中国不動産大手・中国恒大集団を巡る債務不履行への懸念で大幅に下落した暗号資産(仮想通貨)市場だが、期日の差し迫った「人民元建て債」の利払いを履行し、債務返済への姿勢を見せたことから、価格は反動、上昇に転じた。

ビットコイン
(画像=月刊暗号資産)

一時は4万ドル(約442万円)を割ったビットコイン価格だがその後は上昇、4万4000ドル(約486万円)台まで回復している。しかし同社は未だドル建て債の未払いなどが残っており、全部でおよそ33兆円規模まで債権は膨張していると言われている。その返済の見通しは不透明なままだ。24日の中国市場でも恒大は11%下落した。

恒大が破綻ともなれば中国の不動産市場、強いては世界の金融経済市場に与えるインパクトは大きなことから、土壇場で中国政府が救済にあたるのではないかとの観測も流れる。だが、この状況は数ヶ月前から指摘されていたことでもあり、今回の大幅下落の背景には投機筋による株価指数先物を中心とした短期売買が演出したものに過ぎないという声もある。

また22日まで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)においては、11月の会合でテーパリング(量的緩和策)について決定する可能性があると示唆された。

一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、テーパリングが利上げへのカウントダウンになるという意味ではないと強調。テーパリングプロセス中は利上げをすることはないとの認識を示した。さらに、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標の据え置き、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を月額1200億ドル(約13兆1,500億円)ペースで購入継続することを決定した。

この表明を受けて金融市場は強気の観測が広がり、株式市場は上昇。ゴールドは値下がりを見せたものの、ビットコイン価格は大きく上昇した。

短時間で一気に4万3000ドル台まで回復すると、その後も上昇トレンドは変わらず4万4000ドル台に乗せた。14日の移動平均線、一目均衡表の転換線を超えた現在は下値が強力なサポートラインとして機能しており、目下のレジスタンスである200日移動平均線の4万4900ドル(約496万円)の壁を超えるかどうかがさらなる上昇の鍵となるだろう。

またビットコインと連動してアルトコイン市場も活性化。なかでもリップル(XRP)やコスモス(ATOM)は上昇率が高い。

なお、執筆時点でビットコインをはじめとした暗号資産価格は中国当局によるマイニングへの締め付け強化の動きを受け急落。4万5000ドル(約497万円)を推移していたビットコインは数分で一時4万2500ドル(約470万円)ほどまで下落した。(提供:月刊暗号資産