この記事は2022年8月6日に「月刊暗号資産」で公開された「バイナンスとマスターカード、アルゼンチンで暗号資産型プリペイドカードを発行」を一部編集し、転載したものです。
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)とマスターカード(Mastercard)は4日、アルゼンチンでプリペイドカード「Binance Card」の発行を開始したと発表した。
カードはバイナンスの現物取引用のウォレットアカウントと連携。まずはビットコイン(BTC)とバイナスコイン(BNB)に対応するという。Binance Cardを所持する条件として、国民IDカードが必要とのことだ。
バイナンスによると、Binance Cardではユーザーが暗号資産でショッピングをすることや請求書の支払いが可能だという。ユーザーがアプリで保有する暗号資産をリアルタイムで米ドルまたはアルゼンチンペソといった法定通貨に変換する。また、カード所有者は対象の買い物をすることで、最大8%の暗号資産によるキャッシュバックを受け取ることができるという。
バイナンスのラテンアメリカにおけるゼネラルディレクター担当であるマキシミアリーノ・ヒンツ(Maximiliano Hinz)氏は「バイナンスカードを使用することで加盟店は法定通貨を受け取ることができ、ユーザーは選択した暗号資産で支払うことができる。Binance Cardはより広範な暗号資産の使用とグローバルな採用を促進するための重要なステップであり、今回、アルゼンチンのユーザーも利用できるようになった」と述べた。
カードはまだベータ版だが、今後数週間で広い範囲で利用が可能となるという。なお、ATMでの引き出しにも課金されないと発表している。
アルゼンチンでは暗号資産に対する注目度が高い。ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)によると、同国は世界の暗号資産導入国トップ10に入る。
アルゼンチンではビットコインだけでなく、米ドルに裏付けられたステーブルコインも人気があり利用度が高い。今月1日、アルゼンチンのサッカーチーム・バンフィールドは、ジュリアーノ・ガロッポ選手がブラジルの人気チーム・サンパウロに移籍した際、移籍金を600万ドル(約8億円)相当のステーブルコイン・USDコイン(USDC)で受け取った。
背景には、アルゼンチンにおける世界最悪のインフレがある。国民はインフレから身を守るため、暗号資産を利用する機会が増加した。
一方で、アルゼンチン政府はペソの下落によるキャピタルフライト(資本逃避)を懸念しており、先月暗号資産の新たな措置を導入した。中央銀行は過去90日間にペソで暗号資産を購入した国民に対し、公式レートで米ドルを購入することができなくなると発表している。(提供:月刊暗号資産)