この記事は2023年1月17日に「月刊暗号資産」で公開された「マネックスグループ・松本社長、FTX Japanの買収に関心示す」を一部編集し、転載したものです。
マネックスグループの松本大代表執行役社長CEOが、昨年11月に破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの日本法人であるFTX Japanの買収に関心を示したことがわかった。16日、Bloombergが報じた。松本氏は同紙のオンライン取材で答えたという。
マネックスグループは傘下に暗号資産取引所コインチェックを有している。その上で、松本氏は日本国内で暗号資産取引所が乱立した状態よりも「寡占した方がいい」との考えを語った。
FTXは現在、FTX Japan、FTX Europe、LengerX、Embedの4つの事業体について売却手続きを進めている。FTXは、1事業または複数の事業の入札に関心を示す約117の事業体のうち、先週の時点で59の事業体と秘密保持契約を交わしていることを明らかにしていた。FTX Japanには約40の企業が関心を示しており、そのうち25社は機密保持契約を締結したとしている。
松本氏はBloombergの取材で、FTX Japanの買収について「一般論として興味がある」と述べた。資産運用に加えて、マーケティング領域でもブロックチェーンや暗号資産が関わってくるとし、「その時に日本での少ない選択肢の1つになるのは重要なこと。競争相手が減ることはいいことだ」と語ったようだ。
しかし、FTX Japanに対する入札についてはコメントを控えた。FTX Japanの売却については、2月1日に予備入札が締め切られ、3月21日に競売が開催される予定となっている。
マネックスグループは2018年にコインチェックを買収し、完全子会社化した。現在ではマネックスグループのグループ会社であるCoincheck Group B.V.(CCG)とナスダックへ上場している特別買収目的会社(SPAC)のThunder Bridge Capital Partnersらと米ナスダックへの上場を目指している。
松本氏によれば、FTXの経営破綻後、世界的に暗号資産取引所の撤退や人員削減が相次いでいるが、コインチェックのナスダックへの上場に影響を与えることはないという。また、コインチェックの足元の業績は厳しいが「基本はかなりの利益を上げられる会社」として「上場は資金調達のためではない」と説明した。
上場の狙いはグローバルな人材獲得や買収を行うためであるとして、マネックスグループが暗号資産、ブロックチェーン領域のビジネスを進めていく上で「最も重要な戦略」と強調している。
なお、マネックスは今月4日、松本氏が6月下旬に会長に就任し、清明祐子共同CEOが社長CEOに昇格する人事を発表した。松本氏はカタリスト投資顧問の取締役会長として、投資先との対話を通じ企業価値向上を促すエンゲージメントに注力する方針であるという。(提供:月刊暗号資産)