この記事は2022年12月19日に「月刊暗号資産」で公開された「与党税制改正大綱が公表 暗号資産の時価評価課税見直し等盛り込む」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=DRN Studio/stock.adobe.com)

自民党は16日、令和5年度「与党税制改正大綱」を取りまとめ発表した。個人投資家の優遇制度「NISA」の抜本的な拡充・恒久化を行うほか、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化に向けた方策が盛り込まれた。

NISAは非課税保有期間を無期限化するほか、限度額も現行の800万円から1800万円に拡大し、「貯蓄から投資へ」の流れを推進させる。

一方、防衛費増額に向けた財源確保の一環として法人、所得、たばこの3税において増税する方針も記された。導入時期など具体的な議論は来年に持ち越されたものの、与党は3税から2027年度に「1兆円強を確保する」と明記した。

スタートアップ支援については、保有株式の譲渡益を元手に創業者が創業した場合や、エンジェル投資家がプレシード・シード期のスタートアップに再投資した際、株式譲渡益に課税しない制度を新たに創設する。上限額は米国を上回る20億円とする方針だ。

また、暗号資産(仮想通貨)税制に関連した内容も盛り込まれた。具体的には、法人に対する課税方法を見直す内容となっている。

与党税制改正大綱では、法人が事業年度末において有する暗号資産のうち、時価評価により評価損益を計上するものの範囲から下記の要件に該当する暗号資産を除外するとしている。

  • 自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。
  • その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われているものであること。

  • 他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。

  • 一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。

また、自己が発行した暗号資産について、「その取得価額を発行に要した費用の額とする」と記載。さらに、法人が暗号資産交換業者以外の業者等から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合に関しては、「その譲渡をした日の属する事業年度終了の時までにその暗号資産と種類を同じくする暗号資産の買戻しをしていないときは、その時においてその買戻しをしたものとみなして計算した損益相当額を計上する」と明記した。

一方で、令和5年度与党税制改正大では法人に対する暗号資産課税の見直しは盛り込まれたものの、個人の暗号資産取引において申告分離課税導入することや、暗号資産同士の取引による課税撤廃等は含まれていない。また法人に関しても、自社が発行した暗号資産については盛り込まれたが、他社が発行した分に関しては見送られた格好だ。

今後、与党税制改正大綱は政府に提出され、閣議決定を経て国会に制改正に関する法案が提出される。(提供:月刊暗号資産