株式会社Fanは資産形成層の顧客をターゲットにしている。顧客の約8割がNISA(少額投資非課税制度)を活用した取引を行い、その内の約7割がつみたてNISAを利用する。仲介する口座数は延べ1万8,000口座を超え、仲介する預かり資産が約1,000億に上る同社は、長期的な視点でリスクを抑えた提案を行うIFAだ。最近では、顧客に寄り添った活動や地域への貢献が認められ、富山県の成長企業を支援する「T-Startup企業」に選出されている。「ネット証券の利用者が増えたことでIFAの見込み客が増加した」と話す代表の尾口氏に、IFA業界の変化や展望などについて話を聞いた。
顧客の約8割がNISAを活用した取引を行う
―― 御社の顧客は、どのような年代や属性の方が多いのでしょうか? また、預かり資産や顧客数なども教えていただけますでしょうか。
年代別の比率で言いますと、30代、40代、50代、60代がそれぞれ約20%、それ以外の世代が約20%といったところですね。当社は資産形成層をターゲットにしており、業界の中でも30~40代のお客さまが多いほうだと思います。
また、当社のお客さまの約8割がNISAを活用した取引を行っており、そのうちの約70%がつみたてNISAを利用しています。資産形成層のお客さまからのご相談としては、「積立投資をしたいが、商品の選び方が分からない」「NISAとiDeCoはどちらがよいのか」といったご相談が増えています。
当社の預かり資産は2022年12月末時点で約1,000億円あり、仲介する口座数は延べ約1万8,000口座です。資産形成層が多いこともあり、顧客1人当たりに換算すると約500~600万円の預かり資産です。
―― 資産形成層をターゲットにされているのは、どのような思いがあるのでしょうか。
実際に当社の売上高に占める割合としては50~60代の方が多いのですが、「その年代のお客様ばかりに注力するのは違うのではないか」と考えています。なぜなら、当社は「資産運用をあたりまえにする」を経営ビジョンとして掲げており、資産形成層の漠然とした不安に寄り添っていくほうがやりがいを感じられると思っているからです。
老後2,000万円問題を受けて、20~30代の若い世代が将来への不安を認識するようになってきていますが、積立投資などについて気軽に相談できるところは少ないと思います。銀行や証券会社への相談はハードルが高い。そこにこそ、当社が存在する意義があり、IFAのやりがいにもつながると考えています。
当社に来てくれるIFAは資産形成層をターゲットにしている点に共感してくれる方が多いです。大手金融機関では提案したいことがあっても会社の都合でできなかったり、富裕層限定でお付き合いしなければいけなかったりといった場合もありますので……。
―― IFAの働き方としては正社員と業務委託契約がありますが、御社はどのような方針で人員を確保しているのでしょうか?
当社のIFAは、正社員が7割、業務委託契約が3割です。顧客を大事にしてくれる方と一緒に働きたいと思っており、個人的には正社員にも業務委託契約にもこだわりはありません。ただ、店舗展開を進めていく上ではどうしても店舗に常駐するIFAが必要になるので、そういった意味では正社員を増やさないといけない側面はありますね。
2022年はリスクを抑えて資産運用したいという相談が多かった
―― 2022年はインフレや円安などにより、マーケットが揺れ動いた1年だったと思います。富裕層の顧客からはどのような相談が多かったのでしょうか。
1,000万円以上の資産を運用に回せるようなお客さまですと、「資産運用はしたいけどリスクは負いたくない」といった方が圧倒的に多かったですね。元々当社は個別株に関する相談には乗っておらず、ローリスク/ローリターンの商品を提案することが多いので、最終的には円建て債券や米ドル建て債券に落ち着くことが多かったように思います。
特に今年は米国債の金利が上がったこともあり、米ドル建て債券での運用に魅力を感じた方が多かったと思います。
―― 円安局面で「ドル転」することに不安を感じる顧客もいらっしゃると思うのですが、どのように対応されていたのでしょうか。
確かに入り口では円高に振れていたほうが「ドル転」しやすいのですが、基本的には「円資産しか持たないこと」に危機感を持っています。そのため「ドルを保有するのであれば3~5年といった短中期ではなく、10~20年の長期で考えましょう」とお客さまにはお伝えし、目先の円安局面に対する抵抗感を和らげています。
また、金利が上昇すると債券価格が下落するといった債券の性質もお伝えし、タイミングに惑わされないような説明を心掛けています。
―― 有価証券の運用サポート以外ですと、どのようなサポートを行うケースが多いのでしょうか?
近年はインフレが加速し、家計におけるさまざまな費用が増加したことから、「固定費を削減したい」といったご相談が多く寄せられました。具体的には生命保険や住宅ローンの見直しです。また、当社は最近「楽天モバイル」の取り扱いを始めましたので、(固定費としての)通信料の削減も提案できます。
以上は、どちらかといえば資産形成層向けの提案ですが、富裕層向けにも毎月の固定費を削減し、積立投資に回す分を増やすようなサポートも行っています。
ネット証券の利用者が増えたことで、IFAの「見込み客」が増加した
―― 御社を起業された時と比べると、現在のIFA業界はどのように変化したと思いますか?
当社にご相談いただくお客さまの7~8割が大手ネット証券の口座を持っている方たちで、「自分で商品を選べない」「保有商品への意見を聞きたい」といった方が多い傾向にあります。そういった意味では、ネット証券の認知度や口座数、預かり残高などが拡大したことに伴い、IFA業界の「見込み客」も年々増加していると思いますね。
本社がある富山県にしても、人口比で計算すると5~10人に1人が大手ネット証券で口座を持っているのではないかと考えています。当社のような相談先があるのだと認知されれば、業界としてはさらに広がりを感じられるのではないかと期待しています。
また、仕組債の取り扱いに対して金融庁からアナウンスが入ったことにより、IFA業界で働く人達にとって大きな変化があったと思います。顧客本位の提案を行わないIFAは淘汰される時代です。生き残るためにはIFAとしての質を高めていかなければならないと思いますね。
―― IFA業界の今後についてはどのようにお考えでしょうか。
大手証券会社で「FA職」が廃止される一方、対面営業に強みを持つ大手証券会社がネット証券に出資するケースが見られます。仮に、大手証券会社のネット証券買収が大きな流れになるのだとしたら、ゆくゆくはIFAの衰退につながっていく可能性があると思っています。
ただ、金融業界の悪い部分と言われる「転勤ありきの働き方」は簡単には変わらないと思うので、顧客のことを考えるのであればIFA業界の拡大は必要だと思いますね。
―― 富山県でIFA法人を起業し、さまざまな苦労を重ねてこられたとお聞きしました。現在は会社として成長した実感などはありますか?
富山県には人気の商業施設がいくつかあり、当社もそこに出店したいと数年前から思っていたのですが、残念ながら弊社の力不足もあり断られていました。オーナーとしては、信頼性の高い企業をテナントとして迎えたいと考えるのは当然だと思います。そういう意味で、起業後しばらくの間は、会社としての信頼度の低さを痛感していました。
しかし、現在は富山県の成長企業を支援する「T-Startup企業」に選んでいただいたこともあり、会社の信頼度が大きく上がったと感じています。富山県が支援する企業の1つに選んでいただけたことは素直にうれしいです。
「T-Startup企業」に選ばれたことによって商業施設内への出店が可能になり、会社として事業を拡大するチャンスをつかむことができました。地元の富山県でしっかりと事業基盤を固めていっているという実感があります。
当社としてはさらに規模を拡大し、今後富山県で起業される方にも参考になれればよいと考えています。
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