本記事は、毛内拡氏の著書『すべては脳で実現している。最新科学で明らかになった私たちの「頭の中」』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

リラックス
(画像=Alena Ozerova/Shutterstock.com)

ジェロントロジー(老年学)とは、加齢に伴って変化する体や、社会の仕組みなどを幅広い観点から研究する学問分野のことです。また、〝健康長寿〟の科学的研究に多くの予算が投入されるなど、世界中の大きな注目を集めています。

脳研究も例外ではありません。しかしながら、脳の老化研究の難しいところは、老化しているのは脳だけでなく全身であるため、さまざまなことが同時多発的に生じており、一体何が脳に影響を与えたのか、切り分けるのが難しい点にあります。
また、マウスですら寿命は2年ほどであるため、老化の研究をするには最低でも9カ月から1年くらいは、なるべく健康なまま飼育する必要があります。それは大変な労力です。

老化というのは必ずしもみなに平等に訪れるわけではありません。「年齢なんてなんのその、ただの数字」と言わんばかりに若いパワフルな高齢者もいて、さらには一度老化しても若返るなんてことも報告されているのです。