1日、デジタル庁が発足した。いわゆる「縦割り行政」の打破に向け、行政のデジタル化を推進する主軸としての役割に期待がかかる。

菅義偉首相は自身の肝入り政策として、就任時からデジタル庁の必要性を強調していた。着手してからわずか1年で発足したデジタル庁は、各府省への勧告権や予算の一括計上等、権限を集中させた首相直轄組織として、行政オンライン手続きの促進やマイナンバーカードの普及、また行政システムの統一や標準化等の諸課題に取り組む。

ブロックチェーン
(画像=月刊暗号資産)

初代デジタル担当相には、平井卓也デジタル改革担当相が就く。また事務方トップの「デジタル監」には、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏を充てる。職員は約600人で、そのうち約200人は民間からの登用となった。

加藤勝信官房長官は1日午前の記者会見で、「デジタル庁は、従来の霞が関の前例主義にとらわれない新しい組織として出発するものだ。サービスの供給者目線だけではなく、国民が便利さを具体的に実感できる行政サービスの提供を目指していきたいと思っている」と語り、デジタル庁への期待感を示した。

また加藤官房長官によると、菅首相は平井デジタル相に対し3つの柱に取り組むよう指示したという。

1つ目の柱としては、社会全体のデジタル化の司令塔として行政の縦割りを打破し、国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を構築すること。2つ目は、行政のデジタル化を強力に推進し、デジタルガバメントを確立すること。そして3つ目は、「誰一人残さない」というデジタル社会形成の理念のもと、デジタルデバイト対策を推進することだという。

今後、これら3つの柱に沿った社会全体のデジタル改革をしっかり進めていきたいと加藤官房長官は述べた。

昨年からデジタル化に向けた動きが加速している。しかし日本は国連経済社会局(UNDESA)が発表した行政のデジタル化を示す「世界電子政府ランキング」において、2020年は世界14位に位置するなど、低迷している。

そうした状況下で、ブロックチェーン技術を行政に組み込むことへの期待も高まる。耐改ざん性を備え、単一障害点を持たないブロックチェーンは、国民の個人情報保護や災害時などの情報共有において有効だ。

デジタル庁でブロックチェーンが実際に活用されるかは不透明ではあるが、日本のデジタル化を進めていく上で、積極的に検討されることに期待したい。(提供:月刊暗号資産