この記事は2022年12月20日に「月刊暗号資産」で公開された「FTX元CEOサム氏、米国への身柄引き渡しに同意か」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの元CEOであるサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)容疑者が、米国への身柄引き渡しに同意したことがわかった。20日、ロイターなど複数のメディアが報じた。
今月に入り、ニューヨーク南部地区連邦検察官はサム氏を詐欺やマネーロンダリングなど8件の罪で起訴した。訴因全てで有罪が出た場合、最高で115年の禁固刑を課せられる可能性がある。
バハマ警察は今月12日、米国当局からの要請に基づき、サム氏を逮捕した。当初、サム氏と担当弁護士は「身柄引き渡しに異議を唱える」としていたが、それを覆した形だ。
今後、サム氏がいつバハマから米国に出発するのかは明らかになっていないが、今週後半にも再び公聴会が開かれ、同氏が出廷する予定であるという。
19日、バハマの首都ナッソーの裁判所に現れたサム氏は、米国への身柄引き渡しに同意することを伝えたようだ。バハマにおける弁護人であるジェロン・ロバーツ(Jerone Roberts)氏によれば、サム氏は送還に同意する前にニューヨークの連邦裁判所に提出された起訴状の確認を希望したという。その後、米国の弁護士と話す許可も求め受理された。
ロバーツ氏はサム氏について、「彼は自発的に身柄の引き渡しに同意した」と述べ、「我々は弁護士として、法廷を動かすために必要な書類を準備する」と続けた。
サム氏は逮捕された翌日の13日にバハマの刑務所フォックス・ヒル(Fox Hill)に収監された。2021年の米国国務省による人権評価によると、フォックス・ヒルは「過密状態、栄養不足、不十分な衛生状態、不十分な医療」のため「過酷」であるという。
また、サム氏は保釈を求めたものの、裁判所は逃亡の恐れがあるとして却下された。一部では米国に戻り裁判が開始されることで保釈が認められる可能性があるため、身柄引き渡しに同意したのではないかとの見方もある。
サム氏は米SEC(米証券取引委員会)およびCFTC(米商品先物取引委員会)からも提訴されている。SECは「数年にわたる詐欺を指揮していた」ことや、「アラメダ・リサーチ(Alameda Research)に対し特別待遇を設けていた」ことなどが詐欺行為に該当すると説明している。(提供:月刊暗号資産)