ゼンショー、海外で持ち帰りすし大手を買収
外食大手のゼンショーホールディングスは、北米と英国で持ち帰りすし(テイクアウト)店を約3000店舗展開するスノーフォックス・トップコ(英領ガーンジー。売上高522億円)を約874億円で買収することを決めた。ゼンショーとして過去最大のM&A。2018年に、持ち帰りすし店を北米を中心に運営する米国アドバンスド・フレッシュ・コンセプツを約288億円で傘下に収めたが、今回、これを大きく上回る。
ゼンショーは牛丼店「すき家」などで知られるが、国内市場の成熟化に伴い、海外展開にアクセルを踏み込んでいる。なかでも、持ち帰りすしをめぐっては今年5月にドイツのスシ・サークル・ガストロノミーを買収したばかり。スシ・サークスは持ち帰りすし約220店舗のほか、回転ずし7店舗を持つ。
三井物産は米化学大手セラニーズ傘下で、機能性食品素材を製造するオランダのニュートリノバ・ネザーランドを買収する。株式の70%を約660億円で取得する。ニュートリノバは食品・飲料などに使われるアセスルファムカリウム(高甘味度甘味料)などの世界的大手で、直近売上高は約240億円。主力製品のアセスルファムカリウムは砂糖の200倍の甘味を持つため、カロリーや糖質を減らした製品設計に役立つという。
外食・フードサービスが急伸
外食・フードサービスを対象とするM&Aが急伸した。6月はゼンショーの大型海外買収をはじめ大小6件を数え、これを含めて上期累計は14件と前年の年間17件に早くも迫った。
ラーメン専門店「らあめん花月嵐」を展開するグロービート(東京都杉並区)を傘下に収めたのは人材派遣・紹介中堅のフルキャストホールディングス。80億1000万円で全株式を取得した。フルキャストにとっては畑違いの新業態への進出となる。「らあめん花月嵐」の国内店舗はフランチャイズを含めて199店舗(4月末)で、中国上海市、タイ、台湾にも店舗を持つ。
フジオフードグループ本社は海鮮丼などの丼専門店「ザ・どん」を13店舗運営する子会社のどん(大阪市)の全株式を譲渡した。譲渡先は非公表。グループにおける中長期な相乗効果を検討した結果という。フジオグループは「まいどおおきに食堂」「手作り居酒屋かっぽうぎ」などを10数ブランドの飲食店を手がけている。
また、ジェイグループホールディングスは和食店を経営するスペイン子会社「KAKEHASHI」(カタルーニャ州)を経営陣に譲渡した。2019年にKAKEHASHIを子会社化したが、コロナ禍の影響で業績が低迷していた。ジェイグループは東海地区を地盤とし、居酒屋「芋蔵」などを展開する。
ほかに、串カツ田中ホールディングスの譲渡案件、トップカルチャーの買収案件があった。