スマホゲーム大手2社の本業の儲けを示す営業利益が好対照をなしている。スマホゲーム「モンスターストライク」を収益の柱とするMIXI<2121>は、当初営業減益の予想だったが、モンスターストライクが好調に推移していることから2023年3月期は増益に転じる見込みだ。

一方、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を収益の柱とするガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は、これまで増益基調にあったが2022年12月期に減益に転じた。

コロナ禍による巣ごもり需要の伸びに伴ってゲーム市場は大きく拡大しているが、ゲームコンテンツの人気、不人気によって業績が大きく変動する不安定な事業でもある。増益に転じたMIXIと減益に転じたガンホー、両社の攻防の行方はまだまだ二転三転ありそうだ。

コロナ禍3年目に反落

MIXIは2023年2月に2023年3月期の業績予想を上方修正した。モンスターストライクの9周年イベントや、人気キャラクターなどとのコラボレーションなどが好調に推移したのが要因で、売上高は当初予想より90億円増え1420億円(前年度比16.4%増)に、営業利益は当初予想より75億円増え230億円(同29.2%増)になる。

ガンホーもパズドラの感謝祭や他社の有名キャラクターとのコラボなどを実施したほか、新ダンジョン(ゲームで冒険が行われる場所)の追加やゲーム内容の改善などに取り組んだ結果、売上高は1055億500万円と前年度比0.8%の増収となった。

ただ、ゲームの開発にかかわる費用や販売や管理のための費用が増大したことから、営業利益は276億4900万円と前年度比15.7%の減益に転じた。同社はコロナ禍にあった2020年12月期、2021年12月期は営業増益を達成していたが、コロナ禍3年目に反落した。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)


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(画像=「M&A Online」より引用)


のれんの償却費を計上

MIXIは業績予想の修正の際に、持ち分法適用関連会社で暗号資産取引所のビットバンクへの投資に伴うのれんの償却費として48億円ほどを損失として計上したため、当期利益は前年度比51.3%減の50億円に留まる。

これに対しガンホーは16.9%減と2ケタの減益となるものの190億2200万円の当期利益を計上しており、こちらについてはガンホーに軍配が上がる。

感染症はウイルスや細菌の感染力に応じて「1類」から「5類」に分類されており、新型コロナウイルスは現在「2類相当」に位置付けられている。これが2023年5月には季節性のインフルエンザなどと同じ最も感染力の低い「5類」に移行する。

ゲーム市場は巣ごもり需要が減少しても安定して成長するとの見方があるが、コロナ前の日常生活が戻ってくる5月以降どのようになるのか。状況によっては両社の攻防にも変化が起きそうだ。

文:M&A Online編集部