Facebookのブロックチェーンプロジェクト責任者であるDavid Marcus氏は自身のブログ記事で、同社が発行準備をしている暗号資産(仮想通貨)のデジタルウォレットの開発状況について説明した。また中国のデジタル人民元についても言及した
現在Facebookは、暗号資産の発行準備だけでなく、同社の子会社であるNoviで独自デジタルウォレットの開発を進めている。
Marcus氏は、ブログ上で開発中のデジタルウォレットはすでに「市場に出る準備ができている」と完成段階であることも匂わせた。
同氏は、Facebookが発行を予定している暗号資産Libra(現Diem:ディエム)のプロジェクト推進のため、PayPalから引き抜かれた人物だ。
Marcus氏は現在の送金システムについて、コストが高く、時間がかかると指摘。世界にはまだ約17億人の銀行口座を持たない人々がおり、さらに多くの人々がサービスを受けられていない状況にも言及。その中でも、6,200万人の米国人は銀行口座を持たない、または銀行口座を持てない人々で、現在の金融システムから取り残され、抜け出せないと説明した。
またDiemについてMarcus氏は「より手数料が安く、相互運用性がありアクセスしやすいデジタル決済ができる。これを、世界各国が抵抗を示すのは理不尽だと」強調した。
今回、Marcus氏がブログで書いた記事は、Facebookが発行を目指している暗号資産が既報の通り世界各国の規制当局から批判や抵抗を受けていることについて反論した格好だ。
同氏は「この決定的な変革の瞬間において米国は世界をリードすべきなのに、今は中国にリードするのを許し、後手に回っている」と、中国がデジタル人民元の開発で各国をリードしていることに対し、米国が遅れをとっていると指摘。米国の暗号資産における規制について早々の対応を求めた。
Marcus氏は、Diem発行の遅れに加え、中国のデジタル人民元の加速度的な開発スピードによって、ドルベースの世界経済が変化するのではないかと懸念しているようだ。
なお今回、Marcus氏はDiemの発行時期予定や、独自ウォレットのローンチについては言及を避けた。(提供:月刊暗号資産)