腕時計大手のセイコーグループ<8050>とシチズン時計<7762>が3期連続の増収増益を見込む中、衝撃に強い腕時計「G-SHOCK」を手がけるカシオ計算機<6952>が2期連続の営業減益に陥いる見込みだ。

カシオは2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画に取り組んでおり、この3年間で営業利益を2倍ほどに増やす方針で、実現すれば営業利益額で3社のトップに立つ可能性もある。カシオはどのような方法で利益を2倍に増やすのだろうか。

2期連続の営業減益に

セイコーはコロナ禍などが影響し2019年3月期から2021年3月期まで3期連続で減収営業減益を余儀なくされた。その後は回復の軌道をたどり2022年3月期、2023年3月期に2期連続の増収営業増益を達成。2024年3月期も3期連続の増収営業増益を見込む。

M&A Online

(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)

シチズンも2019年3月期に営業減益、2020年3月期に減収営業減益、2021年3月期に減収営業赤字に陥った。その後は回復し2022年3月期、2023年3月期に増収営業増益となり、2024年3月期も増収営業増益を見込む。

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(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)

一方、カシオはコロナ禍の影響で2021年3月期に大幅な減収営業減益に陥った後、2022年3月期に2ケタの増収営業増益を実現したものの、2023年3月期は2ケタの営業減益となり、2024年3月期も2ケタの営業減益を見込む。

カシオは2023年5月11日に、2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を発表した。それによると2026年3月期に売上高3100億円(2023年3月期比17.4%増)、営業利益360億円(同98.1%増)を目指すという。すでに初年度の2024年3月期は前年度比11.9%減の160億円の営業利益を予想しており、残りの2年間で200億円を上積みする計算になる。

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(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)

その増益策の一つが主力商品であるG-SHOCKの強化だ。本体とバンドが金属製の高価格のプレミアムメタルタイプや若者、女性向けの製品を強化するほか、G-SHOCKにスマートウォッチの機能を付加する。

さらにG-SHOCKが1983年に誕生して40年が経つことから、40周年を軸にしたブランド認知拡大のための投資も実施する。合わせて直営店や直営EC(電子商取引)比率を高め利益率を高めていく。

こうした取り組みで時計事業だけで営業利益目標の360億円のうち300億円を稼ぎ出す計画だ。