この記事は2022年11月11日に「月刊暗号資産」で公開された「関東財務局、FTX Japanに対して業務停止命令を発出 利用者保護などを要請」を一部編集し、転載したものです。
関東財務局は10日、FTX Japanに対して業務停止命令を発出した。
また、現在の同社の状況は、「公益または投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められることから、金融商品取引法第56条の3に基づく資産の国内保有命令、並びに同法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出した。
関東財務局は行政処分の理由として、現在FTX Japanが利用者に明確な理由を明示せずに、親会社であるFTX Trading Limitedの方針であるとして、再開の日程を明示しないまま、取引に係る法定通貨および暗号資産(仮想通貨)の出金を停止している一方、投資者からの財産の受け入れや投資者との暗号資産取引を継続していることを挙げた。
続けて、FTXについて信用不安となっている旨の報道がなされており、FTX Japanとの資本・取引関係を踏まえれば、速やかに投資者の新たな取引を停止させるとともに、当社の資産が国外の関連会社などに流出し、債権者および投資者の利益が害されるといった事態が招かぬよう、万全を期する必要があるとした。
FTX Japanの公式サイトでは現在、出金サービスを停止している旨を表示しているものの、板取引は可能となっている。
今回発出された業務停止命令により、FTX Japanの業務は11月10日から12月9日までの1ヵ月間停止する。暗号資産取引に関する業務や新たに利用者から資金を受け入れる業務を速やかに停止するようを命じている。
また、業務改善命令では、投資者の正確な把握および投資者の預託を受けた資産の正確な把握を行うことや、投資者の資産についての保全を図るとともに、会社財産を不当に費消する行為を行わないことを命じた。
業務改善計画を11月16日までに提出することに加えて、改善計画の実施が終了するまでの間は1ヵ月ごとの進捗状況を翌月10日までに書面で報告することを求めている。加えて、「資産の国内保有命令」も発出されており、11月10日から12月9日までバランスシート(貸借対照表)の負債に計上されるべき保証債務の額を含む負債額から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内において保有することを命じた。
大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏が7日、同社の保有するFTXの独自暗号資産・FTXトークン(FTT)を全て売却すると発表したことを受け、FTXからの出金が相次いだ。
これに伴い、FTXは流動性危機に陥りバイナンスへ支援を求め、買収に関する基本合意を締結した。しかし、10日にバイナンスが買収撤回を発表したことで、FTXの破綻危機は一層現実味を帯びてきている。(提供:月刊暗号資産)