要旨

東南アジア経済の見通し
(画像=PIXTA)
  1. 2021年7-9月期は東南アジア地域でデルタ株が蔓延して新型コロナウイルスの感染ペースが加速したため、各国政府は都市封鎖など活動制限を厳格化、実体経済が停滞して成長率が大きく低下した。
  2. 消費者物価上昇率は、当面はエネルギー価格下落の影響や、一定の活動制限措置が残るために需給面からの下押し圧力が続いて次第に鈍化するが、その後は経済再開が進むなかで労働需給が引き締まり、次第に上向くと予想する。
  3. 金融政策は、当面はコロナ禍でダメージを受けた経済の回復を後押しするため、22年前半まで各国の政策金利が据え置かれると予想する。しかし、ワクチン普及に伴う経済回復や米国の金融緩和策の縮小および政策金利の引上げに伴う資金流出が強まるなか、22年半ばから各国中銀が利上げに踏み切るだろう。
  4. 経済の先行きは、オミクロン株の感染拡大の懸念がくすぶるが、ワクチンの普及により柔軟な感染対策と経済活動の両立が可能となるため、22年は経済再開による景気の回復が進むと予想する。足元では各国で外国人観光客の受け入れを再開する動きもあり、コロナ禍で低迷した観光業が回復することも労働市場の改善を通じて内需拡大に繋がるだろう。
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(画像=ニッセイ基礎研究所)