のデジタル人民元のようにタンザニア独自のデジタル通貨を発行するのかという詳細な情報は未だ明らかになっていない。
タンザニア銀行協会は、大統領の暗号資産を受け入れる方針を歓迎している。
同協会のAbdulmajid Nsekela会長は、「規制官がイノベーションに追いつかずに意表をつかれるのは避けるべき」とコメントを残している。
エルサルバドルでビットコインが法定通貨として公的に認められたことは記憶に新しく、各国で暗号資産の受け入れに関する議論が加速している。
未だに暗号資産に関する規制が整っていない国が数多くあるなか、これらの国家がどのようにして規制を整えていくか、そしてそのような国々でどのように暗号資産が活用されるのか、注目が集まるだろう。(提供:月刊暗号資産)