読者のみなさんは、フランス料理のお店を評価する際のポイントとして何を重視するだろうか。お店のロケーションだろうか。店構えや内装の凝り具合だろうか。それとも料理の値段だろうか。筆者はそのフランス料理のお店が一流か否かを判断する一番の要素は、「ソムリエの質」にあると考えている。すなわち、ソムリエが一流か、二流かで、そのお店の評価が大きく変わるということだ。極端な話、多少料理が期待通りでなかったとしても、ソムリエが提案するワイン・セレクションによって、そのマイナスは充分にカバーすることも可能であると考える。

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(画像=星野スウ/PIXTA, ZUU online)

筆者の経験からいわせていただくと、一流のソムリエは客のニーズを把握するのが上手だ。まして常連客の好みともなれば以前に薦めたワインと、それに対するお客の反応を含めて覚えているので、料理ごとに最適で最高のワインを提案してくれる。

ワイン通を自称する人のなかには、時々「高いワイン=良いワイン」と言わんがばかりにシャトーやブドウ品種の能書きを語る人も少なくない。だが、筆者が知る限り一流のソムリエは帰りにお客の懐が寒くなるような高価なワインは決して推してこない。もちろん、お客がリクエストすれば、ワインセラーから希望通りの一本を持ってくるのだろうが、本来はその日の料理の素材や仕込みの段階から出来上がりの味など総合的に捉えて、最適なワインを用意してくれるものである。そして絶妙なトークでマッチングを説明してサーブをし、いつの間にかテーブルを離れている。