この記事は2023年1月13日に「月刊暗号資産」で公開された「米司法省、FTX元CEOのサム氏らが保有する600億円相当のロビンフッド株を押収」を一部編集し、転載したものです。


FTX
(画像=BillionPhotos.com/stock.adobe.com)

米司法省は、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの元CEOであるサム・バンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)氏らが保有する米ロビンフッド(Robinhood)社の5,500万株以上を押収したと発表した。

押収されたのは株式に加え、27億円相当の現金となっている。現在、FTXは破綻整理のため手続きを行っているが、その過程で押収された格好だ。

米司法省が発表した時点のロビンフッド株は一株8.25ドルで取引を終えているため、保有株の価値は4億5,600万ドル(約600億円)相当の価値を有していることになる。

押収された資産は、今回サム氏に容疑がかけられているマネーロンダリングや、電子詐欺関連の財産であると裁判所に提出された資料には記されている。今回押収された株式は英国を拠点とする証券会社ED&F Manの口座に保管されていた。

米司法省は今回のロビンフッド株だけではなく、FTXが保有している関連資産を押収する方針を取っており、今後さらに動きは加速する見込みだ。

実際、11日にはFTXの担当弁護士であるサリバン&クロムウェル法律事務所(Sullivan&Cromwell LLP)が50億ドル(約6,600億円)以上の現金や暗号資産等を回収したと発表している。

それでも、FTXの暫定CEOで再建を目指すジョン・J・レイ三世(John J.Ray Ⅲ)氏によれば、債権者の請求額とはまだギャップがあるという。また、サリバン&クロムウェル事務所のアンドリュー・ディートデリヒ(Andrew Dietderich)弁護士も「不足額は明らかになっていない」とし、債権の確定には時間を要する考えを示している。

サム氏は昨年12月にマネーロンダリングや電子詐欺などの容疑で逮捕されている。3日に行われた公聴会では、容疑をかけられている8つ刑事告発に対して、無罪を主張した。なお、初公判は今年10月2日に決定している。

すでにFTXの共同創設者で元CTOのゲイリー・ワン(Gary Wang)氏と、アラメダ・リサーチ(Arameda Research)の元CEOであるキャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏は罪を認め捜査に協力していることから、今後の裁判の動向に注目が集まる。(提供:月刊暗号資産