総括
FX「成長見通し上方修正、9年ぶり年足陽線に挑戦も貿易・経常赤字のリラ安圧力あり」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価20位)
予想レンジ トルコリラ/円6.4-7.4
(ポイント)
*リラも株価も弱い2023年
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*3月消費者物価は前年比50.51%で前月の55.18%を下回った
*3月製造業PMIは50.9で前月の50.1を上回った
*貿易・経常赤字は続く。これが主たるリラ安要因
*リラ安防衛策はリラ預金増に繋がるがリラ安を抑えきれない
*国内預金が外貨預金を上回る=リラ化政策で
*野党が選挙戦をリード
*9年ぶりの年足陽線が崩れる
*今年は建国100周年
(リラも株価も弱い2023年)
9年ぶりリラ円年足陽線目指すも、またもや陰転。円に抜かれ12通貨中11位。株価市場は最下位。
経済指標は
3月消費者物価は前年比50.51%で前月の55.18%を下回った。
生産者物価は62.45%で前月の76.61%を下回った。
3月製造業PMIは50.9で前月の50.1を上回った。
今夜は2月鉱工業生産の発表がある。
(経常収支、貿易収支の赤字がリラ安の主因)
3月の貿易収支は85.7億ドルの赤字で依然赤字が続く。2月経常収支は87.83億ドルの赤字。貿易・経常の赤字は延々と続く。後述のリラ防衛策も貿易・経常の赤字には利かない。以下はトルコの貿易・経常赤字のチャートである。単位百万ドル
・貿易赤字
・経常赤字
(失業率悪化)
2月失業率は10.0%で前月の9.8%から悪化した。予想は9.6%。労働参加率は53.6%で前月の54.1%から低下した。失業者は6.5万に増加して351.4万人に、雇用者は36.1万人増加して3146万人となった。
女性の失業率は12.6%で男性は8.7%。若年層(15歳から24歳)の失業率は19.2%と高い。
(為替差損保護定期預金(KKM)を強化しリラ預金は増加も金利は上昇、リラ安も覆せず)
トルコ中銀は先週、脱ドル化を促進し、トルコリラの国債利回りを抑えるという目標に沿った新たな措置を発表した。
為替差損保護定期預金「KKM」で知られるこのスキームは、自国通貨の下落による損失を補うための保証を通じて、貯蓄をリラで維持するように奨励することで、ドル化を食い止めるものだ。預金量は3月31日までの1週間で1.7兆リラを超え、新記録を達成。金額は1週間で282億リラ増加したという。この引き上げは、国内の個人投資家に対するスキームの上限金利制限を撤廃した規制に従うものだ。
リラ預金が預金総額の50-60%を占める場合に銀行が維持しなければならない証券の比率を、従来の2%ポイントから7%に引き上げた。ハードカレンシーの需要が根強く、債券利回りと貸出金利が幾分持ち直していることから、マクロ健全性政策をさらに強化する可能性を中銀は示した。
今回の変更によりリラ預金金利が上昇し、リラ建ての商業ローン金利と国債利回りが低下すると予想されるも国債利回りは上昇している。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ下限から中位へ上昇
日足、ボリバン2σ下限から中位へ反発。雲の下。4月7日-10日の上昇ラインがサポート。4月3日-10日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発も中位越えられず。3月13日週-4月3日週の下降ラインを上抜くか。5週線、20週線下向き。
月足、11月-12月の下降ラインを上抜く。1月-3月の上昇ラインがサポート。22年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から6円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月陰転。
メルハバ
世銀はトルコの成長見通しを上方修正
世界銀行は、トルコが2か月前に南東部地域を襲った壊滅的な地震から回復しつつあるため、トルコの2023、24年の経済成長予測を引き上げた。
今年のトルコ経済の成長率は、当初の予測である2.7%から3.2%増に、2024年の成長予想は4%から4.3%増に上方修正した。
大幅な最低賃金の引き上げも実質家計所得を押し上げ、個人消費が増加する。観光の回復も寄与する。
地震からの復興への取り組みが急速に進むとすれば、投資は以前に想定されていたよりも強力になると予想される。
トルコ政府は昨年、世帯が使用する天然ガスの80%と電力の50%を補助し、最低賃金と公共部門の賃金を引き上げ、世帯に税制上の優遇措置を提供した。