この記事は2023年1月5日に「月刊暗号資産」で公開された「米コインベース、NY州金融サービス局と1億ドルで和解 コンプライアンス関連で不備」を一部編集し、転載したものです。
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は4日、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に5000万ドル(約66億円)の罰金を支払い、また自社のコンプライアンスを強化するため今後2年間で5000万ドルを投資することで和解したと発表した。
コインベースは2017年にニューヨークで暗号資産および送金事業を運営するライセンスを取得していた。
NYDFSはコインベースのマネーロンダリング対策や、KYC(本人確認)およびトランザクション監視ポリシーの不備を発見した後、2022年初頭に監視官を設置して調査を行なっていた。
コインベースの最高法務責任者(CLO)であるポール・グレワル(Paul Grewal)氏は声明で、「コインベースはNYDFSの懸念を真摯に受け止め、これらの欠陥に対処するための実質的な措置を講じた」とコメント。さらに、「コインベースは暗号資産業界のリーダーであり、ロールモデルになるよう努め、コンプライアンスや他の領域等で規制当局と連携していく」と述べた。
また、NYDFSの監督責任者であるエイドリアン・A・ハリス(Adrienne A. Harris)氏は発表で、「コインベースはその成長に合った機能的なコンプライアンス・プログラムを構築できていなかった」とし、「今回の失敗はコインベースのプラットフォームを潜在的に犯罪行為にさらしたものだ」と語った。
今後、NYDFSはコインベースの監視を1年間継続し、その後も必要と判断した場合には延長もあり得るとしている。
コインベースはブロックチェーン分析ツールのCoinbase Tracerやマネーロンダリング対策およびコンプライアンスツールなどを構築していくと説明。また、コインベースのプラットフォームにおける全ての取引を分析し、詐欺やマネーロンダリング、その他の違法行為を検出するトランザクション監視システム(TMS)を強化する。さらに、独自の顧客リスク・スコアリング(CRS)を開発し、オンボーディング時およびその後のリスク評価を計算する。
今回の和解を受け、コインベースの株価は前日比15.72%上昇した。(提供:月刊暗号資産)