この記事は2022年8月10日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコインやイーサリアムなど急落 米CPI発表前に警戒感強まる」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン,攻防
(画像=Tr3/stock.adobe.com)

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとした暗号資産(仮想通貨)価格は日本時間9日夜に急落。ビットコインは9日に一時2万4,000ドル(約324万円)を突破したが、10日には2万3,000ドル(約310万円)を下回った。記事執筆時点では前日比約3.6%のマイナスとなる2万3,000ドルあたりを推移している。

イーサリアムも同様に価格を落とし、記事執筆時点では前日比約5%のマイナスとなる1,680ドル(約22万7,000円)あたりで推移。コンセンサスアルゴリズムを現行のPoW(プルーフオブ・ワーク)からPoS(プルーフオブ・ステーク)へ移行する大型アップデート・The Marge(マージ)を控えているイーサリアムは期待感が高まりつつあり、9日には一時1,800ドル(約24万3,000円)を超えていた。

暗号資産市場では主要銘柄を中心に全面安となっている。9日の時点で米国のCPI(消費者物価指数)発表を警戒する動きが見られていたが、リスク面を考慮して利確する投資家が増加したものとみられる。

CPIの発表を控え、暗号資産市場だけでなく株式市場においても軟調な動きが広がった。

ダウ平均は3営業日ぶりにマイナスとなり、前日比58.13ドル安(0.18%)の32,774.41ドルで取引を終えた。また、ナスダックは150.53ポイント安(1.19%)の12,493.93ポイント、S&P500は17.59ポイント安(0.42%)の4,122.47ポイントで終えている。CPIに加え、半導体大手が相次いで業績予想を引き下げたことが重荷になった格好だ。

また、日経平均も半導体関連株が売られたことで続落し、前日比180円63銭安(0.65%)の2万7,819円33銭で10日の取引を終えている。日本では11日が祝日で休場となるため、リスク回避を踏まえた売りが先行した。

近頃の金融市場では米CPIの発表前に利確の動きが強まる傾向にある。インフレの加速が確認された場合には、FRB(米連邦準備理事会)が金融引き締めを強める可能性が高まるからだ。

それでも、10日に発表されるCPIの市場予測は前年同月比で8.7%と、先月発表された6月度の結果に比べ伸び率が鈍化するとみられている。

FRBにおいてもパウエル議長をはじめ一部理事を中心に1%を超える利上げについては消極的な姿勢が浮き彫りとなっており、CPIやその他経済指標の結果次第では、9月に開催される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%、もしくは0.5%の利上げにとどまる可能性がある。

米CPIは日本時間10日21時30分に発表される予定で、その前後では暗号資産市場も乱高下する可能性があるため、動向を注視する必要がある。(提供:月刊暗号資産