8月3日、大手総合商社の三井物産 <8031> の株価が一時2746円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月4日の安値1858円から7カ月で約47.8%の上昇である。同日午後に業績の上方修正と自社株買いを発表したことが上昇に弾みを付ける一因となったようだ。後段で述べる通り、2022年3月期の最終利益の新予想は91%増益の6400億円で、2012年3月期に記録した過去最高益を10年ぶりに更新する見通しだ。
今回は三井物産の最新情報をお届けしよう。
三井物産、2022年3月期は過去最高益へ
三井物産が8月3日に発表した2022年3月期第1四半期(4〜6月)決算は、売上高にあたる収益が前年同期間比44%増の2兆6580億円、最終利益は同3.1倍の1912億円と好決算だった。収益は新型コロナ禍からの世界経済回復を背景としたグローバルな需要拡大が追い風となった。特にセグメント利益では金属資源部門が好調で、同期は1190億円と前年同期(322億円)から3.7倍と急増している。オーストラリアの鉄鉱石事業における販売価格の上昇に加え、鉄鉱石の世界一のサプライヤーVALE社からの配当の増加、チリ銅事業における販売価格上昇等が寄与した。
三井物産は第1四半期の好調を踏まえ、2022年3月期(通期)の最終利益予想を期初時点の4600億円から6400億円に39%(1800億円)上方修正した。セグメント別では金属資源部門を1600億円、エネルギー部門を200億円それぞれ上方修正している。冒頭で述べた通り、三井物産は2012年3月期に過去最高益となる4344億円を記録しているので、2022年3月期が予想通りとなれば10年ぶりに過去最高益を更新することになる。