ブロックチェーン分析企業のChainalysis社によると、この1年間で世界全体の暗号資産(仮想通貨)導入率が880%増加し、新興国の台頭が顕著になってきている。
同社が公表した「Geography of Cryptocurrency(暗号資産の地理)」と題した独自指標「暗号資産採用指標(2021)」では、2020年6月から2021年6月までの間に、受け取った暗号資産の価値や送金された小売価格、ピアツーピア(P2P)での交換取引量という3つの主要な指標に基づいて、世界154ヶ国の暗号資産導入率を比較している。
この指標は主に各国の一般人による暗号資産取引に関連するユースケースに焦点を当てたものだ。
同指標によると、総合指数スコアで1位になったのはベトナムで、2位にインド、3位にパキスタンと続く。昨年はウクライナが首位であり、2位はロシア、3位はベネズエラと続き、ベトナムは10位であった。
Chainalysisは、この1年ほどで暗号資産の導入が世界中で急増しているが、特に新興国でその傾向が顕著であると指摘している。レポートによると、多くの新興国では自国通貨が不安定な状況であり、人々は資金を蓄えるための代替手段を探しているという。
また暗号資産は国際的な取引が容易であり、特に政府が自国通貨の海外送金を制限している場合には重要な役割を持つとしている。
一方で、米国や中国などの経済大国は順位を落とした。
米国は2020年には6位であったが8位に、中国は4位であったが13位となっている。特に中国では、政府による暗号資産取引の取り締まりが強化されたことが取引量低下の背景にあると分析した。
新興国と先進国とでは導入率は大きく異なるものの、世界全体で見れば暗号資産の導入率は増加している。
実際、Chainalysisの独自指標をもとにした世界の暗号資産導入率スコアは、2020年第2四半期が2.5であったのに対し、2021年第2四半期には24と、880%以上上昇している。また2019年第3四半期と比較すれば、2300%以上も上昇したことになるという。
暗号資産の導入が広がりつつあることについてChainalysisは、「暗号資産は世界的な現象になっていることを示している」と結論づけている。(提供:月刊暗号資産)