顧問とは、企業経営の課題解決や事業の成長のために助言や指導を行う役職を指します。従来は元役員などの内部人材が就任することが一般的でしたが、近年の事業環境の変化を受けて顧問の在り方も様変わりしました。特に専門家を外部顧問として登用し、その高度な専門性やノウハウ、コネクションを活用したいと考える企業が増えています。

本記事では顧問とはどのような役職なのか、見直される役割とメリット、報酬の相場、人材の探し方について詳しく解説します。

目次

  1. 企業における「顧問」とは?定義と役割、権限
  2. 内部顧問と外部顧問の違い
  3. 顧問と相談役・役員・参与の違い
  4. 顧問の給与・報酬等の相場
  5. 内部顧問を廃止する企業が増加している背景
  6. 外部顧問を置く企業が増えている!その4つのメリット
  7. 外部顧問と契約する際の3つの注意点と対策
  8. 外部顧問の見つけ方|紹介サービス5選
  9. まとめ
  10. 顧問に関するQ&A

企業における「顧問」とは?定義と役割、権限

顧問とは

顧問と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。大企業の元社長が引退後に顧問として残り、経営に関する助言を行っている…というのが従来のイメージかもしれません。しかし近年は企業の業績向上や経営状況改善のために、社外の人間を雇い、ブレーン的な立場で経営や業務に携わることを求めるケースが増えています(※)。ここではまず、顧問の定義、役割、権限について解説します。

※田島靖久「顧問という生き方 退職者、早期退職者も選択肢に」東洋経済オンライン、2021年5月7日

顧問の定義

こ‐もん【顧問】
①意見を問うこと。相談すること。
②[新唐書段文昌伝]諮問に応じて意見を述べること。また、その職にいる人。「―弁護士」

引用元:広辞苑

ビジネスにおける顧問は②の意味です。すなわち、「会社経営や事業に関する相談を受けた際、状況を改善するための的確な助言を行う」役割を持つ役職をいいます。

なお、顧問という役職は社外取締役と混用されることもあるようですが、社外取締役と異なり会社法に定められたものではありません。顧問を置くかどうかの判断は企業によります。

顧問の役割

企業運営に関して、経営を担う社長や役員などに対してこれまで培ったビジネス上の経験をもとに助言や指導を行うのが顧問の役割です。このほか、自身の人脈を利用して有用な人材を企業に紹介することもあります。就任する上で資格は特に問われません。

顧問の役割はあくまでも助言にとどまり、企業の方針決定に関わる権限は持たないことが一般的です。助言により企業が不利益を被った場合でも、顧問はその責を負いません(後述しますが、役員を兼務する場合はこの限りではありません)。

なお、法務や税務などの士業が顧問として雇われる場合もあります。関わる範囲は法務、税務、監査など、それぞれの専門分野に関連する業務を行います(顧問弁護士、顧問税理士など)。顧問会計士のように税務・財務やコンサルティングを兼務する場合もあります(※)。

※「公認会計士の仕事内容」日本公認会計士協会公式サイト

顧問の権限

かつて、顧問は退任した社長や重役が就任することが多々ありました。一般的にはその会社の意思決定に権限をもたないため「名誉役職」であることも多いようです。
参考:江口克彦「 『相談役』『顧問』の居座りは社員全員の迷惑だ こんな不平等な制度は廃止したほうがいい」東洋経済オンライン、2017年が9月21日

一方で取締役を兼務しているケースもあり、この場合は法的責任があります。上場会社の場合は、有価証券報告書に氏名や経歴などを記載しなければなりません。

内部顧問と外部顧問の違い

内部顧問外部顧問
役割主な業務内容これまでの経験やビジネスに関する知識を生かして企業経営に助言を行う。人脈を使って人材を紹介することもある経験や専門知識を生かして企業経営に助言を行う点は内部顧問と同じ。専門分野においては、よりプロフェッショナルな意見が求められる
就任する人材その企業の社長や役員が退任後に就任するその企業と関わりのない人物がアドバイザーとして新たに契約を結ぶ
強み・その企業の出身者のため独自ルールや慣習に詳しく就任後の業務がスムーズ
・長年付き合いのある取引先などに顔が効く。その顧問が在籍していること自体が、企業の信用を担保することもある
・企業の内部からは見えにくい問題点を客観的に指摘できる
・その企業には無いノウハウを提供できる
・内部顧問と比べると支払う報酬をコントロールしやすい
契約する対象法人と個人(顧問となる人)の間で契約が交わされる法人と個人だけでなく、法人と法人(コンサルティング会社や派遣会社)の間で契約されることもある
待遇契約条件や待遇は企業により異なる。役員クラスの高給から無給までさまざま案件ごと、もしくは職務範囲ごとに相場に基づき契約を交わすことが一般的
常勤か非常勤か契約により異なる。相談を受けた時だけ出勤するケースから、一般の従業員と同じく週5日常勤するケースまで幅広い契約により異なる。個人事業主の外部顧問もいるため、必要な時にのみ契約するケースもある
役員兼務の有無兼務するケースもある基本的になし
資格の有無不要士業の場合は有資格者(弁護士、公認会計士など)。コンサルタント的な業務では資格は不要
近年の傾向相談役とほぼ同じ扱いの場合もある。従来は退任した社長や役員が就任することが一般的だったが、削減を含めて見直しを進める企業もある従来の顧問とは一線を画し、企業の経営改善などのより高い目的のために契約することが多い。人材派遣会社などから紹介されることもある

アドバイザーとしての顧問には、大きく分けて2種類あります。「内部顧問」と「外部顧問」です。

内部顧問とは

元々その企業で社長や役員を務めた人物が役職を退いた後に顧問に就任することがあり、これを「内部顧問」といいます。就労形態は常勤と非常勤があり、企業によって異なります。取締役顧問といった役職で、経営に現役で携わる役員が内部顧問を兼任しているケースもあります。

従来、内部顧問は引退した重役のポストとして置かれる傾向がありましたが、近年は変化が起きています。詳細は後で述べますが、名誉職的な内部顧問は報酬や業務内容が不透明なことがあり、企業の透明性の観点から不適切であるという指摘もあります(※)。

※経済産業省『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)平成 30 年 9 月 28 日改訂

一方で、企業に長年勤め、企業の内情や取引先の情報などを深く理解している人物を顧問として置くことで、さまざまな問題が起きた場合に適切な助言を受けられるメリットもあります。また顧問が培ってきたコネクションを活用し、必要な人材を紹介してもらうことも可能でしょう。

民間シンクタンクの産労総合研究所が2015年に行った調査(※)では、役員退任後に「常勤の顧問」「非常勤の顧問」に就くと回答した企業がそれぞれ21.9%で同率でした。一定数の企業が内部顧問を採用していることが分かります。

※産労総合研究所『2015年 役員報酬の実態に関する調査

外部顧問とは

元役員などを採用する内部顧問に対し、外部の専門家(コンサルタント、士業等の有資格者など)と顧問契約を交わして実務に対し助言や指導を受ける場合、これを外部顧問と呼びます。

近年、労働人口の減少やワークライフバランスに対する変化、ITの発展によるビジネスモデルの変化と事業展開のスピードアップなどを要因に、労働環境は刻々と変わっています。企業を取り巻く課題に対して的確に対応し、継続的な事業の成長を促すには高度な知見や豊富な経験、人脈をもつ人材が必須と言えます。

これらのニーズから、外部顧問と契約を結ぶ企業は増加傾向にあります(※)。外部顧問は事業改善のために客観的に助言を行えること、企業内部の人材からは得られないノウハウを持っている点が評価されています。また報酬は従来の内部顧問や相談役などの名誉職と異なり透明性が高く、必要な場合のみ契約できるため人件費を抑えることも可能です。外部顧問と契約するメリットについて、詳細は後述します。

※藤崎雅子「定年後に「実務型顧問」という働き方、普通の会社員でもなれる!」ダイヤモンド・オンライン、2018年10月4日

顧問と相談役・役員・参与の違い

役員・相談役・参与との違い

顧問と似た役職に相談役、役員、参与があります。それぞれの違いについて解説します。

顧問と相談役の違い

顧問も相談役も会社法で定められた役職ではなく、企業の任意で設置される点は同じです。また経営に関する意思決定権も持ちません(役員兼務のケースを除く)。内部顧問の場合は出自も企業の引退した重役などであることから、相談役との違いがほとんどないケースもあります。

一方、外部顧問の場合は外部人材を雇うことから、経営の実務面に関して助言や指導を行う意味合いが強く、より専門的な視点やノウハウを求められます。

相談役や内部顧問の役割は企業によってさまざまですが、例えばユニー・ファミリーマートHD(現ファミリーマート)で社長退任後に相談役を務めた上田準二氏は「現経営陣が見過ごしてしまいそうなリスクを事前に助言すること」と週刊ダイヤモンドのインタビューで述べています。このほか、財界活動を通して出身企業に貢献するケースなどを挙げています(※)。

※『週刊ダイヤモンド 2017年10/14号』ダイヤモンド社、p.42

顧問と役員の違い

役員は会社法に定められている役職です。特に取締役は、株式会社では設置が必須となっています。顧問は会社法に規定のない役職であり、経営に対して意思決定権を持たない点が役員と異なります。

ただし、役員が顧問を兼務している企業もあります。代表取締役を退任した後、取締役として勤めながら顧問の立場で企業経営に携わるパターンも見られます。この場合は会社法上で役員(取締役)として登記されます。

顧問と参与の違い

参与とは、専門的な知識を生かして特定の業務管理を行う役職をいいます。直接業務には携わらず経営者の補佐や経営についての助言を行います。一般的な役職と異なり、部下を持たず単独で業務を遂行することが多いようです。

参与は経営に関する意思決定権をもち、この点で顧問と異なります。

企業によって参与の立場や序列は異なりますが、多くは経営幹部の下位に置かれており、役員を除いた序列では最上位としている傾向があります。

なお、会計参与(2006年5月に施行の会社法で新設)は会社法上で役員として規定されています。それ以外の参与については役員に就任できるレベルの幹部ではありますが、企業によって役員とするかどうかは異なります。

顧問の給与・報酬等の相場

報酬は各企業によって異なるため一概には言えません。産労総合研究所の2010年の調査(※)では、顧問および相談役の平均年間報酬は、常勤675万円、非常勤498万円となっています。

※産労総合研究所『役員報酬の実態に関するアンケート調査

役員と兼任しているケースでは役員報酬が支払われるため、上記調査よりかなり高額になります。人事院の調査では以下の通りとなっています。

【企業規模別、役名別の平均年間報酬】

役 名

企業規模
会 長副会長社 長副社長専 務常 務専 任
取締役
部長等
兼 任
監査等
委 員
監査役専 任
執行役員
万円万円万円万円万円万円万円万円万円万円万円
全規模6,354.55,246.44,622.13,923.63,189.62,461.41,944.61,703.31,947.71,715.62,205.7
3,000人以上10,160.46,472.97,372.65,449.64,501.53,396.22,446.82,163.13,409.72,426.13,099.7
1,000人以上
3,000人未満
5,585.04,548.44,554.33,460.33,066.92,382.01,939.51,746.11,863.11,655.51,877.0
500人以上
1,000人未満
5,130.34,797.83,963.12,856.42,461.82,126.61,819.51,597.01,389.21,417.91,581.6

出典:人事院『民間企業における役員報酬(給与)調査』第3表 平成30年 企業規模別、役名別平均年間報酬

外部顧問の場合は契約ごとに異なります。常勤か非常勤か、有期雇用契約か業務委託契約かなどによっても違います。また顧問弁護士などの士業や専門家の契約については別に相場があります。

【例1:弁護士の場合】
月5万円程度~。案件や業務範囲によります。
参考:日本弁護士連合会『アンケート結果に基づく中小企業のための弁護士報酬の目安-2009年度アンケート結果版-』pp.7-8

【例2:営業専門の顧問の場合】
報酬規定には月額固定報酬型、アポイント成果報酬型、売上成果報酬型などがあり、どの報酬型かによって異なります(契約による)。

【例3:技術顧問の場合】
業界により大きく異なります。月数万円から、50万円を超える場合もあります。依頼前に相場を調べ、どんな契約内容で依頼するか明確にしておく必要があります。

【例4:税理士の場合】
月額報酬は3万円程度と安いですが、年1回の決算報酬は20万円程度かかります。また、企業の年商によっても報酬が変わるので注意が必要です。

【例5:経営コンサルタントの場合】
定額報酬で月20万~50万円程度、時間契約型で1時間5,000円~10万円程度と人によって金額に開きがあることが多いです。

内部顧問を廃止する企業が増加している背景

顧問とは?内部顧問と外部顧問の違い、報酬の相場や役割を解説
2015年に明らかになった東芝の不適切会計をきっかけに、顧問・相談役を見直す動きが企業に広がった
(画像=yu_photo/stock.adobe.com)

2015年に発覚した東芝の不適切会計をきっかけに、引退した社長等が就く名誉職的な顧問や相談役を見直す動きが企業の間で強まりました。東芝のガバナンスが機能しなかった原因の一つとして、社長を経験した複数の相談役が経営への影響力を持ったことが批判されたからです。パナソニックや伊藤忠商事など、顧問や相談役を廃止した企業も相次ぎました。
参考:「顧問・相談役の廃止相次ぐ ブリヂストンや日航は開示」日本経済新聞、2018年3月5日

また、経済産業省は2017年3月にガイドラインを策定し、旧来の顧問や相談役にはさまざまな問題があると次のように指摘しました。

社長・CEO 経験者が会社に相談役・顧問として残る場合、会社経営についての責任を有さない相談役・顧問による現役の経営陣への不当な影響力の行使が生じているのではないかという指摘や、誰が実質的に経営のトップを担っているかわからない事態が生じるという弊害の指摘もある。また、相談役・顧問が不当な影響力を積極的に行使しない場合においても、現役の経営陣が、社長・CEO 経験者である相談役・顧問の意向をおもんばかって、事業ポートフォリオの見直しなど果断な意思決定を躊躇する要因になり得るという指摘もある。
加えて、相談役・顧問の役割・処遇は、各社によって一様でないがゆえに、外部から認識できない点で不透明さがあることは否定できず、会社の中には、相談役・顧問の実態が社内ですら広く把握されていないケースもある。

引用元:経済産業省『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGS ガイドライン)平成29年3月31日策定 平成 30 年 9 月 28 日改訂』p54

これを受け、東京証券取引所は上場企業に対し、任意ながら相談役と顧問の氏名や報酬などの情報開示を求める制度を2018年から始めました(※)。

※東京証券取引所『コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領(2022年4月改訂版)』p.13

外部顧問を置く企業が増えている!その4つのメリット

コーポレート・ガバナンスに則り、役割の不明瞭な内部顧問や相談役を廃止する動きが広がる一方で、外部顧問を設置する企業が増えています。特に近年、スタートアップやベンチャー企業では積極的に外部顧問をブレーンとして置く傾向があります(※)。有能かつ実績の豊富な人材を確保し、顧問として企業へ紹介(マッチング)するサービスも増えています。外部顧問を活用するメリットを見てみましょう。

※「大企業の経験、スタートアップに伝授 人材紹介が活況」日本経済新聞、2018年5月22日

【メリット1】第三者視点による専門的・客観的な意見を取り入れられる

内部の人材からは得られない、客観的な意見を助言として得られます。また企業の持つ課題や問題点を洗い出し、将来起こり得るリスクやトラブルに対して事前に対応することも可能です。

【メリット2】社会的信用や取引先に対する信頼度が高まる

大手企業などで役員クラスだった人材を外部顧問として採用する最大のメリットの一つは、信用や信頼性の担保です。大手電気メーカーを退職後に中小企業で顧問を務めた男性によれば、「この人が顧問についている企業の商品なら信頼できると取引先に思ってもらえる効果がある」といいます。

このメリットは、特にベンチャー企業やスタートアップなど、事業開始から間もなく実績がまださほどない企業ほど有効に活用できるでしょう。

【メリット3】社内の人材だけでは得られないノウハウ、人脈が得られる

ずっと同じ会社でキャリアを積んできた人からは得られない新しいアイデアやノウハウを提供してもらえます。豊富な人脈を使い、必要な人材を紹介してもらうこともできます。

【メリット4】必要に応じて利用することで人件費を抑えられる

引退した役員が就任する内部顧問の場合、契約内容にもよりますが多くは契約満了の取り決めがなく、長期間にわたって報酬が発生するようです。外部顧問は有期雇用契約や業務委託契約が多く、契約が満了すれば更新するか終了するか企業の状況によって決められます。

外部顧問と契約する際の3つの注意点と対策

外部顧問も契約内容や使い方によっては期待した効果が得られず、問題が発生することもあります。ここでは顧問契約の際の注意点と対策を解説します。

(1)最適な人材が見つからずミスマッチが起こることもある

内部の人材ではなく外部から人材を探した場合、顧問としての能力が不明なためミスマッチが起こるケースもあります。

【対策】
人材を紹介する会社にもよりますが、多くは数千人以上の顧問や相談役経験者が在籍しています。マッチングを依頼する際はどのような人材が欲しいのか、期間はどの程度か、常勤かスポット派遣なのかなどをあらかじめ決めておく必要があります。

具体的にどのような人材であれば自社の問題を改善できるのか、曖昧な場合は人材紹介会社の担当者に相談しましょう。

(2)契約前に対応範囲や責任を明確にしておく

外部顧問と契約を結ぶ際は、依頼する業務内容や対応してもらいたい範囲について明確にしておく必要があります。これを怠るとトラブルになる恐れもあります。

特に士業などと専門の分野について顧問契約を結ぶ場合は、依頼の範囲を具体的に設定する必要があります。報酬についても同様です。

また、責任範囲も明確にしておくことが大切です。顧問はすでに述べた通り、一般的には企業の意思決定に直接関与しません。しかし企業側からすると、社外から得られるノウハウや経験・人脈などを最大限に活用して成果を出したいと考えています。それ故にスペシャリストに報酬を支払うわけです。企業によっては顧問の業務に責任を持ってほしいと考えるケースもなくはありません。責任の所在や在り方について企業と顧問の間で解釈が分かれたり、そもそも明確にされていなかったりすると、後々トラブルになるケースも考えられます。

【対策】
顧問の仕事はあくまで「助言」であり、その助言をどう生かすか最終判断をするのは経営陣です。助言を取り入れた結果、業績が悪化したり思ったような成果が得られなかったりしても責任は問わないのが一般的です。

顧問に責任を負ってもらいたい場合は、契約の際に明確にしておきましょう。顧問紹介サービスや人材派遣会社の担当者を間に入れることで企業と顧問の間で齟齬が起きるリスクを軽減できます。

(3)ガバナンス上の問題への対応必須|顧問の適正数の判断は慎重に

顧問は会社法における規定のない役職のため、企業によってその役割や立場、待遇は異なります。その実態が企業の外からは見えにくく、株主などから不要なポジションを置き報酬を出しているのは企業経営にとって望ましくないと不満が漏れ出ることも考えられます。また実際、顧問の業務がどの程度企業に貢献しているのか、可視化できていないケースもあります。

【対策】
経産省のガイドラインなどを参考に、顧問の数や報酬が適性か、本当に必要なのか、どれくらい企業に貢献しているのか数値などで表せる仕組みが必要です。外部顧問の場合はこの点も紹介サービス会社で準備されていることが多いため、契約前に確認しておくとよいでしょう。

外部顧問の見つけ方|紹介サービス5選

サービス名i-common顧問バンク顧問名鑑パソナ顧問ネットワークマイナビ顧問
運営会社パーソルキャリア株式会社(英文:PERSOL CAREER CO., LTD.)株式会社顧問バンク株式会社顧問名鑑株式会社パソナJOB HUB株式会社 マイナビ
Mynavi Corporation
サービス内容経営コンサルティングサービス
人材紹介サービス
社外取締役、監査役紹介サービス
顧問マッチングサービス[顧問バンク]、名刺管理システム[BizCompass]『顧問名鑑』事業-上場企業役員、部長OBによる事業拡大支援サービス
『社外取締役名鑑』事業-社外取締役候補者の紹介サービス
パソナ顧問ネットワーク事業(シニア活用による経営支援)
社外取締役・監査役の紹介事業 ほか
就職情報誌の提供、求人・採用活動に関するコンサルティング ほか
登録顧問数約18,000名8,000名以上24,000名以上約6,000名要問い合わせ
導入実績要問い合わせ要問い合わせ7,000社以上(グループ取引実績)2,000社以上要問い合わせ
初期費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
仲介手数料人材紹介サービスプランの場合、紹介手数料として年間報酬の35%+110万円(税込)
※手数料の最低額は198万円(税込)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
公式サイトhttps://i-common.jp/https://common-bank.com/https://komon.co.jp/https://www.pasona-komon.co.jp/https://komon.mynavi-agent.jp/
(※紹介は五十音順)

需要の高まりを受け、顧問を即戦力として採用し、活用できる派遣サービスやマッチングサービスが増えています。紹介される多くは大手企業で社長や役員、専門職を歴任し、豊富な人脈を持つ人材です。プランによっては経営課題を解決するための道筋を提案してくれるサービスも用意されています。

これらの顧問紹介サービスを利用することで、欲しい人材、自社に最適な能力を持つ人材が見つけられる可能性があります。ここでは代表的なサービスを紹介します。

i-common(アイコモン)

i-common(アイコモン)
出典:公式サイト

i-common(アイコモン)は経験豊富な専門家を紹介する経営支援サービス。「助言」だけにとどまらない成果の出せる実働型顧問を紹介し、経営課題の解決を手助けします。登録されている人材は約18,000人。依頼者の状況に合った最適な人材を紹介します。

【公式サイト】https://i-common.jp/ ※2022年6月時点の情報です

顧問バンク

顧問バンク
出典:公式サイト

顧問バンクは大手企業での経験やノウハウを提供できる人材を紹介するマッチングサービス。約8,000人以上の顧問候補が登録されています。また紹介可能な人材の半数以上は上場企業の役職経験者とされています。

大手企業の依頼にも応えられる人材の豊富さ、上場企業とのコネクションが期待できる点に加え、営業に強い顧問も約3,000人登録。営業力強化に特化した顧問を探すことも可能です。

【公式サイト】https://common-bank.com/ ※2022年6月時点の情報です

顧問名鑑

顧問名鑑
出典:公式サイト

顧問名鑑には、上場企業で辣腕を振るった取締役や部長以上経験者が24,000人以上登録されています。その知見や人脈の活用により、サービス開始以来7,000社以上の中堅企業・ベンチャー企業への支援実績があります。中小企業や新興企業への支援を強く打ち出している点が特色です。

【公式サイト】https://komon.co.jp/ ※2022年6月時点の情報です

パソナ顧問ネットワーク

パソナ顧問ネットワーク
出典:公式サイト

パソナ顧問ネットワークは、人材派遣会社大手のパソナが提供する顧問紹介サービスです。登録されている人材は、上場企業の元役員や大手企業の管理職経験者、専門家など各領域におけるプロフェッショナルです。企業のプロジェクトに参画し、課題解決までの道のりを伴走します。

【公式サイト】https://www.pasona-komon.co.jp/ ※2022年6月時点の情報です

マイナビ顧問

マイナビ顧問
出典:公式サイト

マイナビ顧問は、大手人材派遣会社の一つであるマイナビの提供するサービスです。大手上場企業の役員・取締役経験者など、高度な経営ノウハウや豊富な人脈を持つ人材が多く登録されています。企業の抱える課題に対して最適な人材を、顧問や社外取締役などニーズに合わせて紹介できます。

【公式サイト】https://komon.mynavi-agent.jp/ ※2022年6月時点の情報です

まとめ

この記事では顧問の定義や役割、メリット・デメリット、事業への役立て方、顧問紹介サービスになどについて解説しました。

顧問は以前からある役職ですが、近年は社会の変革や技術の進歩により役割が変化してきています。より企業に貢献できる役割が求められ、それと同時に旧来とは異なるプロフェッショナルとしてのニーズが高まっています。顧問を採用して企業運営を改善したい、事業を発展させたいと考える経営者の方々は、記事を参考に採用を検討してはいかがでしょうか。

顧問に関するQ&A

Q1.顧問とはどんな役職か?

企業運営に関して、経営を担う社長や役員らに対してこれまで培ったビジネス上の経験をもとに助言や指導を行うのが役割です。このほか、自身の人脈を利用して有用な人材を企業に紹介することもあります。就任する上で資格は特に問われません。役割はあくまでも助言にとどまり、企業の方針決定に関わる権限は持たないことが一般的です。助言により企業が不利益を被った場合でも、結果に対し責任を負いません。

Q2.顧問の「内部」「外部」の違いとは?

元々その企業で社長や役員を務めた人物が役職を退いた後に就任することがあり、これを「内部顧問」といいます。就労形態は常勤と非常勤があり、企業によって異なります。経営に現役で携わる役員が兼任しているケースもあります。一方、外部の専門家(コンサルタント、士業等の有資格者など)と契約を交わして実務に対し助言や指導を受ける場合、これを「外部顧問」と呼びます。

Q3.顧問の報酬・待遇の目安は?

産労総合研究所が2010年に行なった調査では、役員を退任後に就任した場合の平均年間報酬が、常勤675万円、非常勤498万円となっています。

外部のコンサルタントや弁護士の場合は契約ごとに異なります。常勤か非常勤か、有期雇用契約か業務委託契約かなどによっても違います。月額の報酬相場は、弁護士が5万円、税理士が3万円、営業顧問が10万~50万円、技術顧問が数万~50万円、経営コンサルタントが20万~50万円となっています。月額のほかに個別の案件ごとに報酬が発生するものもあります。