この記事は2022年11月17日に「月刊暗号資産」で公開された「米投資家、FTXの破綻に関連して大谷翔平選手や大坂なおみ選手らを提訴」を一部編集し、転載したものです。


FTX
(画像=Dennis/stock.adobe.com)

メジャーリーグ(MLB)のエンゼルスに所属する大谷翔平選手やプロテニスプレイヤーでグランドスラムチャンピオンの大坂なおみ選手が、米オクラハマ州在住の投資家から経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXを巡り提訴された。16日、Bloombergなどが報じた。

FTXが大谷選手や大坂選手らを広告塔に起用し、「経験の浅い投資家」を標的にして欺く行為をしたとして、同社とCEOのサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)氏らに110億ドル(約1兆5,300億円)の損害賠償を求めたという。

原告のエドウィン・ギャリソン(Edwin Garrison)氏は、FTXがセレブ達を起用することで、連邦法とフロリダ州法に違反する未登録証券を売り込み、スマートフォンアプリを利用する投資家を出資金詐欺に誘い込んだと主張しているという。裁判所に対し、FTXの口座に登録されている全米の投資家を代表する集団訴訟の認定を求めているようだ。ギャリソン氏は「FTXの詐欺的なスキームで米国の消費者が被った損害額は合計110億ドルに上る」と訴えている。

マイアミのフロリダ州南部地区・米連邦地裁に15日提出された訴状には、大谷選手、大坂選手のほか、米NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)でスーパーボウルの7回制覇に貢献した人気プレイヤーのトム・ブレイディ(Tom Brady)選手、元NBA選手のシャキール・オニール(Shaquille O’Neal)氏、投資家でテレビ番組司会者のケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)氏など多くの有名人が被告として提訴されている。

ギャリソン氏は、広告塔になったセレブたちにも責任があると指摘している。

FTXは昨年11月に大谷選手、今年3月に大坂選手とグローバルアンバサダーの長期契約を結んだ。両者はFTXの株式を取得し、暗号資産で報酬を受け取る契約となっていた。また、大坂選手はブランドコンテンツ作成にも協力し、試合中に「FTX」のパッチを着用していた。

FTXは今月11日に米連邦破産法11条(Chapter11)の適用を申請した。これにより、大谷選手や大坂選手をはじめとするアンバサダーに対する対応を現時点では不透明となっている。

また、FTXは先日、NBAマイアミ・ヒートの本拠地である「FTXアリーナ」の命名権も取り消された。

FTXは契約を締結した際、1,400万ドル(約19億5,300万円)を支払っているが、破産等の事態に陥った際には3年分の契約料を支払うことが盛り込まれていた。そのため、今後FTXは60日以内に契約料3年分に相当する1,650万ドル(約23億円)を支払わなければならないという。(提供:月刊暗号資産