この記事は2023年1月16日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、2万ドル突破 前週比20%超の上昇」を一部編集し、転載したものです。
ビットコイン(BTC)は14日、昨年11月に暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが破綻して以来となる2万ドル(約255万円)を突破した。
日本時間13日夜に発表された米CPI(消費者物価指数)を見据え、暗号資産や米国株などは12日頃より上昇傾向にあった。CPIにおいてインフレの鈍化を示すことに期待が集まった格好だ。
CPIの結果は前年比で市場予測通りの6.5%となり、食品・エネルギー除くコアにおいても、事前の見込み通りである前年比5.7%という数値となった。市場予測通りの結果になったことで一時は利確の動きが強まったものの、その後はFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの緩和観測が広まったことで株式にも買いが集まった。
13日のNYダウ平均は一時200ドル超の下落を見せたものの、最終的には前日比112.64 ドル(0.33%)高の34,302.61ドルで終えた。また、ナスダックは78.05%(0.71%)高の11,079.16、S&P500は15.92(0.40%)高の3,999.09で終えている。
米国株に連動し、ビットコインやイーサリアム(ETH)等の主要銘柄を中心に暗号資産市場でも資金流入がみられた。
ビットコインは日本時間14日に2万1000ドル(約268万円)ほどまで上昇。記事執筆時点ではわずかに価格を伸ばし2万1300ドル(約271万円)ほどで推移している。これにより、前週比で約23%の上昇となった。イーサリアムも16日入り1600ドル(約20万4,000円)を上抜け、前週比約20%の上昇となっている。他アルトコインではソラナ(SOL)が前週比約44%、アバランチ(AVAX)が前週比約36%、ディセントラランド(MANA)が前週比76%の上昇をみせている。
暗号資産業界ではFTXの破綻や市況の悪化に伴い従業員削減などが相次いでいるが、そうした影響も解消されつつあると言えるだろう。
一方で、金融引き締め動向や景気後退リスクについては引き続き注視する必要がある。
市場では金融引き締め緩和論が先行しているものの、パウエルFRB議長らは利上げの継続姿勢を崩していない。すでに景気後退を示唆するデータ等も出てきてはいるが、FRBでは「金融引き締めによる影響が出るのはこれから」という見方が強く、早期の利下げには懐疑的な姿勢がうかがえる。
こうした当局と市場参加者による認識のギャップが大きくなることで金融引き締めが長期化する可能性もあるため、注意が必要となる。(提供:月刊暗号資産)