人気が非常に高いため、ほとんどの場合抽選制で購入の可否が決まることになるIPO。特に有名企業や話題となっている企業が上場する際には高い初値が予想されるため、証券会社ごとに割り当てられたIPOをめぐって抽選が非常に激戦となることが予想される。
では、どうすればこのIPO当選確率を上げることが出来るのか。実は、しっかりと各証券会社の抽選の仕組を理解し、事前に準備を行えばいろいろと対策が出来るのだ。以下では、IPO当選確率を上げる方法を紹介していこう。
目次
IPOの当選確率はどれくらい?
IPOの当選確率は、申し込む銘柄や証券会社、申し込む人のステータスによって異なる。目安として、投資初心者が平幹事(幹事については後述)の証券会社から申し込んだ場合、当選確率は小型IPOで0.1~0.5%程度、大型IPOで5~10%程度と考えておくとよい。
上記のように、IPOの当選確率は非常に低いことがわかる。「これでは当たりっこない」と落胆する人もいるかもしれない。しかし、後述する方法を実践することによって、IPOの当選確率を小型IPOで5~10%、大型IPOではなんと50%程度まで引き上げることが可能である。
それでは、IPOの当選確率を上げるために、どのようなことができるのか見ていこう。
IPOの当選確率を上げるため、どのような準備ができる?
ここからが本題だ。この魅力的な商品をどうやったら入手出来るのか。まずは、IPOの仕組を理解する必要がある。
IPOは、その都度指定証券会社ごとに購入権が分配される仕組みになっている。つまり新規購入株式が10,000株公開されるなら、指定証券会社A社には5,000株、B社には3,000株、C社には2,000株というように割り振られることになる。割り振られた株式に対して、証券会社ごとに抽選を行い、当選者のみが購入の権利を得るというわけだ。
このような仕組みをきちんと理解して、きちんと対策をしておこう。以下では、IPO当選確率を上げる方法を5つご紹介しよう。
IPO当選確率UPの秘訣1:なるべく多くの証券口座を保有する
IPO当選確率を上げる方法の大原則としては、なるべく多くの証券会社を使って抽選の回数を増やすことである。1回あたりの当選確率は低くても、複数回行うことで確率をあげることは可能だ。
IPO投資を行う際は、各証券会社の「IPOの実績」「抽選方法」「前受金の有無」に注目したい。
IPO実績が多い証券会社では、IPOに応募できる機会が豊富だ。IPO投資を行う場合、IPO実績の多い証券口座を開設しておくことはもはや必須といえる。
IPO株には限りがあるため、抽選で購入の可否が決まることが多い。証券会社によって抽選方法は様々だが、これから口座を開設する方には、完全平等抽選の証券会社がおすすめだ。
前受金とはIPO抽選に応募するために必要な資金のことで、多くの証券会社では応募の前に100株分の資金を用意する必要がある。しかし、野村證券や岡三オンライン証券など、いくつかの証券会社では前受金なしでの応募ができる。前受金が不要な口座から応募することで、コストをかけず当選確率上げることが可能になる。
IPOの当選確率を上げるためにも、これらの特徴をもつ証券会社の口座を複数持っておくことをおすすめする。
IPO当選確率UPの秘訣2:投資初心者はネット証券で申し込む
ほとんどの店舗型の証券会社は、担当者が普段から付き合いのあるお客にねぎらいの意味を込めて魅力的なIPO株を譲る「裁量配分」が行われている。
多くの店舗型の証券会社は割り当てられたIPO株の内、85%から90%は裁量配分に回り、抽選配分は10%~15%しかない。そのため、投資初心者が店舗型の証券会社から申し込むと、当選確率が低くなってしまうのだ。
一方、ネット証券は割り当てられたIPOの全てを平等抽選によって配分する証券会社が多い。また、平等抽選をとらなくても「SBI証券」のように抽選に参加し続けていればいつかは必ず当選するような制度がとられている。
このため、これまであまり投資を行って来なかった人は、ネット証券から申し込むことでIPOの当選確率を上げることができるのだ。「 マネックス証券 」、「GMOクリック証券」、「岡三オンライン証券」、「ライブスター証券(新:SBIネオトレード証券)」が現在平等抽選を採用している証券会社となっている。
IPO当選確率UPの秘訣3:時間差を利用して抽選する
通常IPOの抽選日は決まっているが、購入申し込み後に抽選をするタイプの証券会社もある。このような会社の場合、抽選後に購入申し込みを行う会社と比べて数日販売が遅くなることがあるのだ。
後期抽選型のネット証券には、「au カブコム証券」、「GMOクリック証券」、「楽天証券 」、「松井証券」などがある。この時間差を利用して、当選の機会と確率を上げよう。
IPO当選確率UPの秘訣4:SBI証券で何度も抽選にチャレンジする
倍率が高くなるIPOは、抽選に外れる方がむしろ多い。だが「SBI証券」は、抽選に外れるたびにポイントが貯まる「IPOチャレンジポイント」制度を採用し、次のIPO抽選の当選確率を上げてくれる助けになる。
個人客への配分予定の30%が、このIPOチャレンジポイントに割り当てられる割合である。この30%分のIPO株は抽選に落ちた申込者のうち、チャレンジポイントが多い順に当選していく。
ということは、IPO株の抽選に落ちてチャレンジポイントが貯まれば貯まるほど当選確率はUPする。IPOチャレンジポイントという制度は何度も抽選で落ち続けた人の努力が報われる制度なのである。
IPO当選確率UPの秘訣5:主幹事証券会社から申し込む
どの証券会社が「主幹事」になるかは、IPO購入前に必ず確認しておきたい。ほとんどの場合、IPO株は複数の証券会社に分配される。その際、各会社に等しくIPO株が分配されるのではなく、「主幹事」の証券会社がIPO株のおよそ80%を引き受け、残りの20%が他の引受先に分配されることになる。
つまり、「主幹事」の証券会社の口座をから申し込めば当選確率は高くなるのだ。IPO株の当選確率を上げるために複数口座を開設する場合には、主幹事になる確率が高い証券会社の口座を開設することが、IPO当選確率を高める必須条件となってくる。
以上のように、当選確率を上げる方法は意外と多く存在する。当選確率を少しでもあげ、IPOの恩恵を受けられるように今のうちから準備をしておくと良いだろう。
IPO当選確率UPの秘訣6:口座開設数が少ない証券会社から申し込む
各証券会社にIPOが割り当てられた後、最後にライバルになるのは同じ証券会社からIPOを申し込んだ人たちとなる。そうなった時に当たりやすいと想定されるのは「口座開設数」が少ない証券会社だろう。
当たりやすさはIPO割り当て数にもよるが、例えばSBI証券は595万、マネックス証券は189万、au カブコム証券は120万人が口座開設をしている。(※2020年10月現在)
口座を持っているいくつかの証券会社がIPOの幹事会社に決定し、割り当て数があまり変わらないなら、なるべく口座開設数が少ない証券会社から応募するのがよい。
平等抽選制を採用しているマネックス証券とau カブコム証券のIPO割り当て数が同じで両方から応募する資金的余裕がない場合、au カブコム証券から応募した方が倍当たりやすいことになる。
ネット証券各社のIPO抽選の特徴
最後に、各ネット証券のIPOの特徴をご紹介する。当選確率を上げるためにも、無料で口座開設出来る以下の証券会社はおさえておきたい。
◉ SBI証券
- IPO取扱実績:85社
- 抽選方法:70%完全平等抽選|30%IPOチャレンジP
- 口座開設数:595万
- NISA:対応
特徴
IPOチャレンジポイントを利用すれば、必ず当選する時が来る! SBI証券は、2019年度ネット証券最大の82社を引き受け、IPOの引受証券会社としての実績もネット証券では1位を誇る。抽選に外れるたびにポイントが貯まるIPOチャレンジポイント制度や、申込数量に比例して当選確率が上がるシステムなど、何度もIPO獲得に挑戦する人や資金に余裕のある人にお勧めのネット証券となっている。
◉SMBC日興証券
- IPO取扱実績:52社
- 抽選方法:店頭90%、ネット10%(完全平等抽選)
- 口座開設数:354万
- NISA:対応
特徴
三井住友ファイナンシャルの中核をなす「SMBC日興証券」は、国内3大証券の1つに数えられ、その規模・実績ともに日本を代表する証券会社である。IPOの幹事証券会社を担うことが多く、主幹事を務めることも多い。主幹事証券会社になると新規売出の8割を担当するので、IPO投資を検討している方は必見の証券会社である。
◉マネックス証券
- IPO取扱実績:50社
- 抽選方法:100%完全平等抽選
- 口座開設数:194万
- NISA:対応
特徴
抽選は100%完全平等性、少額投資者や初心者におすすめ!マネックス証券の特徴は、投資資金や申し込みの数量に関わらず平等に当選の権利があることだ。投資資金が少ない、または少額の取引を希望する投資家向きのネット証券会社といえる。IPOの引受証券会社としての実績が多く、サポート体制が充実していることも、IPOを取引する投資家にとっては安心材料となる。
マネックス証券では、新規口座開設等で200円相当のアマゾンギフト券をプレゼントするキャンペーンを2021年8月31日まで開催している。
◉岡三オンライン証券
- IPO取扱実績:39社
- 抽選方法:100%完全平等抽選
- 口座開設数:26万
- NISA:対応
特徴
岡三証券のお宝IPOを引き受けも?ライバル口座も少なく穴場証券会社!保有資金やIPO注文数に関係なく、平等抽選制が岡三オンライン証券の取っているスタンスだ。IPOの取り扱いを開始したのが2013年からで、口座数も少なく当選しやすいという点で、こちらも穴場のネット証券と言えよう。
岡三オンライン証券では現在ZUU onlineとのタイアップキャンペーンで、新規口座開設でもれなく現金2,000円をプレゼントしている。
◉楽天証券
- IPO取扱実績:38社
- 抽選方法:ステージ制(IPOカテゴリー)
- 口座開設数:440万
- NISA:対応
特徴
こちらも運用資金が多い人ほど有利な仕組みで運営されている。申告可能株数が預かり資産を元に決定されるためだ。また、購入申し込み後のIPO当選確率は完全平等抽選となっている。
◉au カブコム証券
- IPO取扱実績:19社
- 抽選方法:システムによる平等抽選
- 口座開設数:120万
- NISA:対応
特徴
三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社であり、取扱商品にはお宝IPOも?au カブコム証券は、取引実績や申込数量とは関係なく、1口座に付き1つのIPO抽選権を持つことができる。つまり、家族などの名義で口座を複数個保有している場合は、その分当選確率が上がる。マネックス証券と比較すると取扱い実績は多くないが、三菱UFJフィナンシャル・グループであり、他のネット証券と比べ、豊富なIPO引き受け実績は注目したい。
◉松井証券
- IPO取扱実績:18社
- 抽選方法:70%完全平等抽選
- 口座開設数:128万
- NISA:対応
特徴
松井証券は割り当てられたIPOの7割を完全平等抽選で配分している。1人1票制を採用しているので、資金の多さとIPOの当選確率に関係はない。松井証券の特徴的なところは、他社よりIPOの抽選が遅いということだ。そのため、他社でIPO抽選を受けた後で、松井証券の抽選を受けることができる。
◉GMOクリック証券
- IPO取扱実績:1社
- 抽選方法:100%完全平等抽選
- 口座開設数:45万
- NISA:対応
特徴
1人1票制を採用しているので、資金の多さと当選確率に関係はない。また、申し込み株数に関係なく、最低単位株数が割り当てられる。
◉LINE証券
- IPO取扱実績:3社(2021年)
- 抽選方法:機械による完全抽選
- 口座開設数:50万
- NISA:対応
LINE証券は2021年5月からIPOを取り扱っており、穴場と言えるだろう。また、LINE証券は野村證券からIPOの委託が回ってくるので、LINE証券への委託にも期待が持てる
実際に証券口座を開設してみる
どんな証券会社からIPO株を申し込めば良いのだろうか。
IPO投資の場合は、より当選確率の高い証券会社を選択したい。ネット証券では平等抽選によってIPOを配分するため、投資初心者でもIPOの当選確率を上げることができおすすめだ。
実際に、金融経済メディア『ZUU online』等を運営する株式会社ZUUの代表取締役 冨田和成氏は著書『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』にて "IPO株が欲しいならネット証券が狙い目" と解説している。
人気のIPO株を高確率で取得するためにも、複数のネット証券口座を開設してみてはいかがだろうか。