PDCAは、ビジネスパーソンの常識ともいえるフレームワークです。一方で、PDCAほど知っているつもりで知らないフレームワークも珍しいのではないでしょうか。例えば、管理職向けのフレームワークというイメージがありますが、実は個人レベルやプライベートな目標でも活用できる万能のフレームワークです。また、「PDCAはもう古い」との指摘も一部にはありますが、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど、今なお多くの企業がPDCAによって成果を出しています。
今回は、そんな誤解に満ちたPDCAについて、基礎知識から具体的な実践方法、導入メリットまで、実際に導入している企業の事例をもとに解説します。
目次
PDCAとは

PDCA(ピー・ディーシー・エー)は、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)の頭文字を取った言葉です。Plan→Do→Check→Actionの順に行い、最後のActionが終わったら再び最初のPlanに戻って繰り返すことから、「PDCAサイクル」とも呼ばれます。
もともとは、「品質管理の父」として有名な米統計学者のウイリアム・エドワーズ・デミング氏らによって提唱された品質管理の手法で、同氏が1950年の来日時に行った講演をきっかけに日本で広まりました。
(参考:入江仁之「『すぐ決まる組織』のつくり方――OODAマネジメント」フォレスト出版、2018年)
現在では品質管理の分野以外にも広く取り入れられ、業務改善や課題解決のためのフレームワークとして活用されています。
4つのフェーズを解説
PDCAは、4つあるフェーズそれぞれの頭文字を並べたものです。PDCAを活用したコンサルティングサービスを提供するZUUの冨田和成社長が、そのノウハウを記した本『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)をもとに、各フェーズで具体的にどんなことを行うのか紹介します。
Plan(計画)
「Plan」はPDCAの一つ目のフェーズであり、スタート地点です。ここでは、まず最終的に到達したいゴールを決めます。そしてゴールはできるだけ具体的であるべきです。例えば登山を例に取ると、「いつかできるだけ高い山に登る」といった曖昧なものではなく、「1年後の今日、あの山の頂に立つ」というくらい明確にすべきです。
また、ゴールはできる限り数字に落とし込みます。営業目標数値など、すでに数字に落とし込まれているゴールであればそのままゴールにすればよいですが、定性的なゴールでも定量に変えることは可能です。例えば次のようなものが挙げられるでしょう。
・痩せたい→体脂肪率20%未満
・会社を大きくしたい→売上高100億円
・上司に認められたい→人事評価A
ゴールがはっきりすると現在地とのギャップが明らかになり、さまざまな課題とその課題をクリアするための解決案が見えてきます。
ここで注意しておきたいのは、設定したゴールがより大きなゴールに紐づいている必要があるということです。例えば登山の場合、より大きな目標として「7大陸の最高峰を踏破する」といったものが考えられるでしょう。「Plan」を決める際には、「なぜそのPDCAを回すのか」という視点を常に持つ必要があります。
Do(実行)
「Do」では、「Plan」で立てた解決案を実行に移します。そのために解決案を複数のアクションに分解し、さらにアクションを具体的なタスクに落とし込み、ひたすら実行に移していきます。
ここでのポイントは、アクションからタスクへの具体化をなるべく迅速に行うことです。再び登山を例に取ると、「持久力をつける」「経験者を探す」といったアクションの粒度では、なかなか実行に移せないということです。こうした抽象的なアクションではなく、「毎日、朝6時に起きて5キロ走る」「今日、夕食後の2時間を使ってネットで検索する」といった具体的なタスクとしてスケジュールを押さえると、確実に実行できるようになります。
Check(検証)
「Check」では、「Do」で実行した結果を検証します。Planで考えた課題やその解決案、Doで考えたアクションやタスクも、実際には仮説に過ぎません。「今ある情報の中で考えられる最適解」に過ぎないからこそ、それが最適解であるかどうかを、定期的かつ頻繁に検証する必要があります。
例えば、毎日早起きしてジョギングを続けているが、実はすでに十分な持久力がついているかもしれません。その場合、ジョギングよりロッククライミングの習得に時間をかけた方が登山というゴールにより近づけるはずです。こまめに検証を行うことで、実行サイクルの無駄打ちを減らすことができるのです。
「Check」では、「もっと効率的な方法ないのか?」「他にやるべきことはないのか?」といった問いを持つことが重要です。
Adjust(調整)
PDCAのAは一般的に「改善」「Action」と呼ばれていますが、冨田氏はこのフェーズをあえて「調整」「Adjust」としています。その理由として、「DoとActionは日本語ではどちらも『する・やる』とう意味だが、何が違うのか?」と混乱する人が多いことや、日本語表記として一般化している「改善」には、良いことをさらに伸ばす慎重案が抜け落ちてしまう恐れがあることを挙げています。調整には、具体的に以下の4種類があります。
・ゴールレベルの調整
・計画レベルの大幅な調整
・解決案や行動レベルの調整
・調整不要
ゴールレベルの調整
ゴールレベルの調整とは、情報収集と自分の現状を検証した結果、ゴールを変えたり、目標の期日を先延ばししたりする場合を指します。この場合は、現在のPDCAは中止される代わりに、別の新たなPDCAを回していくことになります。
計画レベルの大幅な調整
計画レベルの大幅な調整は、主に今まで見えてこなかった課題が顕在化したときに行われます。登山の例の場合、「現地で登山ガイドを見つけなければならない」という課題が急きょ浮上したら、情報収集を一から始め、解決案を検討しないといけないのでPDCAサイクルの速度はいったん遅くなります。
解決案や行動レベルの調整
解決案や行動レベルの調整とは、実行サイクルの微修正のことです。大筋の計画は変えずに、やることの優先度を変えたり、方法をブラッシュアップしたりしながら軌道修正を図るイメージです。PDCAサイクルを何度も回していくと精度が高まるため、ゴールレベルの調整や計画レベルの調整が減り、こうした微修正だけで済むことが増えてきます。こうなると、PDCAは高速で回り続けていきます。
調整不要
検証した結果、全てが順調に推移していることもあるでしょう。この場合は、調整しないこともあります。
以上、冨田氏の著書をもとにPDCAの各フェーズの概要を紹介しましたが、同書ではより詳細なメソッドが記されていますので、興味を持った方はぜひ実際に読んでみてください。
活用するメリット
PDCAを回すメリットとはなんでしょうか。PDCAを活用して経営課題の解決を目指すZUUのコンサルティングサービス「鬼速」の事例をもとに紹介します。
「課題ファースト」だから適切な解決案が出てくる
成長が頭打ちになってしまう企業にありがちなのが、「解決案ファースト」に陥っていることです。例えば、「あの会社でこんな解決案がうまくいったから自社でも」「前職でこんな成功体験があったから自社でも」といった具合です。
こうしたやり方がうまくいくことも時にはあるでしょう。しかし、自社の状況を的確に分析しないまま考えた解決案では、自社の商材・サービスに合っておらず、結果的に成果につながらないことが多々あります。こうした事態を避けるため、PDCAを活用して自社の課題を徹底的に洗い出すことが有効です。
ZUUのコンサルティングサービス「鬼速」では、マインドマップを活用して、ゴールを達成するまでの課題および解決案をどんどんリストアップしていきます。その際、「なぜ(できないのか?/できたのか?)」「どうやって(構成されているのか?/達成するのか?)」の問いを繰り返していきます。
<マインドマップの活用例>

例えば「商品が売れない」という課題に対して、「なぜ?」と問いかけてみましょう。「質が悪い」「値段が高い」「ブランド力が低い」「販売チャンネルが悪い」などの課題が浮かび上がってくるでしょう。次に「販売チャンネルが悪い」という課題に対して、再び「なぜ?」と問いかけてみます。この調子で掘り下げていくと、「商社に一任している」→「自社に販売部隊がない」→「人材不足」といったように次々と課題が明らかになり、最終的に「営業部員の確保」という解決案が見えてきます。
ここまでいくと課題が具体化しているため、解決案も具体的なものを思いつきやすくなり、次のDoのフェーズでも迷いが出にくいというメリットがあります。結果的に実行サイクルの無駄打ちが少なくなり、投資リターンが上がります。
具体策に落とし込むので計画倒れが起きない
PDCAの文化が未熟な企業でよく見かけるのが、「アイデアを具体策に落とし込めておらず、実行に移せない」ケースです。例えば社長の思いつきで突然、新規事業が立ち上がったとしましょう。ノープランのまま実行チームに丸投げされますが、課題すら見えていないので具体策が出てこず、チームは迷走を続けてしまいます。
また、計画自体はうまく立てることができたとしても、それを組織の業務フローや個人のタスク、具体的な行動スケジュールにまで落とし込めておらず、結局やるべきことが不明瞭なまま計画倒れに終わるケースも散見されます。「計画ができていればすぐに行動に移せる」というのはよくある誤解の一つです。
一方、PDCAを活用すれば、計画フェーズで絞り込んだ解決案を実際のアクションであるDoに分解することができます。例えば「クライアントともっと交流を深めるべきだ」という解決案があったとします。これを「2ヵ月に1回、会食に行く」「打ち合わせの前後の雑談時間を増やす」「ゴルフに誘ってみる」などのDoに分解すると、解決案のままの状態と比べて格段に実行に移しやすくなるのが分かるかと思います。また、Doを確実に実行に移すため、複数のDoがある場合はインパクトや時間、気軽さの指標で優先順位をつけ、絞り込んでいくのも効果的です。
さらに重要なのが、Planで解決案を定量化したように、Doも定量化することです。どれだけ計画を実行できたかを客観的に判断するため、指標を設けるのです。例えば1,000ページの本を読むことがDoの場合、「毎週200ページずつ読む」といったようにこまめな行動目標を立て、毎週その成功率を確認しながら軌道修正をしていくことが必要です。
Doを定量化するのには大きな理由があります。それは、ゴールは簡単にコントロールできるものではないからです。売上目標というゴールを設定したとしても、外的要因の影響を受けたり、必ずしも100%の結果にはならなかったりします。一方、Doはやるかやらないか、できるかできないかの話なのでコントロールがしやすいのです。定量化することでDoが着実に進んでいるかが見えるようになり、確実にPDCAサイクルを回すことができるようになります。
活用するデメリット
マネジメントが無機質になる?
PDCAを活用するデメリットとして、企業の場合では「社員がガチガチに管理され、マネジメントが無機質なものになってしまう」というのがよく挙げられます。これは本当なのでしょうか。
PDCAを活用して経営課題の解決を目指すZUUのコンサルティングサービス「鬼速」を導入した企業では、むしろ逆の現象が起きています。目標が明確になるため社員一人一人のやるべきことが分かり、自走できるようになった結果、成果が上がっています。さらにPDCAを「鬼速」で回し続けることで、会社や部署、個人が成果を出し続けることができ、前進していることを実感することで自信が湧き、モチベーションが向上します。
一つ留意点があるとすれば、社員の行動を細かく管理し過ぎると息苦しさを感じてモチベーションが下がるリスクがあるので、日々のDoの管理は各社員の裁量に任せるとよいでしょう。
業務量が増える?
PDCAを活用すると、ゴールを達成するための解決案や実行策を考えたり、解決案が最適かどうかを検証したりと、業務量が確かに増えます。しかし、PDCAサイクルが着実に回ると、行動あたりのリターンが増えるので、同じ成果を出すのに必要な時間はむしろ減っていきます。結果的に、増えた業務時間以上の時間を生み出すことができます。
成功させる「回し方」のコツ4つ
PDCAサイクルをうまく回すにはコツが必要です。取り組む際に意識すべきコツを4つ紹介します。
①各フェーズをしっかり通す
PDCAサイクルは、P、D、C、Aの4つのフェーズがあって初めて成立します。「前回に実施したから」といった理由でいずれかのフェーズを省略してはいけません。各フェーズには役割があり、小さな課題であっても1つずつのフェーズを踏むことで課題や解決に向けた取り組みが「見える化」されます。省略してしまうと課題点や解決方法などが定まらず、PDCAのメリットが薄れてしまいます。それぞれのフェーズをしっかりと通して課題と解決方法の「見える化」を徹底しましょう。
②らせん状に展開する
PDCAは1つの円を描くように回すイメージが最も近いです。ですが、その円は同じ場所に戻ってくる円ではなく、らせん状の円である必要があります。
なぜならPDCA自体が成長していくものであり、終わりがないからです。一つのPDCAサイクルが終わったら次は前回より少し高い目標に取り組み、ブラッシュアップしていきましょう。
③目標の設定は明確かつ分かりやすく
PDCAのメリットは目標の設定と実行策を「見える化」できることなので、これらが不明確では意味がありません。目標を設定する際は、①期日を切る②定量化する――この2点を忘れないようにしましょう。
④小さなPDCAを多く回す
少しずつ目標を高くしながらPDCAサイクルを回し続けると、次第に大きな目標の達成につながるのがPDCAを活用するメリットです。従って、大きな目標を小さな目標に細分化し、確実に達成していくことが成功のコツと言えます。
失敗のありがちなパターン
ここでは、PDCA失敗につながるありがちなパターンを紹介します。
計画が慎重すぎるor不十分
Planで立てる計画はPDCA全体に及ぶものだけに、計画そのものが慎重すぎたり、逆に不十分だったりすると失敗につながる可能性が高くなります。「絶対に失敗できない」「間違ってはいけない」と思うと計画がなかなか立たず、行動に移せません。逆に、ひらめきや感覚だけで計画を立ててしまうと、実行サイクルの無駄打ちが増えてしまうでしょう。
まずは、現時点で考えられる最も精度の高い計画を立て、実行してみるといったスタンスが有効です。
メンバーに計画の意義が伝わっていない
PDCAを組織で実行する場合、Planで目標や実行策を立てるのはマネジャーの立場であることがほとんどです。一方、実際にDoで計画を実行するのは個々のメンバーであるため、計画の意義が正しく伝わっていないと、メンバーは目標を他人事のようにとらえてしまうでしょう。
ここで重要になるのが、Planの段階での動機付けです。なぜその目標に向かって取り組む必要があるのか、その目標を達成するとどんなメリットが得られるのかといったように、Planの価値を提示しなければ効果的なDoは起きません。
Checkの基準が曖昧
Checkでは計画に対する進捗や結果を検証します。検証は定量的に行う必要がありますが、この基準が曖昧になるとCheckが正しく機能しません。
「おおむね達成できている」「もう少し足りない」といった評価になってしまっては、何ができているのか、何が足りないのかが明確ではありません。計画段階から数値を掲げ、Checkのフェーズでも定量的に検証することで、誰が検証しても同じ結果が得られるようになります。
Checkには外部の視点も入れたいところです。自分たちのチームで計画を立ててPDCAを回すこと自体に問題はありませんが、自分たちで計画して自分たちでCheckをすると、どうしても願望を含んだ恣意的な評価になるなど、甘さが入り込んでしまいます。Checkだけは外部の客観的な視点を入れることで、PDCAがより正しく機能します。
大手企業の事例2選
PDCAを有効活用して成果を挙げている大手企業の事例を2つ紹介します。
トヨタ自動車

トヨタ自動車には、「トヨタ生産方式」と呼ばれる独自の生産管理の手法があります。トヨタ生産方式は、作業におけるムダを徹底的に排除し、生産性を高めることを目的としています。そのため、業務プロセスを見直して「カイゼン」することはトヨタ自動車の代名詞にもなっています。
「ムリ・ムダ・ムラ」を排除することが重要であると考える同社では、これをPDCAの一つ目のフェーズであるPlanに落とし込みます。このPlanを受けて同社では、Doにおいてジャストインタイム体制と「自働化」を実践します。ジャストインタイム体制とは、必要なタイミングで必要な量だけ生産することでムダを排除する生産体制で、「自働化」は異常が発生したときに自動停止して不良品を大量に生産しないようにする仕組みを指します。
Checkでは、上記の取り組みにおいてどれだけ不良品や不良在庫の発生を抑えることができたかを検証し、これを次のカイゼンにつなげます。同社はこのPDCAサイクルを膨大な回数にわたって回し続けています。
こうした取り組みは、トヨタだけでなくさまざま企業に広がり、鳥取県のように行政業務にトヨタ生産方式を取り入れる自治体も現れています(※)。
※鳥取県公式サイト「なぜ、今、トヨタ方式か?」
ソフトバンクグループ

わずか40年で時価総額8兆円超(2022年7月時点)の企業に成長したソフトバンクグループ。これだけの成長を遂げた要因の一つにPDCAサイクルが深く関わっています。同社はスピード感を重視し、「高速PDCA」の考え方を実践することで短期間にさまざまな業務改善や目標達成を実現してきました。
同社の考え方はシンプルです。会社として目指すべき大きな目標を立て、その目標を達成するための小さな目標に細分化していきます。個々の目標にPDCAを当てはめ、それを高速で回して定期的にチェックする態勢を確立しました。
PDCAの検証は毎日行うことが基本となっています。個人単位、1日単位の検証を繰り返しながら改善点を洗い出していくので修正もしやすく、こうした取り組みがソフトバンクを大企業に成長させたと言えるでしょう。
(参考:三木雄信「孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術」ダイヤモンド社、2017年)
PDCAサイクルが「古い」って本当?
実はPDCAには「もう古い」という評価もあります。それは本当なのでしょうか。
古いとされる理由の一つに考案された時期が挙げられます。米統計学者のデミング氏らがPDCAの元となった考えを1950年代に提唱してから70年以上になります。市場のトレンドや経済情勢が目まぐるしく変化している昨今において、PDCAに時間をかけすぎると商品・サービスの市場投入が最需要期に間に合わないとの指摘もあります。
こうした指摘はあるものの、トヨタ自動車やソフトバンクグループをはじめ、今なおPDCAは多くの企業で「現役」です。普遍的な手法であり、効果が失われたわけではありません。
PDCAに代わる新しい概念「OODA」

PDCAが「古い」「今の時代には合わない」と評価されていることを受けて、これに代わる新しい概念として「OODA(ウーダ)」が注目されています。OODAとはどんなフレームワークなのか概要を紹介します。
PDCAとは何が違うのか
OODAを考案したのは、冷戦期に活躍した米空軍のジョン・ボイド大佐です。ボイド氏は戦闘機のパイロットだったこともあり、現場での経験を通じて迅速な意思決定の重要さを熟知していました。そのためOODAでは意思決定のスピードアップに主眼が置かれており、じっくり考えることで成果を目指すPDCAとはスピードの面で大きく異なります。
OODAループの4つのフェーズ
OODAループとは、以下のフェーズの頭文字を並べたものです。
・Observe(観察する)
・Orient(状況を判断する)
・Decide(意思決定をする)
・Action(行動する)
Observe(観察)
OODAには二つの「O」がありますが、一つ目の「O」はObserve(観察)です。ビジネスの競争相手や市場を観察することで状況を把握し、観察することで得られた情報を意思決定に役立てます。
Orient(状況判断・方向付け)
2つめの「O」はOrient(状況判断・方向付け)です。前のフェーズである観察によって現在何が起きているのかを認識した上で、それを理解・分析します。
Decide(意思決定)
「D」はDecide(決断)です。観察し、分析した情報をもとに意思決定をします。適切な判断をするために最も必要なのは正確な状況とそれに基づく状況分析です。これらがそろって初めてDecideは効果を発揮します。
Action(行動/改善)
「A」はActionなので、PDCAの4番目にあたる「A」と同じです。PDCAは自分で目標を設定して計画を立案するのに対して、OODAは常に市場や競合他社など相手によって柔軟に行動を変えるところに特徴があります。
まとめ
ビジネスの現場で業務改善や課題解決を実現するために、PDCAは今も有用なフレームワークです。すでに70年以上活用されているフレームワークだけに「古い」という意見もありますが、今もなお多くの企業がPDCAによって成果を出しています。
本記事で紹介した手順や注意点を参考に、それぞれの現場に合わせたPDCAサイクルの構築に役立ててください。
よくあるPDCAに関する質問
よくある質問にお答えします。本記事の内容を復習する意味でもお役立てください。
PDCAの意味とは?
「Plan=計画」「Do=実行」「Check=検証」「Action=改善」という4つのフェーズを通じて業務改善を積み重ね、最終的に大きな目標の達成につなげるフレームワークです。1950年代に、米統計学者のデミング氏らによって考案されました。
PDCAは管理職向けのフレームワーク?
PDCAは米統計学者のデミング氏らが品質管理の手法として考案したマネジメント手法であり、経営や管理業務、プロダクトマネジメントに絶大な効果を発揮します。一方で、例えば日々の時間の使い方を効率的にする、会議でのプレゼン技術を高めるといった個人レベルの目標のほか、趣味を上達させる、恋愛上手になるといったプライベートな目標でも活用できます。マネジメント層のみならず、社会人経験の浅い若手のビジネスパーソンにも有用と言えます。
失敗しないPDCAのポイントとは?
計画の実現に現実味がないとメンバーのモチベーションを維持できませんし、計画に具体性がないとどう実行してよいのかが曖昧になってしまいます。失敗しないPDCAには、実現可能な目標であること、そしてどう行動するべきかを明確化することが求められます。