高齢者のテレビ視聴は〇時間以内で

旅行したり、人と会っておしゃべりしたりするなどの脳を刺激する創造的な娯楽や、本を読むような受動的な娯楽とは異なり、テレビの視聴は、読書ほど受動的ではないけれど、適度に受動的です。ただし強烈な感覚刺激をもたらすという、ユニークな組み合わせを持っているといわれています。

ついついダラダラと見続けてしまうのはこのせいなのかもしれません。

すべては脳で実現している。最新科学で明らかになった私たちの「頭の中」
(画像=すべては脳で実現している。最新科学で明らかになった私たちの「頭の中」)

テレビの視聴が、子どもの認知の発達に及ぼす影響については大きな関心が持たれていますが、高齢者の認知障害、記憶力の低下、アルツハイマーのリスク増加との関連性については、統一的な見解は得られていません。

そこでロンドン大学ユニバーシティカレッジの研究者らは、高齢者の認知能力低下にテレビがどれくらい関与しているかを理解するための研究を実施しました。

50歳以上の成人3,662人のデータを用い、データの地域差や被験者の経済状況、健康状態、生活習慣の影響などを多角的に加味しながら、6年間のテレビ視聴習慣による認知能力の推移を追跡しました。

その結果、3時間までは大丈夫だが、3.5時間以上のテレビ視聴習慣は言語記憶の低下をもたらし、それはテレビの視聴時間の長さに比例することが判明したのです。

これに加えて、夜中までダラダラとテレビを見ることで睡眠時間そのものが短くなったり、睡眠の質が悪くなったりするという弊害は、年齢に関係なく問題となります。