焼き肉チェーン店「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーション<3097>と、焼き肉チェーン店「あみやき亭」を展開するあみやき亭<2753>の業績回復力の差が鮮明になってきた。

両社ともに2023年は業績の好転を予想していたが、あみやき亭が業績予想を下方修正しコロナ禍からの回復に手間取っているのに対し、物語コーポレーションは順調に業績を伸ばしているのだ。何が両社の好不調を分けたのか。

上回るコロナ禍前利益

物語コーポレーションは2023年6月期の第2四半期決算を発表した2023年2月時点で当初予想通りの業績数字を維持している。売上高は876億5800万円(前年度比19.6%増)で、本業の儲けを示す営業利益は62億5900万円(同2.17倍)と大幅な増収増益を見込む。

【物語コーポレーションの業績推移】2023年6月期は予想

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

同社は主力の焼肉店に加えラーメン店や、お好み焼き店、しゃぶしゃぶ店などを手がけており、売上高はいずれも2ケタの高い伸びとなっている。この増収効果に加え、原材料費や光熱費、人件費の高騰対策として、価格の見直しや店舗の営業時間の短縮、配膳ロボットの活用、セルフレジの拡充などに取り組んできた。

この結果、2023年6月期第2四半期の原価率(食材の仕入れなどからなる原価が売上高に占める割合)は、前年同期の34.47%から34.41%とわずかながら改善した。販管費率(店舗の人件費や光熱費などの経費が売上高に占める割合)も前年同期の61.7%から57.69%に改善。こうした結果を踏まえ、通期の営業利益が前年度の2倍以上に膨らむ見込みだ。

【物語コーポレーションの原価率と販管費率】

2022年6月期第2四半期 2023年6月期第2四半期
原価率 34.47% 34.41%
販管費率 61.27% 57.69%

一方、あみやき亭は2023年の年初に2023年3月期の業績予想を下方修正した。消費マインドの低下や原材料価格、光熱費、人件費などの上昇が響き、売上高は当初予想よりも18億2000万円低い279億6000万円に、営業利益は当初の10億円から3億5000万円に引き下げた。

【あみやき亭の業績推移】2023年3月期は予想

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

それでも前年度と比較すると売上高は29.7%の増収に、営業損益は前年度の33億8200万円の赤字から黒字に転換する。新たな業態店舗の出店や、注文、提供時間の短縮、配膳ロボットの試験導入などに取り組んだことによる成果だが、予想よりも回復に力強さが欠ける結果となった。

この両社の差は原価率や販管費率にはっきりと現れており、原価率は4.12ポイント、販管費率は3.53ポイントいずれもあみやき亭の方が高く、儲ける力が十分に戻っていないことが分かる。

売上高の伸びはあみやき亭の方が高いため、コスト削減対策が業績回復力の差となって現れた格好だ。

【あみやき亭の原価率と販管費率】

2022年3月期第3四半期 2023年3月期第3四半期
原価率 39.69% 38.53%
販管費率 78.21% 61.22%