暗号資産(仮想通貨)を世界で初めて法定通貨として導入したエルサルバドル政府は20日、ビットコインを追加購入したことを発表した。今回は675万ドル(約7億円)相当に当たる150BTCを購入した。

エルサルバドル
(画像=月刊暗号資産)

同国のBukele大統領は20日のツイートで「押し目買いをした。150BTCを新規で購入。エルサルバドルは現在700BTCを保持している」と発表した。

ビットコインを法定通貨として認める「ビットコイン法(LeyBitcoin)」を世界で初めて導入したエルサルバドル。法律施行前後には200BTC(約11億5000万円)を2度購入した。

法律が施行された7日にはBTCは約5万2000ドル(約570万円)から約4万4000ドル(約480万円)と、約20%の下落が見られたが、その時も同大統領は「BTCを安く買えてありがとう」と述べ、追加150BTCを購入したことを発表。その後、ビットコインは徐々に価格を取り戻し、直近では4万9000ドル(約537万円)直前まで上昇していた。

しかし20日には、巨大債務を抱える中国の不動産大手・中国恒大集団(エバーグランデ・グループ)の資金繰りへの懸念が中国経済全体の先行き不安につながり、週明け20日のニューヨーク株式市場が下落。ダウ工業株30種平均は前週末終値比614ドル安の33970ドル。欧米、中国の株式市場は軒並み2パーセント前後の連安となった。その影響はビットコインにも波及し、前日比約7.6%安の約4万500ドル(約443万円)付近まで下落した。

「中国版リーマンショック」が起こるのか、との懸念が金融市場に広がるなか、今回エルサルバドル政府は改めて強気の姿勢を見せる形となった。同国ではビットコインが正式な法廷通貨として決済等に利用されており、マクドナルドなどで普通に使える状態になっている。

ビットコインの現金自動預払機(ATM)も設置されており、さらにビットコインで得た利益に対する免税まで発表。そして、ビットコインウォレットアプリ「Chivo」を通じた取引を推奨し、Bukele大統領によるツイートによれば同アプリの利用者は50万人を突破した。

現在エルサルバドルは様々な策を導入し、ビットコインの普及に力を入れている。同国の政策の影響でビットコイン価格がまた持ち直す可能性も考えられるが、23日以降には中国恒大集団の社債の利払いを機に債務不履行(デフォルト)に陥る可能性を警戒する懸念がまた広がりつつある。

コロナ経済下で加速した金融バブルの転換点にあるという見方もあり、リスクアセット(元本保証のない資産)の面もあるビットコインの動向には注目が集まる。(提供:月刊暗号資産