驚異のスーパーエイジャー

年を取ると、記憶を鮮明に思い出せなくなります。悲しいことに、年を取るにつれて脳が萎縮し、脳の情報伝達がうまくいかなくなるためです。

ところが、高齢者の中にも、若者と同じように記憶・学習できる「スーパーエイジャー」という人が存在します。これまでの研究で、そんなスーパーエイジャーの脳は萎縮しておらず、若者と変わらない構造と神経ネットワークの接続性を保っていることが知られていました。

マサチューセッツ総合病院の研究グループは、さらにスーパーエイジャーの記憶力の秘密を探るべく、機能的MRIを用いた研究を行いました。

研究では、若年者41名(平均年齢25歳)と高齢者44名(平均年齢68歳)を対象に、単語とペアになった写真をいくつか見てもらいます。そして10分後、同じ写真に加えて別の写真・単語ペアを提示し、それが前回見たものか、それとも初めて目にしたものか答えてもらうという試験を行いました。

その結果、スーパーエイジャーの脳では、見たものを区別する脳領域が若者と同じように活性化していることが判明しました。

年を取ると記憶が鮮明に思い出せなくなるのは、意外なことに視覚に関連する脳領域が関わっており、特定のものを見たときにだけ働くニューロン集団が、他のものを見たときにも反応するようになってしまうからなのです。

ただし、これはあくまで脳の問題であり、目が衰えて見えが悪くなるのとはまた別の話。

スーパーエイジャーの脳が、生まれつき衰えにくいのか、日々の生活習慣の中に何か秘訣があるのかはまだ分かっていませんが、もし後者だとしたら、ぜひとも伝授してもらいたいものですね。

こんな生活習慣に御用心

喫煙しないこと、適度な飲酒、心身ともに活動的であること、バランスの取れた食事、コレステロールや血圧を正常に保つことは、年を取っても脳を健康に保つのに役立ちます。

その他、脳と老化に関わる生活習慣についての研究結果を紹介します。