この記事は2022年9月13日に「月刊暗号資産」で公開された「PoW版イーサリアム、「マージ」完了後24時間以内にメインネット稼働と発表」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の大型アップデート「マージ(The Merge)」の実施が近づきつつある中で、対抗勢力の動きも活発化してきた。
現行のコンセンサスアルゴリズムであるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を主張する「EthereumPoW」は13日、メインネット構築に関する声明を発表した。同グループによると、マージが完了してから24時間以内にPoW版イーサリアムである「ETHW」のメインネットが稼働するという。詳細な日時に関しては、メインネットローンチの1時間前に発表するとしている。
EthereumPoWによると、マージ後にETHWのメインネットが開始されるまでに2048個の空のブロックの生成を開始し、その間にリプレイアタックを防ぐチェーンID(イーサリアムで分岐チェーンを見分けるための識別子)が正常に切り替わり、ETHWの中で最長チェーンになるようにパディングを追加するという。パディングとは、暗号化の前に、メッセージの先頭、中間、末尾にデータを追記するものだ。
一連の作業を経て、2049個目のブロックからチェーンID「10001」に切り替わることでETHWのトランザクションが含まれたブロックが生成される。最終的なコード、バイナリ、構成ファイル、ノード情報、RPC、エクスプローラーなどはメインネットローンチのカウントダウンが終わり次第公開するとしている。
EthereumPoWは今年7月、中国の投資家でイーサリアムマイナーのチャンドラー・グオ(Chandler Guo)氏が問題提起し、計画を発表したことから始まった。この動きにトロン(TRON)創設者のジャスティン・サン(Justin Sun)氏らが賛同し、すでにいくつかの暗号資産取引所ではETHWのIOU(借用証書)取引も開始されている。
イーサリアムブロックチェーンが分岐することにより、PoWとPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のイーサリアムが誕生することになるが、ユーザーにおいては取扱いに注意が必要となる。例えば、すでに取得しているPoW版のイーサリアムを、PoS版イーサリアムしかサポートしない暗号資産取引所に送金した場合には資産を失う可能性がある。
イーサリアムのチェーンが分岐した場合については、国内外の暗号資産取引所が対応を発表しているため、それぞれ確認する必要があるだろう。
なお「Bordel.wtf」によれば、記事執筆時点でマージは協定世界時(UTC)15日5時頃(日本時間15日14時頃)に行われるものと予想されている。この日時は前後するため、注意が必要だ。(提供:月刊暗号資産)